失言・炎上に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
立川志らくが『ワイドナショー』でも「赤坂自民亭を擁護してない」「安倍首相は災害対応していた」と嘘八百
赤坂自民亭での飲み会(西村康稔氏ツイッターより)
昨日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)に、ゲストコメンテーターとして出演した落語家の立川志らくが、「赤坂自民亭」をめぐって『ひるおび!』(TBS)で自民党を擁護した件について、またインチキ反論、さらなる安倍首相擁護を展開した。
本サイトとしては、この問題で志らくのことを書くのは飽き飽きしているのだが、志らくが相変わらず「自民擁護などしていない」とインチキ反論をして「悪意あるネットニュースが、発言をねじまげた」ようなことまで言ってたので、もう1度あらためて反論しておかなければなるまい。
まず、志らくの発言を振り返ろう。この日の『ワイドナショー』は、サッカーワールドカップの話題の次に、西日本豪雨の話題になり、そのなかで「豪雨の夜「赤坂自民亭」に非難の声」として、赤坂自民亭問題に。公明党の井上義久幹事長も「軽率の誹りを免れない」と批判しているという話が紹介され、MCの東野幸治が「これに関して、志らく師匠、擁護をしていたということで、これ完全に誤解と。どういうことなんでしょうか」と志らくに話をふった。すると、志らくはこう語ったのである。
「他の情報番組でこの話題があったときに、これに対して国民が怒るのは当然のことだと。ただ、飲んだことを非難したって物事は解決しないんだから、ちゃんとどうして自民党の人がこの会を中止せずにやってしまったのか、そこら辺の原因を究明すべきだと。そこらへんが、みんな、雨だから、台風じゃないから、そこらへんが甘かったわけですよ。そこらへんをちゃんと究明せずに、みんなで、わあ飲んだのが悪い! 何やってんだ!って」
これだけ読むとなんとなく騙されてしまう人もいるかもしれないが、志らくは、今回の『ワイドナショー』でも、12日の反論ツイートでも、もとの『ひるおび!』での発言からニュアンスを微妙に変え、実際に口にしたセリフをなかったことにしている。それは、こんなセリフだ。
「もっと早くに、これだけの雨が降ったんだから、自民党の人たちだって国民の命を無視してこうやって飲むわけがないですから。そこらへんをちゃんと究明しないと。ただただけしからんって周りが怒っても」
そう、志らくは、「自民党の人が飲むわけがない」と、最初から自民党を擁護する気満々だったのである。その前提のもと、そんな自民党の人がなぜ、酒を飲むような状況になってしまったのか、被害をあらかじめ推測できなかったのか、と言っているのだ。つまり、災害の最中に飲み会を開いたのは自民党のせいではなく、むしろ気象庁の予測や警報の発信の仕方に不備があったのだと言わんばかりに「飲むわけがない自民党の人が酒を飲むような状況になってしまった」と主張を展開していたのだ。
しかし、志らくの言っていることは、まったくのまやかしだ。何度も反論しているが、すでに5日14時の時点で、気象庁は「記録的な大雨となるおそれ」と大雨では異例の緊急会見を開き、17時台には「厳重な警戒」を呼びかけていた。兵庫県や京都府ではすでに避難指示・勧告は数十万人に及んでいた。にもかかわらず、安倍首相ら政権幹部は内輪の酒盛りで騒いでいたのだ。
志らくは『ワイドナショー』で、「どうして自民党の人がこの会を中止せずにやってしまったのか、その原因を究明すべき」と言っていたが、原因は、明らかに、安倍政権の危機感と国民の生命を守ろうという意識の欠如、それ以外にないのである。
自民擁護していないとウソ反論しながら、さらなる安倍首相擁護する立川志らく
しかも、志らくは批判された対象を「自民党の人」と話をずらしているが、この宴会が問題になっているのは、会を中止にしなかったことや自民党の人間が出席したことではない。政府の役職についていない党関係者だけでパーティをやっていたなら、ここまで批判を受けることはなかっただろう。そうではなく、安倍首相や小野寺五典防衛相など、災害対応の陣頭指揮をとるべき政府首脳がそれをほったらかして、宴会ではしゃいでいたから批判されているのだ。
実際、今回、政権を批判している人たちのなかで、「飲んだのが悪い!」とだけ感情的に怒っている人なんて、ほとんどいない。災害対応すべき政府の人間たちが、宴会優先で災害対応していなかったことを批判しているのだ。しかも安倍首相らは、この宴会の夜だけではなく、その後も66時間にわたって対策本部も設置せず、災害を放置していたのだ。
ところが、志らくはその辺を一切ねぐって、今回の批判を「飲んだのが悪い!」というセリフに矮小化しているのだ。これが政権擁護じゃなくて、なんだというのか。
しかも、志らくは、『ワイドナショー』で「擁護などしていない」と言いながら、さらなる安倍首相擁護まで上乗せしてきた。
「で、安倍総理なんか次の日は、二日酔いで出てきたって。安倍総理50分しか、この会合いないんですよ。あと対応に見舞われて、それでくたびれて出てきたのを、二日酔いだと。それは叩くやり方がおかしいだろうって、こう言ったんです」
本サイトは、安倍首相が宴会翌日にたった15分会議をしただけでさっさと私邸に帰ってのんびり過ごしていたことは批判したが、「二日酔いで出てきた」というのは書いていない。ネット上ではたしかに安倍首相の二日酔いを疑う声もあった。もちろん二日酔いだったかどうかは定かではないが、少なくとも志らくの主張する、安倍首相が宴会のあと「(災害)対応に見舞われて、それでくたびれて出てきた」というのは、真っ赤なウソだ。
志らくの主張する「安倍首相が宴会のあと、災害対応してくたびれた」は大嘘!
