篠田麻里子のブランド倒産! 酒井法子がタレントショップの裏を暴露

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『酒井法子写真集 LOVELY TIMES』(近代映画社/1988)

 元AKB48の篠田麻里子がプロデューサーとデザイナーを務めていたファッションブランド「ricori(リコリ)」が、7月15日付けで全店閉店したことを発表した。「ricori」の運営会社であるリゴレは16日までに営業を停止、自己破産が濃厚だという。

 2012年12月、篠田麻里子の全面プロデュースで立ち上げられた「ricori」。篠田本人も、ブログやツイッターで積極的に商品を紹介するなど、かなり本気で取り組んでいたようだ。しかし、「ricori」の全店閉店が発表された後の7月16日、篠田はツイッターで、
「ricoriが閉店する事になり大変驚いています。
私篠田麻里子も去年までアドバイザーとしてお手伝いしていただけに残念です。
今までricoriを応援してくれたみなさんありがとうございました」

 と、なんとも他人行儀なコメントを出している。あれだけ篠田麻里子のブランドとしてアピールしていたにもかかわらず、ここにきて“もう関係ない”とも取れる発言に、なんともいえない違和感を覚えるが、これはどういうことなのか? AKB48事情に詳しい芸能関係者はこう話す。

「タレントのファッションブランドは、運営会社のオファーを受けて、デザイン&プロデュースを手がけるというパターンが多く、その場合、経営自体にはまったく触れていません。つまり“雇われプロデューサー”というわけですね。篠田も結局そうだったんでしょうね」

 いろいろと裏がありそうな気もしないでもないタレントによるファッションブランドだが、その全盛期といえば80年代だ。80年代のファンシーカルチャーを集めた『ファンシーメイト』(ギャンビット)という本では、80年代後期の原宿にあったタレントショップが多数紹介されている。

 田代まさしの「MARCY'S」、松田聖子の「セイコリトルハート」、津川雅彦の「グランパ」、山田邦子「KUNY」、コロッケの「Mr.COROKET」、酒井法子の「NORI・P・HOUSE」など、アパレルから文房具などのファンシーグッズまで、いろいろなショップで、多彩なグッズが販売されていた。さらに、番組発のグッズショップとしては、『ねるとん紅鯨団』の「VALENTINE'S HOUSE」、『天才たけしの元気が出るテレビ!!』の「元気がでるハウス」なども含め、アラフォー世代以上なら、思わず懐かしい!と叫んでしまうタレントショップが多数掲載されている。

 当時は、原宿のタレントショップマップを片手に、いくつものお店を回るのがトレンディーだったといわれていた時代。ほとんどのグッズに、タレントをデフォルメしたキャラクターが大きくあしらわれており、今振り返るとお世辞にもオシャレとはいえないものばかり。商品を見ただけでは篠田麻里子がデザインしていることなどまったくわからない「ricori」とは、真逆のアプローチであり、むしろタレントグッズを持っているということを、思い切りアピールするのがステータスだった時代なのだ。

『ファンシーメイト』では、タレントショップを持っていた芸能人の代表として酒井法子のインタビューが掲載されている(聞き手は吉田豪氏)。最盛期には、原宿、恵比寿、名古屋、京都のほか、富士山の8合目にも「NORI・P・HOUSE」を開いていたという酒井。売られていたグッズには、酒井をデフォルメしたキャラではなく「のリピーちゃん」というオリジナルキャラが描かれている。

 この「のりピーちゃん」は、もともと中学のときに「自分のマークみたいな感じ」で描いていたキャラクターなのだという。そして、アイドルとして売り出すにあたり、「みんなに覚えてもらえるように仕掛けていかないと」ということで、正統派アイドルでなく、語尾に「ピー」をつけまくる「のりピー語」を使う、不思議なキャラを設定。その一環として、サインを考えたときも「酒井法子じゃ売れないから絵も描いて、これでキャラクターグッズもつくってみようよ」ということで、「のりピーちゃん」を描くようになり、そこからなんとなくグッズ展開につながっていったという。

