大阪維新のBPO申し立ては異常だ! 藤井聡のテレビ出演がダメなら橋下支持の辛坊治郎とたむけんはどうなる?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
hujiisatoshi_151021.jpg
朝日放送『おはようコールABC』公式サイトより


 維新の内部分裂は泥仕合のあげく、橋下徹市長が元みんなの党代表の渡辺喜美氏と会談、合流を示唆するなど、なんでもありの状況になっているが、大阪では、テレビ局に圧力をかけ、言論の自由を脅かす状況がおきている。

 10月16日、橋下徹大阪市長が代表をつとめる大阪維新の会が情報番組『おはようコールABC』(ABC朝日放送)が政治的公平を定めた放送法4条に違反するとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)に調査を申し立てたのだ。

 ターゲットは同番組でコメンテーターをつとめる藤井聡・京都大大学院教授だ。藤井氏は橋下市長が掲げた大阪都構想反対の急先鋒的存在で、これまでも橋下市長と都構想の問題点を鋭く追及。今年2月にも維新の党が在阪各局に、藤井氏を出演させないよう“圧力文書”を送った経緯がある。

 今回、維新が新たに問題にしたのは、その藤井氏が11月のダブル選挙で維新の対立候補者や自民党議員にメールを送っていたことだった。そのメールに、大阪維新の対立候補を全力で応援すること、さらには『おはようコール』の番組中に紹介されるパネルで大阪維新に不利になるようつくりかえたことを報告していたのだ。

 大阪維新の会はBPOへの「申立書」にこのメールの全文を添付した上で、こう指摘している。

〈同氏(藤井氏のこと)は特定の候補者や特定の政治団体を利すること、または特定の候補者や特定の政治団体を不利にすることを目的としてテレビ番組を利用していることが明らかとなった〉
〈特定の候補者や特定の政治団体を利すること、または特定の候補者や特定の政治団体を不利にすることを目的としてテレビ番組を利用しようとする意図を明確に持つ者を、テレビ番組のレギュラーコメンテーターとしで起用し続けることは、放送法4条に明確に違反する〉

 すると、このBPO申立翌日、藤井氏がレギュラーコメンテーターをつとめる朝日放送の別番組『教えて!NEWSライブ 正義のミカタ』で、藤井氏が「諸般の事情で」しばらくの間、休養することが発表されたのだ。

 朝日放送は大阪維新の問題とは無関係としているが、それを信じる者はいないだろう。

 いや、それどころか、朝日放送はBPOに提訴される前に、大阪維新から抗議を受けており、その時点で藤井氏をこっそりすべての番組からおろすことを決めていたという。

「大阪維新はメールを入手した直後に、朝日放送に抗議をしてきたらしい。朝日放送側はこれに対し、『藤井氏を降板させる』ということで、維新側と手打ちしていたようなんです。その時点では内々で解決するということになっていて、BPO に提訴するなんて話はまったくなかったらしい」(在阪テレビ局関係者)

 権力にはからきし弱いテレビ局らしい話だが、しかし、こうした手打ちにもかかわらず、維新はそれを破って、BPOに訴えてきたということらしい。

「おそらく橋下市長がそんなことで手打ちするなんて生ぬるいと、ひっくり返したんじゃないか、といわれています。朝日放送をBPOに訴えることで、テレビ局全体を恫喝し、維新への批判報道を封じ込める狙いがあったんじゃないでしょうか」(大阪維新関係者)

 まさに、藤井氏の脇の甘い行動と姿勢が大阪維新側に報道介入の格好の口実を与えてしまったかたちだ。おそらく、これからダブル選挙の11月22日まで、大阪のテレビ局はこれまで以上に、凍りついたように、大阪維新批判を封印してしまうだろう

 しかし、今回のメールは本当に、番組降板やBPO提訴に値するような事態なのだろうか。

 たしかに、藤井氏が大阪維新や大阪都構想に真っ向から反対し、対立候補を支持しているのは事実だ。番組で反大阪維新、反橋下、反都構想の論調を誘導しているのも事実だろう。

 しかし、そういった人物が出演することが放送法違反だというなら、大阪維新を支持する側、たとえば、辛坊治郎やたむらけんじはどうなのか。彼らは、大阪維新の選挙候補者に名前がのぼるほどの熱烈な支持者で、橋下市長とはしょっちゅうメールをする間柄。じぶんたちの番組では、露骨に維新側の主張に誘導するような発言をしょっちゅう行っている。

 藤井氏をテレビから降ろすなら、辛坊やたむらもまたテレビに出してはダメということになる。いや、それどころか、橋下市長自身も未来永劫、テレビに出られないということになってしまう。

 しかし、もちろんそんなことにはならないし、なってはいけないのだ。テレビは放送法で公正中立であることが求められているが、それは全体としての姿勢であって、番組に特定の政治的立場を代弁するような人間が出演することとはまったくちがう。そのことまで禁じてしまったら、それこそ、権力に都合のいい人間しか出せなくなり、統制報道になってしまう。

 大阪維新はそんな民主主義として当たり前のことを無視して、テレビ局の出演者選定にまで介入してきているのだ。これは明らかに「報道の自由」に対する侵害だろう。

 しかも、今回のことでもうひとつ、橋下市長と大阪維新の恐ろしさがあらわになった。それは、秘密警察よろしく、個人のメールまで監視をし、それを攻撃材料に使ってくるという事実だ。

