馳浩より危険! 文科副大臣・義家弘介のネトウヨ思想…「体罰禁止を見直せ」「事の善悪は国家が決める」

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義家弘介公式サイトより


 本サイトが指摘した“体罰自慢対談”によって、就任早々、文部行政のトップとしての資質が問われることになった馳浩文科相。だが、その馳氏よりもっと問題がありそうなのがその対談相手だった文科省ナンバー2の義家弘介文科副大臣だ。

 なにしろ、義家氏は対談の中で教諭時代に生徒を放課後の教室に4時間監禁して泣いて詫びさせたことを語り、「身体を通して教える場面というのはあり得る」と明言しているのだ。しかも、義家氏は実際に、教育界全体における“体罰禁止の見直し”を提言した過去まである。

 2006年の第一次安倍政権下、首相の肝いりでスタートした教育再生会議は、その第一次報告(07年1月)に「体罰の基準見直し」を盛り込んでいた。実は、その提言を行ったのが、当時、教育再生会議の担当室長だった義家氏だ。「現状では教師は毅然とした指導ができない。両手両足を縛って『戦ってください』と言うのは無責任だ」として、1948年の法務省(当時)による「生徒に対する体罰禁止」の通達の見直しを訴えたのである。馳氏との対談での発言と合わせると、義家氏の“体罰推進思想”は明らかだろう。

 しかも、彼の危険性は「体罰」に限らない。そもそも義家氏は、日本会議や神社本庁などの極右団体を母体とする議連懇談会に所属し、トンデモ疑似科学である“親学”の推進プロジェクトにも参加。安倍首相の目指す「愛国教育」の尖兵として、民族や出自あるいは思想による人々の排除を行ってきた。

 たとえば自民党下野時の10年3月の参院予算委員会では、日教組が関連する「カンパ金」について発言。産経新聞がこれを「朝鮮学校へ通う子どもの就労支援に使われた」と書きたてたことがネットで拡散され、在特会メンバーらによる徳島教組襲撃事件を誘発した。

 翌年の11年には、日本会議の常任理事である伊藤哲夫氏が主催するシンポジウムにて「教育勅語精神の保守」の必要性を説いている(「明日への選択」日本政策研究センター/11年11月号)。言うまでもないが、教育勅語は“臣民は皇室国家に奉仕せよ”と号令をかけて戦前・戦中の「国体思想」を支えた“教典”のひとつだ。

 12年3月参議院予算委員会では、国会で北海道の小・中学校に配布されていたアイヌに関する副読本について質問し、“日本は単一民族ではない”“在日朝鮮・韓国人などは「日本国民」”などとする表現を問題視。「敵対をあおるような内容なんですよね」「日本人を全否定して、(中略)こんなことを堂々と書いている」と批判した。また同年11月には、朝鮮学校への無償化適用を阻止することを目的とした高校無償化法改正案を議員立法として提出している。

 教科書問題での現場介入も枚挙にいとまがない。沖縄では「新しい歴史教科書をつくる会」系の教科書をゴリ押しし、義務教育教科書無償措置法を盾にして、これを拒否した学校に圧力をかけた。また昨年の朝日報道問題に乗じて、学校教育で慰安婦について教えないよう牽制し、さらに沖縄戦の関連教材を「一面的な思想に基づく内容」として回収させるよう動いた。なお同年、政府は社会科教科書の「検定基準」の見直しを行っているが、義家氏は産経新聞のインタビューで「この度の改定により、すべての社会科教科書が歪曲自虐史観から脱却することを期待したい」と語っている(14年10月25日付)。

 極右思想、戦前・戦中体制の称揚、マイノリティ差別への加担、日本軍による戦争犯罪の否認、そして歴史修正教育……ご覧のように、安倍政権による“教育破壊”の旗振り役である義家氏だが、そのなかでも一番の問題は、石原慎太郎都知事(当時)と対談した際に放ったこの発言だろう。

「まず第一に、善悪に関する明確な線引きが必要です。(中略)では、誰が共通の線引きをするのかといえば、私は今こそ国がやるべきだと思っています」(「諸君!」文藝春秋/07年3月号)

 ようするに“ものごとの善悪は国家が決める!”というのである。完全にお国による思想統制の典型であり、民主主義を正面から否定する発想だ。このような人物が文科省の副大臣として我が物顔で教育界を牛耳ろうとしているのだから、もはや戦慄を覚えるしかない。