あらためて7月5日夜の首相動静を見てみよう。
〈午後8時28分、東京・赤坂の衆院議員宿舎着。同党の若手国会議員と懇談。上川陽子法相、同党の竹下亘総務会長、岸田文雄政調会長ら同席。
午後9時19分、報道各社のインタビュー。「懇談はどうだったか」に「和気あいあいでよかった」。同20分、同所発。
午後9時38分、私邸着。〉(時事通信)
時事通信以外の首相動静もだいたい同じ内容だ。宴会に出たのはたしかに50分だが、そもそもこんな状況でただの内輪の飲み会に5分でも行くのがおかしいし、志らくは宴会のあとの安倍首相が災害対応していたと話していたが、実際は1分足らずの取材を受けたあと、私邸にまっすぐ帰っているのだ。言っておくが、帰ったのは公邸でなく、私邸だ。家で災害対応していたなどという言い訳は通用しない。これのどこが、一体、「(災害)対応に見舞われて、それでくたびれ」たことになるのか。
どこでこんな与太話を仕入れてきたのか。ネトウヨのフェイク擁護に飛びついたか、官邸関係者に「ご説明」でも受けたのだろうか。いずれにせよ、ここまで露骨な安倍擁護もないだろう。
しかし、志らくは「自民擁護は誤解」であり、「ネットニュースの悪意」のせいだというのだ。
「そしたらネットニュースで、たぶん、悪意があるんでしょうね。『志らく、自民党の宴会擁護』って出ちゃった。それがタイトルになっているから、中を読まずに『志らく、なんだこのクズ落語家』とか、『なんでこんなもん擁護するんだ』『安倍のポチ』とか、いろんな言われ方をした。そうじゃないんだと、ツイッターで発表すると、『いまさら言い訳なんかして情けないヤツだ。お前の落語なんて二度と聞くまい』とか。聞かなくていいよ、お前なんか。聞いたってわかりゃしないだろとか思うんだけど」
ネットニュースが悪意で志らくの発言をねじ曲げたかのような言い草だが、説明してきたように、志らくが自民擁護していたのは、誤解でも歪曲でもなく、紛れもない事実だ。
志らくのやっていることは、安倍政権の「あり得ない対応」に対する責任は問わず、野党や批判の声のほうになぜか批判の矛先を向け、もともとの安倍政権への批判を打ち消す行為だけだ。志らくがどれだけ詭弁を弄しようとも、安倍批判封じであり、安倍擁護以外の何ものでもない。
中立を装い“どっちもどっち”論を吐きつつ、安倍政権批判を封じる志らくは安倍ポチだ!
だいたい、批判の声が高まったからこそ、安倍首相はようやく外遊を取りやめ、災害対応を始めたのだ。批判の声がなければ、安倍首相は予定通り外遊に出かけて、災害に苦しむ被災地のことなど一顧だにせず、この3連休もフランスでの軍事パレード見物にうつつを抜かしていたことだろう。
志らくが本当に自民擁護・安倍擁護をする意図がなく、権力を茶化すという落語家としての矜持や知性があるというのであれば、あるいは被災地を心配する気持ちがあるのであれば、批判すべきはなんの権限も権力ももっていない野党や「災害対応しろ」という一般市民の批判ではなく、明らかにその権限も責任もありながら災害対応を放置した安倍政権のほうだ。
志らくがよく使う「野党はどうなんだ」「批判している場合でない、一つになるべき」「対案を出すべき」という主張は、「Whataboutism」や「TINA」(There Is No Alternative)などと呼ばれ、いずれも過去に世界中の独裁政権や独裁者たちが使ってきた批判封じのレトリックの典型的なものだ。
安倍応援団番組の『ひるおび!』に毎日出ているうちに安倍応援団レトリックを信じ込んでしまったのか。あるいは、そのレトリックに乗っかっていれば『ワイドナショー』みたいにどんどん仕事が増えることに気をよくしているのか。──志らくは反論ツイートのなかで〈長きにわたって自民党を批判して保守系から吊るし上げられてきた歴史がある〉と主張していたが、少なくとも『ひるおび!』レギュラー獲得以降、安倍応援団化がどんどん進行しているのは間違いない。
しかも、田崎“スシロー”史郎・時事通信社特別解説委員や八代英輝弁護士のような露骨な安倍擁護と違って、中立を装って“どっちもどっち”論を吐き、そのじつ、批判潰しを展開するのが志らくのやり口だ。ある意味、丸出しの安倍応援団以上に、タチが悪い。
首相動静に、「安倍首相が落語家の立川志らくらと会食」なんて載る日もきっと遠くないだろう。
ちなみに志らくの言う「悪意あるネットニュース」というのがリテラのことか定かではないが、確認のため志らく師匠のツイッターを見ようとしたら、なんとブロックされていた。ツイッター上で絡んだこともないのに……。
(編集部)
最終更新:2018.07.16 12:24
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