 当事者である藤井氏もホームページで維新のメール公開についてこんな疑義を呈している。

「まず第一にこれ(メール)については、維新側の違法行為の疑義が存在します。
 そもそも維新の側の当方の私信の(公党による窃盗の可能性も排除できない不明な極秘ルートでの)入手、ならびに、それを報道各位に無作為に「ばらまく」行為に関しては、憲法が保障する通信の秘密を侵された疑義が濃厚に存在します。
 これではまるで全体主義における監視社会そのものです。維新は私信を傍受して政治的に利用しているわけですから、文字通り、全体主義的な政党であることが証明されたと言えるでしょう。維新は批判する者なら傍受でも何でも行いながら黙らせようとしている、という次第です。これは、市民にとって大変に怖い話です」

 まさにそのとおりだろう。報道やメディアが政治家のメール、私信を暴露したというなら、「報道の自由」「知る権利」の行使として認められるべきだが、今回は公党である大阪維新が、学者である藤井氏の私信を暴き立てるのだ。これは明らかに権力による検閲行為だろう。

 しかも、藤井氏が指摘しているように、大阪維新の会はこのメールを入手する為に、非合法な通信傍受、窃盗を行った可能性まで浮上している。大阪維新はBPOに対して、メールの事実関係の調査を認めているが、その前にまず、そのメールの入手の経緯を自ら釈明すべきだろう

 いずれにしても、自分に従わない人物を排除するため、こんな強権的な行為までやってのけるような政党が我が物顔で跋扈し、その代表者である人物が “次期首相候補”の一人として持ち上げられているのだ。日本の現状は異常としかいいようがない。
(田部翔太)

最終更新:2015.10.21 09:20

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

大阪維新のBPO申し立ては異常だ! 藤井聡のテレビ出演がダメなら橋下支持の辛坊治郎とたむけんはどうなる?のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。橋下徹田部祥太の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 菅首相が日本学術会議の会員任命で安保法制を批判した学者を拒否する暴挙
2 菅首相が総理番記者60人と朝食付きで「完全オフレコ懇談会」
3 安倍政権が消費者庁のジャパンライフ立入検査ツブシ、内部文書が
4 ネトウヨ局アナ・小松靖がテレ朝看板ニュース番組のメインキャスターに!
5 産経新聞元ソウル支局長が「内調」に転職? 韓国で起訴された嫌韓記者
6 竹内結子の自殺を受け加藤官房長官が国民の“自助”任せ発言
7 ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』は安倍政権のインチキの記録
8 小籔だけじゃない、おかずクラブや尼神インターも政府PR
9 菅首相が『ひるおび』で安倍政権批判をしていた政治記者を首相補佐官に!
10 中曽根元首相の合同葬「1億円税金」はやっぱりおかしい!
11 安倍前首相はやはり仮病だった!読売のインタビューでケロッと「もう大丈夫」
12 杉田水脈が自民党部会で「女性はいくらでも嘘をつけますから」
13 菅官房長官がテレビでもポンコツ露呈!『報ステ』では徳永有美に陰険クレーム
14 菅首相が訪問する福島の「伝承館」で国や東京電力の批判しないよう検閲
15 山口達也の事件をNHKが隠蔽していた
16 前川喜平が安倍政権の愛国教育を批判
17 葵つかさが「松潤とは終わった」と
18 菅首相が山口敬之氏への資金援助を親密企業「ぐるなび」会長に依頼か
19 菅義偉首相が使った官房機密費の“ヤミ金”は合計78億円!
20 悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、電通が再び140億円
1 安倍前首相はやはり仮病だった!読売のインタビューでケロッと「もう大丈夫」
2 菅義偉首相が使った官房機密費の“ヤミ金”は合計78億円!
3 中曽根元首相の合同葬「1億円税金」はやっぱりおかしい!
4 菅首相が総理番記者60人と朝食付きで「完全オフレコ懇談会」
5 菅首相が山口敬之氏への資金援助を親密企業「ぐるなび」会長に依頼か
6 ジャパンライフ山口会長逮捕 焦点は消費者庁の立入検査中止問題だ
7 東京五輪招致をめぐるICC買収に新証拠! 菅首相も賄賂に関与か
8 ネトウヨ局アナ・小松靖がテレ朝看板ニュース番組のメインキャスターに!
9 悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、電通が再び140億円
10 菅首相の叫ぶ「規制緩和」は30年前の流行語
11 菅首相が訪問する福島の「伝承館」で国や東京電力の批判しないよう検閲
12 菅首相が日本学術会議の会員任命で安保法制を批判した学者を拒否する暴挙
13 ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』は安倍政権のインチキの記録
14 大坂なおみを賞賛し黒人差別に抗議した自民党議員がツイートを削除し謝罪
15 菅首相が『ひるおび』で安倍政権批判をしていた政治記者を首相補佐官に!
16 河野太郎のパフォーマンスがひどい! 行政改革目安箱を私物化
17 杉田水脈が自民党部会で「女性はいくらでも嘘をつけますから」
18 竹内結子の自殺を受け加藤官房長官が国民の“自助”任せ発言
19 産経新聞元ソウル支局長が「内調」に転職? 韓国で起訴された嫌韓記者

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