 しかも、義家氏が恐ろしいのは、その“異様に底が浅い”国家統制教育推進の極右思想を、強引に教育現場の現実的課題にあてはめようとしていることだ。

 たとえば、前述の石原氏との対談のなかでも、義家氏はこんな“珍説”を得意げに披露している。

「私は、いまのいじめの問題には戦後教育の負の部分が凝縮されているように思えるのです。というのは、本来、『知・徳・体』の三つをバランス良く育てるのが教育の目的であるはずなのに、戦後の日本では、『知』の部分、勉強さえある程度できればそれでいい、『体』や『徳』すなわち規律意識などは後回しというような扱いをしてきた。その膿が、いまいじめ問題となって現れているのではないか」

 もし規律意識が希薄だからいじめが起きるなら、なぜ自衛隊や警察や体育会の部活動でいじめが横行しているのか。そもそも、いじめ問題というのはそんな簡単な話じゃない。個々のケースで事情は異なるし、複合的な理由がある。それを一言で「戦後教育の負の部分」などとまとめて、ほんとうにいじめ問題を解決できると思っているのだろうか。

 さらに、義家氏は男子が女子をいじめるケースが増えているとして、こんな分析までしている。

「男子による女子のいじめが起きる背景のひとつには、近年進められたジェンダーフリー教育が考えられます。たとえば、いま、小学校の名簿は男女混合名簿が主流です。(中略)ジェンダーフリー論者に言わせれば、『女を殴るのは男として恥ずべきことだ』というごくごく当たり前の規律さえ、男女差別につながるから教えてはならない、というわけでしょうか」

 “女子が男子をいじめる”理由ならまだしも、“男子が女子をいじめる”理由として、ジェンダーフリーをあげるのだから、支離滅裂である。義家氏は、男子のよる女子へのいじめの増加がこれまで泣き寝入りしていた女子が声を上げ始めた結果だ、ということがまったくわかってない。いや、それとも、わかっているからこそ、男尊女卑思想を復活させて再び女子を黙らせたいのか。

 他の主張も全部この調子だ。義家氏は2010年に『ヤンキー最終戦争 本当の敵は日教組だった』(産経新聞出版)なる本を出版しているが、内容は“日教組は日本のガン!”のエンドレスリピート。前述のいじめ問題、不登校、学力低下、モンスターペアレンツの増加、性教育の内容、若者の年金未納……すべて諸悪の根源は日教組と戦後教育にあると断じている。

 こういう言説を見ていると、右とか左とか言う以前に、この男が実は、生徒や教育現場のことなど一切何も考えていない、ということがよくわかる。とにかく今、起きているすべての問題を、自分たちの権力強化につながるように無理矢理「戦後教育のせい」にして、攻撃しているだけなのだ。

 周知のように、義家氏はもともと共産党員で、ほんの10年ほど前まで、全く逆の主張を口にしていた。たとえば、「赤旗」2004年7月25日付ではこんな教師論を展開している。

「未来をつくるのは子どもたちです。子どもたちが『変えてくれ』といってるわけでもないのに、一部のおとなの都合で法律を変え、子どもたちの未来をおとなが勝手につくりかえるのは許されない」
「教育は、権威によるコントロールであってはならないと思います。権威が必要な瞬間はありますよ。でも、子どもへの思いが土台にない権威は、教育をくもらせる結果にしかなりません。逆に、だれもいうことを聞かなくなります。法律に『規律』を書くより、まず子どもの声を聞け、と思います」

 それがたった10年で、“国家という権力”を振りかざして「愛国教育」を子どもたちに押し付け始めたのである。

 つまり、この男はもともと思想とか教育理念とか呼べるようなものをもっているわけではないのだ。かつては共産党員として管理教育批判の定型を叫び、今は安倍自民党のなかで出世するために、ひたすら教育右派の定型文をマスターし、それをスピーカーのようにがなりたてている。

 だから、その言葉は当然、支離滅裂だし、中身のないスカスカなものになる。たとえば今年の9月7日のFacebookで、義家氏は安保法制反対デモに参加した学者による安倍首相への批判を〈まさに『ヘイトスピーチ』そのもの〉として、こう断じた。

〈暴言。違いますか? それが『権威』の名の下で繰り返されている。日本国として、極めて、恥ずかしいことです〉

 意味もわからないまま、政権批判を封じ込めるために「ヘイトスピーチ」だとがなりたてる。これはまさに質の悪いネトウヨ言説そのものではないか。

 だが、これは笑い事ではない。これからしばらくは、こんな人物が文科省のナンバー2になって、森喜朗のロボットともいわれる元プロレスラーと一緒に教育行政を担っていくのである。きっと、強いものに媚びへつらい、出世のために前言を翻し、弱いものをいじめ抜く立派な日本国民が出来上がることだろう。
(宮島みつや)

最終更新:2015.10.20 02:41

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