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菅首相と同じ後手…吉村知事の卑劣な手口を“8割おじさん”西浦教授が「チープ」と批判!「ガラスの天井」誤用でも恥ずかしい展開
大阪府ホームページより
本日13日、政府は大阪・兵庫・京都の関西3府県と、さらに愛知・岐阜、福岡、栃木を加えた計7府県を緊急事態宣言の対象区域に追加する。菅首相は東京都の小池百合子都知事を当てこするために、大阪は飲食店への時短営業の成果が出ていると繰り返し述べ、7日の会見でも大阪への再発出について「現時点においてはそうした状況にはない」と発言。この対応に批判が集まったことでようやく発令の運びとなったが、大阪の新規感染者数のみならず重症患者や死亡者数の多さを考えればあまりに遅きに失した判断で、後手後手だという批判は免れない。
しかし、後手後手だったのは菅首相だけではなく、大阪の吉村洋文知事も同罪だ。
実際、12月からの大阪の新規感染者数は高止まりの状況で、さらには重症率や死亡者数は最悪のレベルにあった。しかし、吉村知事は4日の会見で「大阪は感染の急拡大が抑えられており、今の段階で要請する考えはない」と緊急事態宣言の発出要請を否定。だが、その2日後の6日に新規感染者数が560人と過去最多を更新すると、7日には〈緊急事態宣言の発令を要請すべきと考えました〉(Twitterより)と態度を一転させたのだ。
「感染は抑えられている」などと誤った現状認識でもって豪語していたのに、過去最多の数字が出た途端、手のひらを返す……。当然、「読みが甘すぎた」と吉村知事は府民に認めるべき事態だが、本人は〈首都圏の感染急拡大状況、真冬のコロナ感染力を考慮〉(前出・Twitterより)などとまるで先手を打ったかのように振る舞う始末。さらに、メディアもこの場当たり的な対応の責任を追及することもなく、むしろ“素早い判断”などといったように持ち上げているのである。
自分の判断ミスや誤りを、何が何でも認めない──。実際、吉村知事はこの非常時に、言葉の誤用を指摘されて逆ギレまでしてみせた。8日の会見で、記者から「緊急事態宣言が必要だと検討に入ったタイミングはいつか」という旨の質問を受けた際、吉村知事は「(6日に)560名の一挙にガラスの天井を突き抜けた瞬間と、そしてそれが次の日も600名を超えるだろうという報告を受けたことがひとつ」と発言した問題だ。
言うまでもなく「ガラスの天井」という言葉は、女性やマイノリティが実力や実績はあるのに「見えない障壁=ガラスの天井」にぶつかって昇進や意思決定の場に登用されないという実態を示すもの。ようするに、吉村知事は「コップの水が溢れた」「臨界点を超えた」というような意味で「ガラスの天井」を誤用したのだろう。
「ガラスの天井」誤用言い訳のため、大阪の医療を「いつ割れてもおかしくない」と認めた吉村知事
女性登用の問題は政治・行政において重要な課題だが、知事が「ガラスの天井」という言葉を誤用したとなれば、当然、ジェンダー平等という課題への認識が問われる問題であり、多くの人が誤用を指摘。しかし吉村知事は、立憲民主党の蓮舫議員と太田房江・元大阪府知事という女性政治家の名前を挙げ、逆にこう噛みついたのだ。
〈蓮舫議員や太田議員が、「吉村が『ガラスの天井』を間違って使ってる!」と一生懸命だが、僕が役所内の「ガラスの天井」を打ち破る為に何をしてるのかも知らないんだろうな。その意味で使ってない。記者会見では、いつ割れてもおかしくない状態を「ガラス」に喩えただけ。会見の中身を見たら明らか。〉
素直に誤用を認めればいいものを、「いつ割れてもおかしくない状態を「ガラス」に喩えただけ」って……(苦笑)。百歩譲って、そうした意味で使ったというのなら、吉村知事は大阪の医療提供体制やコロナ対応はガラスのように脆いものだと自負しているということなのか。それはそれで無責任な話ではないか。
しかも、吉村知事はこの「ガラスの天井」問題の直前にも、蓮舫議員の〈大阪は昨日今日で感染者が急増したのではありません。今日の宣言対象になぜ早く要請しなかったのでしょうか〉というツイートに対して、〈昨日と今日で感染者は急増してます。11月以降の大阪の感染状況、事実を確認してから発信して下さい〉と、反論していた。
蓮舫議員が「昨日今日」を「最近」という意味で使ったことはバカでもわかる話だが、吉村知事はこの非常時に、わざわざ自分から「昨日と今日で急増したんだもんね、ほーら、嘘言った」と絡んでいったのである。こいつはもしかして小学生なのか。
だいたい、大阪の新規感染者数が6日から急増したのも、それまで感染を抑えられていたわけではなく、たんに年末年始で検査数が少なかっただけだろう。それでよくもまあこんなことが言えたものである。
しかも、吉村知事が問題なのは、幼稚で自分本位な決めつけや開き直り、責任転嫁が言葉だけではなく、コロナ対策そのものを歪めてしまっていることだ。
実際、いまは死亡者数も重症者数も東京を超えているのに、「大阪は感染が抑え込まれている」などと言って非常事態宣言を要請しなかったのも、“東京と違ってうまくいってるぜ”感を無理やり出したかっただけ。ようするに、自分のかっこつけのために大阪府民の生命をさらなる危機にさらしてしまったのである。
吉村の「大阪・兵庫間の往来自粛」について資料を誤用された“8割おじさん”西浦博教授が批判
さらに、吉村知事はここにきて、 “8割おじさん”こと西浦博・京都大学教授からも、そのずさんな政策決定プロセスと、責任転嫁のやり口を指摘されている。
