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集団レイプ疑惑が浮上、「ミス慶應」主催団体・慶應大学広告研の女性差別体質! マスコミにも卒業生が多数
慶應義塾HPより
先日、慶應義塾大学の学園祭の恒例イベント「ミス慶應コンテスト」が、主催団体に所属する学生の未成年飲酒問題を理由に中止すると発表されたが、じつは飲酒だけではなく性的暴行事件があったと、昨日発売の「週刊文春」(文藝春秋)と「週刊新潮」(新潮社)が揃って報じた。
主催団体は、大学公認のサークル「慶應義塾広告学研究会」(以下、広研)。これまで「ミス慶應」に選ばれた者のなかには元TBSの青木裕子や元フジテレビの中野美奈子、テレビ朝日の竹内由恵、日テレの鈴江奈々、TBSの小川知子、NHKの與芝由三栄などがおり、“女子アナの登竜門”として注目を集めてきた。
そんな花形サークルの広研だが、「週刊文春」「週刊新潮」両誌の記事では、今年9月、広研に所属する当時18歳の女子学生が広研で運営する海の家の後片付けのため合宿所に呼ばれ、テキーラを強制的に飲まされつづけた挙げ句、複数の男子学生から性暴力を受けたと本人が告白。翌朝、逃げ出した彼女は途中下車した駅の救護室から病院へ救急搬送され、駆けつけた母親に事件のことを話した後、警察に被害届を出したのだという。
もちろん、女子学生と母親は大学にも被害を訴えたが、なぜか未成年飲酒だけが問題化されたことから、大学側が性的暴行事件を握り潰しそうとしていたのではないかという指摘もある。慶應大は「報道されているような事件性を確認するには至りませんでした」という見解(12日付)を発表したが、その対応はあまりに無責任というべきだろう。
いや、大学だけではない。マスコミ報道にも大きな疑問がある。それは、メディアがこの間、「ミス慶應コンテスト」とこの事件を切り離そうとしていることだ。
飲酒強要を理由に中止が発表された当初、ほとんどのワイドショーはこのサークルが「ミス慶應」を主催していることをクローズアップしつつも、しかし「こんな不祥事で長年続いてきたミス慶應が中止になるなんて」「一部の不届き者のせいでがんばってきた女の子たちの夢が踏みにじられた」というような論調を展開していた。そして、背後にレイプ事件があることがわかった後は、そもそも「ミス慶應」について積極的に触れなくなってしまった。
だが、両者は本当に無関係なのだろうか。そうではないだろう。今回の事件はむしろ、このサークルが「ミス慶應」を主催していることの延長線上で起きたと考えるべきではないのか。
実は、ミスコンについては、かつてフェミニズムの立場から、性暴力を生み、正当化する構造が内包されていることが指摘されていた。
〈女性を公の場で並べたてて眺める(そして美人コンテストを組織する)という男性の権利は、支配する側にいる現実の地位の現れである。この支配は、結果として性的不平等さを生み、男性の期待に合わないという理由で行われる女性に対する暴力を正当化する。それはまた、女性が男性を性的に刺激すれば、彼女は強姦されても当然だと男性が信じる理由である〉(山口典子「ミスコン・ポルノ・性暴力──暴力としての、みる文化──」 『女性・暴力・人権』学陽書房 所収)
そして、80年代後半から90年代にかけては、地方自治体のほか大学キャンパス内でも多くの反対運動が起こり、一時は開催を中止する大学も続出していた。
しかし、2000年代に入って、ミスターコンテストも同時開催することで“女性に対する差別ではない”として徐々に復活。むしろ最近は「就職につながる」という理由で人気を集めるようになった。
だが、ミスターコンテストも開催しているからミスコンは女性に対する性差別ではないという主張は、根本の問題をまったく無視している。
ミスコンが批判されたのは、男が女を「容姿の美しさ」で競わせることだけでなく、その「美しさ」というものが男性にとって性的魅力を感じる女かどうかに基準があったことだ。とくに批判が高まったころのミスコンは応募の際にスリーサイズを明記させたり水着審査を行ったりと、性的対象としての女の価値を推し量るためのコンテストというべきものだった。「内面や知性も審査対象にする」などというのは批判をかわすために生み出された言い訳に過ぎない。
歴史的文脈を踏まえれば、言い訳を並べ立てるだけで過去の流れをそのまま踏襲する現在のミスコンにも、この批判は当てはまるだろう。だが、80年代末〜90年代におけるミスコン批判はメディアによって「ブスのひがみ」と問題を矮小化され、一方で「男に選ばれる女性は社会で得をする」という価値観は是正されるどころか強まっていった。その「得をする」最たるイベントとして、ミスコンはより女性を男性視点の性的価値によって分断し、女性は男社会的価値を内面化するという、性差別の構造的問題を温存させてきた。
今回、性的暴行事件を起こしたのはミスコンの運営に直接あたっていたメンバーではないというが、慶應の広研といえば「ミス慶應コンテスト」が大看板となっているサークルであることに変わりはない。その内部において女を性的客体として扱う歪んだ価値観が蔓延していたとしても、まったく不思議ではないのだ。
現に、「週刊文春」の取材に応じた広研の学生は、暴行の模様がスマートフォンを通じて実況中継されていたことを明かし、「みんなで酒を飲み始めて、夜の十時半ごろ、アレが始まったんっすよ。写真見ます? マジ、ヤバイっすよ。芸術作品っすよ」「このとき、A子は意識がないんですよ」と記者に写真を見せながら“解説”。「これ、いくらで買いますか?」「買うなら今!」などと売り込んでさえいる。
この「週刊文春」の取材からは広研メンバーの“事の重大さ”をまったく理解していない様子が透けて見え、早稲田大学の「スーパーフリー事件」のように、女子学生への性暴力が常態化していたのではないかという疑いさえ浮かぶ。少なくとも、こうした広研メンバーの男子学生には、女子学生を性的客体としてみる感覚があったことはたしかだろう。
しかも、もうひとつ、注視しておかなければならないのが、この「ミス慶應コンテスト」、そして広研というサークルが、ただの学生の活動にとどまらず、マスコミと一体化していることだ。前述したように、“女子アナウンサーへの登竜門”になっていることはもちろん、過去には「ミス慶應」の「クライアント賞」のメインクライアントが日本テレビだったこともあったという。
また、事務局の学生スタッフたちも活動を通じてマスコミとの関係を深め、卒業後、テレビ局や出版社、広告代理店に就職している者も多い。
そもそも、ミスコン優勝・入賞者を女子アナとして採用することが慣例化していること自体おかしいと言わざるをえないが、それに加えて、女を性的客体化するような価値観をもったこういう連中が、そのままマスコミで情報やコンテンツを発信しているのだ。
メディアにはびこる性差別の根っこは、思った以上に深くてグロテスクだ。
(伊勢崎馨)
最終更新:2017.11.24 07:30
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