告発に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
幻冬舎・箕輪厚介のセクハラを告発した女性が暴露していたエイベックス松浦会長の重大疑惑! マスコミは無視し『M』をヨイショ
幻冬舎が刊行した『M 愛すべき人がいて』
「文春オンライン」が報じた幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏のセクハラ問題が反響を呼んでいる。箕輪氏といえば、堀江貴文や落合陽一、前田裕二などのヒット本を手がけ『スッキリ』(日本テレビ)、『サンデージャポン』(TBS)をはじめコメンテーターとして数々の番組に出演する有名編集者。そんな箕輪氏が書籍の執筆を依頼したライターのA子さんに自宅での打ち合わせを強要し、家に入るや強引に体を触り、「キスしませんか?」と迫ったことを告発されたのだ。
しかも、A子さんは当時のLINEでのやり取りを公開しており、その内容を見る限り「文春オンライン」の記事はほぼ事実と考えて間違いない。
テレビや新聞などのマスコミは一切報じていないが、この間、箕輪氏がレギュラー出演する『スッキリ』などには、多くの抗議が寄せられているという。当然だ。言うまでもないが、箕輪氏はA子さんに仕事を発注している側であり、圧倒的に強い立場だ。その権力、職権を利用して肉体関係を迫ったのだから、れっきとしたセクハラ事件なのだ。それをネグッて平気でこのセクハラ男を出演させ続けるテレビ局の倫理観は明らかにおかしい。
しかも、今回の箕輪氏のセクハラには、もうひとつ、メディアがまったく触れていない背景がある。それは、A子さんがやはり「文春オンライン」でエイベックス代表取締役会長の松浦勝人氏の偽装離婚や薬物使用疑惑を告発していたという問題だ。(https://bunshun.jp/articles/-/37224)
https://bunshun.jp/articles/-/37836)
そもそも、箕輪氏がA子さんに執筆を依頼していた本というのは、エイベックス代表取締役会長の松浦勝人氏の半生を描く自伝本だった。
A子さんは大学卒業後エイベックスに入社。在職中、エイベックスに対する考えや不満をメールで会社に提出したところ松浦氏の目にとまり個人的相談をする関係となったという。A子さんはその後、退社したが、退社後も松浦氏との関係が続いた。そして、2016年12月、そのことを知る旧知の箕輪氏から「松浦さんの本を出版したい」と松浦氏の自伝本の取材・執筆を依頼された。もちろん幻冬舎の見城徹社長も企画を了承したようで、箕輪氏からA子さんに「見城さんOKだって、ただ、なるべく早く出してくれって」というLINEが来ていた。
ところが、松浦氏に取材依頼の連絡を取ったA子さんは、松浦氏本人から衝撃の事実を明かされる。松浦氏は直前に妻と離婚しており、それは相続税逃れの偽装離婚だったというのだ。このまま自分が死ねば、残された妻子は多額の相続税を払わなければならない。しかし、離婚による財産分与なら相続税も贈与税もかからない。そのために偽装離婚した、そういう説明だったという。
しかも、松浦氏は妻に離婚届を出したことを話しておらず、妻子を愛しているからこその離婚だったというメッセージを残すため、自伝本に離婚の事実やその理由を書いてほしいと要望した。自ら脱税を認めるような告白をするとは信じがたい神経だが、A子さんは箕輪氏と相談して、この離婚公表を核に本を執筆する方針を決め、約2カ月にわたる松浦氏の密着取材を開始した。
そうして、2017年1月末に原稿を脱稿したA子さんだったが、しかし原稿を読んだ松浦氏は、突然、我に返ったのか、離婚の公表に及び腰になる。そして、2月には「弁護士に確認したらこの本の内容を出版すると間違いなく偽装離婚にされ国税から贈与税を取られると言われた」と出版中止を通告してきたのだという。
すると、見城氏や箕輪氏も態度を豹変した。前述したように見城氏は企画にGOを出し、A子さんが離婚公表の部分だけを送った際は「凄いよ、君は」というメールまで送っていたのに、「全然伝わってこない」「ストーリーになってない」と酷評して、出版を拒否。箕輪氏も「見城さんのジャッジもそれを聞くと、たしかにそうだなって俺も思っちゃったんだよね」と、見城氏に従ってしまったのだという。
文春オンラインが偽装離婚問題を質問した直後に松浦会長はCEO辞任
周知のように、見城氏は松浦氏とは菅偉義官房長官を交えて会食することもあるなど、“盟友”といわれる関係。加えてトラブルと同時期、2人の対談本『危険な二人』(2017年4月刊行、幻冬舎)の企画も進行していた。おそらく見城氏は、松浦氏に泣きつかれたため、A子さんの原稿の出来が悪いせいにして、出版を取りやめてしまったのではないか。
しかも、ひどいのがこのあとだ。なんと、箕輪氏のほうからA子さんに依頼して、約2カ月で密着取材をさせ約10万字の原稿まで書き上げさせたのに、本にならなかったという理由でA子さんに対して原稿料も必要経費も一切払うことを拒否したのだという。
つまり、A子さんはこうした松浦氏や幻冬舎の裏切り、身勝手な姿勢に怒り、「文春オンライン」で告発を開始したのだ。
あまり話題になっていないが、4月にはまず、その第一弾として、松浦氏の薬物使用について告発していた。
A子さんは幻冬舎の本の企画が出る前、2016年の秋頃から松浦氏と個人的な交友があり、週末、エイベックス所有のクラブで一緒に薬物を吸っていたことを告白。さらに、幻冬舎の本の取材で、ハワイの別荘に2週間ほど滞在した際も松浦氏と薬物を吸っていたことを、証言したのである。