それは、吉村知事が昨年3月、松井一郎・大阪市長とともに唐突に打ち出した「大阪・兵庫間の往来自粛」をめぐってのものだ。
この自粛をめぐっては、大阪・神戸間で多くの地域が生活圏をほぼ一体化しており、2府県間だけの往来自粛に意味があるのかというツッコミが殺到。これに対して、吉村知事は〈国がこの書類を持って大阪府と兵庫県にわざわざ説明に来て提案された〉〈僕は無視できない〉などとツイートし、ドヤ顔である文書の画像を投稿した。
その文書こそ、当時、厚労省クラスター対策班のメンバーだった西浦教授が作成した資料だったのだが、そこには〈大阪府・兵庫県内外の不要不急な往来の自粛を呼びかける〉と書かれていた。つまり、「大阪府とそれ以外の地域の往来」と「兵庫県とそれ以外地域の往来」の自粛が提案されており、大阪府と兵庫県の間の往来の自粛が提案されたわけではなかったのだ。
当時、本サイトではいち早く吉村知事のこの「誤読」疑惑を取り上げたのだが、すると、吉村知事は本サイトの記事をリツイートし、〈このレベルのことは僕が19日最初に記者発表した段階で記者が聞いてるよ。国の提案は大阪兵庫間だけなく、その他の府内外も含む。要請期間も3週間の長期。緊急事態宣言もない中で、連休3日間に絞り込み、大阪兵庫間に絞り込みをかけた。国の試算値を重視し、対応は政治判断〉と反論。最初は威勢よく「国の提案だ」とツイートしていたのに、問題を指摘されたら「政治判断だ」と言い出したのである。
ところが、この吉村知事の打ち出した「大阪・兵庫間の往来自粛」について、資料の作成者である当の西浦教授が、明らかな間違いであると指摘した。昨年12月に発表した著書『理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!』(中央公論新社/聞き手・川端裕人)のなかでこう語ったのだ。
〈これは僕らが思っていたものとはだいぶ違うもので、やっぱりこういうコミュニケーションは難しいということを強く感じさせられました。大阪市長と府知事は、大阪から全国に散らばるということではなく、県境をまたぐ移動をとにかく止めないといけないと受け止めて、中でも、兵庫県だけをターゲットにしました。阪神圏の往来が一番多いからなのかもしれませんが、その結果、兵庫県知事との間が険悪な雰囲気になったとニュースで見ました。大阪側からの事前調整がなかったということでしたが、兵庫県との往来だけをピンポイントに止めても流行制御に直結しないことは皆さんすぐに分かりますよね。発表の前に厚労省の連絡担当などに一言でも事前相談をもらっていれば……。〉
〈これはきちんとしたプロセスを経ており、そもそも審議官・局長や大臣を通した上で医療体制班が出しているものです。しかもフォーマルには通知ですらなく、メモとして渡したものなんですが、こちらには連絡なく公開されることとなりました。やっぱりコミュニケーションは難しかったということです。〉
「自粛に後ろ向きな大阪の政治家は、ダメージの話をそらすためにも、僕をターゲットに」
西浦教授は「コミュニケーションは難しい」と言葉を選びながらも、「兵庫県との往来だけをピンポイントに止めても流行制御に直結しないことは皆さんすぐに分かりますよね」などと、呆れ果てたように語っている。
本サイトは、吉村知事への再反論で、その言い訳の矛盾を逐一指摘し、この往来自粛が吉村知事・松井市長の読解力のなさからはじまった暴走であったことに加え、水面下での感染拡大と早すぎた自粛解除の動きをごまかすために、関係が悪かった兵庫県を意図的にスケープゴートにした可能性が高いと指摘したが、西浦教授も言外にそれを匂わせていると言っていいだろう。
しかも、西浦教授はこの著書のなかで、吉村知事らがその後やったことについて非常に鋭い分析をしている。
吉村知事らは、最初の緊急事態宣言が解除された後、「(接触8割削減を打ち出した)西浦モデルだけを信じて突き進むのは違うんじゃないか。大阪と兵庫の往来自粛をしたときも、西浦先生の数字で、兵庫と大阪は2週間後に感染者が3千人になる、とありましたが、事実としてそうはならなかった」などと自分の誤読、あるいは政治判断を棚に上げて批判し、「国を挙げて批判的検証をしないと間違った方向に進むんじゃないか」と西浦教授の攻撃に乗り出した。しかも、そこで吉村知事が飛びついたのは、「K値」だった。
感染症の専門家でもなんでもない学者が出してきた「K値」がその後、感染予測を大外ししたことはいまさら説明するまでもないが、西浦教授はこうした吉村知事らからの攻撃について、こう表現しているのだ。
〈自粛に後ろ向きな大阪の政治家は、緊急事態宣言後の経済的ダメージの話をそらすためにも、僕をターゲットにして宣言が本当に必要だったのか、かなり執拗に(でもチープな質で)責め立ててくることになります。〉
自分の誤りをけっして認めず、それどころか自分への批判を封じ込めるために“仮想敵”をつくり出し、「執拗かつチープ」な攻撃を繰り出す。まさしく、これこそが吉村知事の実態なのだ。
非を認められない未熟さにとどまらず、我が身可愛さから批判をかわすことを目的として政策を決定するような人物に、大阪府民が命を預けているという恐怖。しかも、その実態をメディアが報じないがために、いまだに「さすが吉村さん」などと持ち上げられている現実……。メディアはその責任を重く受け止めるべきだ。
(編集部)
最終更新:2021.01.13 02:51
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