 ちなみに「のりピーちゃん」というキャラクターは酒井が考案したものだが、グッズ製作に積極的に関わっていたわけではないようだ。「キャラクターグッズの老舗さんが、ありとあらゆるものを次から次へつくってくださって。私の知らないところでもいろんなものがあって」とも発言しており、どうやら酒井もまた篠田のような“雇われプロデューサー”の立場だったわけだ。

 そして、なんといっても気になるのが、“日本一標高が高いタレントショップ”となった『NORI・P・HOUSE』富士山8合目店だ。酒井曰く、「スタッフさんがおもしろいんですよね。話題を仕掛けるというか。『日本一』って言っても、場所だけじゃん!って(笑)」とのことで、もしかしたらスタッフの悪ノリで開店したのかもしれない。とはいうものの、ショップのスタッフにしてみれば、富士山での営業は過酷きわまりないわけで、「お店のスタッフさんとかは、高山病でゲロゲロになりながら……」と、ブラック企業さながらの状況だったようだ。

 そんな酒井だが、年齢を重ねるとともに、「ピーピー」言うことに抵抗感を抱き始めたという。19歳くらいになって、同年代の工藤静香らが大人っぽくシフトしていく一方で、『のりピー音頭』を歌っていた酒井。「なんであたしだけ『のりピー音頭』なの?」「なんでピーピー言わなきゃいけないの?」と思いながら、テレビで歌っていたというのだから、アイドル稼業も楽ではない。

 酒井法子というと、やはり2009年に覚せい剤取締法違反で有罪判決を受けたことは避けて通れない。その後、紆余曲折あって、現在芸能活動を再開しているが、今でも「のりピー語」を求められることは少なくない。記者会見などでも「マンモスうれピー」と言えばまとまることも多いとのことで、『ファンシーメイト』のインタビューでは子供に「いいよな、ママはピーピー言ってご飯が食べられるんだから」と言われることもあると、告白している。いわば、覚せい剤というマイナスイメージも、のりピー語のおかげでどうにか中和できているというような状況でもあり、のりピー語に救われている部分は少なくないようだ。

 少々話は逸れてしまったが、酒井法子が振り返った80年代のタレントグッズ文化と、篠田麻里子の「ricori」に代表される現在のタレントファッションブランドとでは、かなり違いがあるようだ。前出の芸能関係者はこう分析する。

「80年代のタレントショップの場合は、タレントの名前やキャラを大々的に出しているので、そのタレントの人気と売り上げが直結します。なので、タレントの人気が落ちれば、すぐにショップを撤退することができる。でも、篠田の『ricori』の場合は大人の女性向けブランドで、一見して篠田がデザインしたことはまったく分からない商品。篠田がファッション誌でモデルをやっているとはいっても、メインのファン層は20代から30代の男性ですから、婦人服なんて売れませんよ」

 タレントのファッションブランドというと若槻千夏の「W・C」(・はハート印)がある。現在、若槻は「W・C」と決裂しているが、タレントブランドの成功例といわれている。

「『W・C』は、ファストファッションブランド『WEGO』内に設立されたもの。『クマタン』というキャラが人気で、女性アイドルがテレビや雑誌で着ていたことで、人気に火が着きました。方向性の違いで若槻は撤退したものの、現在は『WEGO』内ブランドとして継続しています。若槻本人としては、不本意な点もあるとは思いますが、若槻の知名度を利用して、ブランドを大きくしたということでは、成功といえますね。篠田の『ricori』も、『W・C』を手本にしていたのでしょうが、『クマタン』のようなキャッチーなキャラもなかったし、なかなか難しかったんだと思います」(前出・芸能関係者)

 酒井法子の「のりピーちゃん」しかり、若槻千夏の「クマタン」しかり、タレントグッズにはやはり一目でわかるキャラクターが必要だといえそう。ガチなファッションブランドを目指した時点で、篠田麻里子の「ricori」の失敗は決まっていたのかもしれない。
(金子ひかる)

最終更新:2014.09.16 08:04

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『ファンシーメイト』 (表紙:有村架純)

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