しかも、それを示唆するような松浦氏との会話の音声データやLINE、画像などを公開している。
そして、続いて5月になってA子さんが「文春オンライン」で告発したのが、前述した相続税逃れのための偽装離婚と、箕輪氏のセクハラだった。
とくに、偽装離婚問題は決定的だったと言っていい。薬物疑惑についても〈それはもうお前、はっぱが全部なくなってからにしよう〉などといった松浦氏の音声テープが公開されたが、使用を裏付ける決定的な物証とまでは言えなかった。
しかし、偽装離婚問題では、松浦氏の〈俺ちょっと気になるのは、慰謝料のところで、あれ国税に引っ掛かるか引っ掛からないかなっていうのが。要は税逃れなんだよ。そういう突っ込み方される可能性あるな。かっこつけて書いてるけど「結局お前税金払いたくないからそうしたんだろ」って言われるとそれも半分あるんだよ〉といった、相続税逃れであることを自ら認める音声がばっちり録音されていた。
実際、松浦氏は5月14日にエイベックスのCEO退任を発表したが、実はその数時間前に「文春オンライン」がこの偽装離婚問題に関する質問状をエイベックスに送っていた。
「松浦氏はクリエイティブに専念とかなんとか理由をつけていましたが、明らかに文春の報道が原因でしょう。A子さんが提供した音声を聞くと、贈与税、相続税逃れの偽装離婚であることを認めていますから、国税が動く可能性は非常に高い。仮に国税が動かなくても、エイベックスは東証一部上場の会社ですからね。株主総会で追及を受けるのは免れない。それで慌てて、CEOを退任したんでしょう」(週刊誌記者)
番組審議会委員長の出版社の、委員が書いた本をドラマ化したテレ朝の責任
しかし、である。信じがたいのは、マスコミの姿勢だ。こんな重大な不正疑惑が浮上したにも関わらず、テレビや新聞などは一切報道せず、まるで何もなかったかのように無視を決め込んでしまった。
その理由はもちろん、松浦氏が、芸能・エンタメ界の実力者であり、そのバックにバーニングプロなど、大物がついているからだ。
「テレビもスポーツ紙も松浦氏や周辺の芸能人脈と完全に癒着して、利権のおこぼれにあずかっている。だから、松浦氏にどんなスキャンダルが浮上しても、絶対に報道できない。仮に松浦氏に国税が調査に入っても、おそらくワイドショーはまったく報道しないでしょう」(ワイドショースタッフ)
なかでもひどいのが、テレビ朝日だ。何しろ、テレ朝はこんなスキャンダルが噴出している状況で、例の、松浦氏と浜崎あゆみをモデルにしたドラマ『M 愛すべき人がいて』を放送し続けているのだ。
周知のように、『M 愛すべき人がいて』の原作は、幻冬舎から出版されているノンフィクションライター・小松成美氏の“事実に基づいた小説”。浜崎あゆみと松浦氏に取材した「事実に基づいている」ことが売りだが、その中身は浜崎と、彼女を見初めてスターダムに押し上げた松浦氏のラブストーリー。しかも、別れた後も、浜崎の心のなかにはいつも松浦氏の存在があり、その曲の多くは松浦氏との恋愛を歌ったものだった……という調子で、やたら、松浦氏が美化されている。
「出版当初は、“落ち目の浜崎が復活のために仕掛けた暴露本”などと浜崎に批判が浴びせられましたが、的外れもいいところ。あれは、松浦氏が見城氏といっしょにしかけた自分のPR本ですよ。ここのところ、松浦氏は自己顕示欲を前面に出しているところがあって。同時期に、幻冬舎からビジネスエッセイ『破壊者 ハカイモノ』も出版していましたしね。ただ、松浦氏単独の本では売れないので、浜崎を利用してセットで売り出そうとしたのでは」(出版関係者)
しかも、問題は、この『M 愛すべき人がいて』が出版後すぐ、テレビ朝日でのドラマ化が発表されたことだ。周知のように、テレ朝では幻冬舎の見城社長が同局の番組をチェックする放送番組審議会の委員長を務め、『M 愛すべき人がいて』の著者である小松氏も同審議会の委員に名を連ねている。
「安倍首相に近い見城氏が放送審議会で、テレビ朝日の政権批判報道に圧力をかけてきたことはよく知られていますが、もうひとつ、局内でいわれてきたのが、幻冬舎の本のプロモーションをしなければならないという忖度がはびこっていること。実際、テレ朝では、情報番組で幻冬舎の本がやたら取り上げられたり、幻冬舎本の著者が番組に出演している。今回もおそらくその延長線上に出てきたものでしょう」(テレビ朝日関係者)
しかし、番組をチェックする立場の審議会の委員長が社長をつとめる出版社が出した、審議会の委員が書いた本をドラマ化するって、テレ朝は公共の電波を私物化しているということではないのか。しかも、そのドラマのモデルになっているのが、“相続税逃れの偽装離婚”という重大な不正疑惑が浮上している人物なのだ。こんなドラマを放映することがなぜ許されるのか。
問題はテレビ朝日だけではない。スポーツ紙も松浦氏の疑惑にはまったくふれることなく、そのトンデモな内容をヨイショする報道を展開している。
弱い立場のタレントは些細なスキャンダルで袋叩きにする一方で、芸能界の実力者やそれと関係のある人間は、税金逃れをしようがセクハラをしようが、そのまま出演させ、番組を続けさせる。今回の問題はまさに、日本のメディアの現実を再確認することになったといえるだろう。
(編集部)
最終更新:2020.05.24 03:14
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