お前らに舛添を責める資格はない…自民党の地方議員はトンデモだらけだ!「同性愛者は異常動物」「早く中出しさせて〜」

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自由民主党HPより


 政治資金問題で窮地に立つ舛添要一東京都知事だが、ついに辞職に追い込まれた。舛添の疑惑については、テレビや新聞が狂ったように喚き続けてきたので、今更コメントするつもりはないが、この間、騒動を見ていて、改めてうんざりさせられたことがある。それは、途中で手のひらを返し、舛添追及に転じた自民党都議会議員たちのレベルの低さだ。

 自分たちが擁立したことを棚上げして追及をするのはいいとして、肝心の質問の中身はスカスカ。返り血を浴びるのが怖いため具体的な疑惑にはほとんど触れられない。中には、“極右オヤジ”丸出しの演説を繰り広げる議員もいた。

 たとえば、典型だったのが、テレビで生中継された6月8日、最初に一般質問に立った自民党の来代勝彦都議だろう。舛添の疑惑にはほとんどふれず「日本人は世界に誇る道徳の持ち主のはず」「戦後日本では個人主義が走り過ぎた」などといったスピーチを延々続けたのだ。

 視聴者も「問題はそこじゃないだろ!?」とつっこんでしまったと思うが、いま、都議会自民党には、こういう頭の悪いネトウヨまがいの“極右オヤジ”がやたら跋扈している。

 一昨年、セクハラやじ騒動を引き起こした都議会議員もそうだった。登壇した塩村文夏都議に対して、「早く結婚したほうがいいんじゃないか!」「子供を産めないのか!」とセクハラかつ女性差別のやじを公然と放った鈴木章浩都議。彼は、自民党の責任を追及され一度は会派を離脱したが、昨年夏にこっそり自民党に復帰している。

 また、この問題を受け、約5年ぶりに再開された「男女共同参画社会推進議員連盟」の議連会長に就任した自民党の野島善司都議も、「(僕だって)『まだ結婚しないの』と言いますよ。平場で」と発言し、自民党のグロテスクな女性蔑視を露わにした。

 こうした自民党の女性蔑視&保守オヤジ的価値観は、もちろん都議会に限ったことではない。実は、安倍政権になってからというもの、全国の地方議会で、自民党系議員によるトンデモやじや差別発言が頻発。そのグロテスクな極右趣味が次々と露わになっている。なかでも最近集中しているのが、同性愛やLGBTに対する差別だ。

 たとえば昨年12月10日には、自民党の藤墳守岐阜県議が議会で「同性愛は異常」というやじを放った。藤墳氏はその後の会見でも「子どもができない結婚を社会が認めれば世の中どうなるか。子どもを作ることは社会に対する責任だ」「(同性愛が)社会に蔓延していくことへの危機感は持っている」などという暴言を連発した。

 同じく昨年12月には、神奈川県の鶴指真澄海老名市議が、ツイッターで、同性愛者について「生物の根底を変える異常動物だ」などと発言し炎上。鶴指氏は無会派だが「かながわ自民党市町村議員協議会」に所属しており、実質的には自民党系地方議員。選挙の際には地元選出の甘利前経済再生相も駆けつけたという。

 また今年2月には、東京都の小林優美杉並区議が、区議会での一般質問でレズビアンやゲイの同性愛者やバイセクシュアルを「個人的趣味」と発言し、誤解と差別を助長する暴言だと批判された。小林氏は現在、無所属ながら「自民・無所属・維新クラブ」の会派に所属している。もともとは極右政党・次世代の党(現・日本のこころを大切にする党)の杉並区議会第二支部長だと、自身のツイッターで公言していた。

 さらに酷いのは、やじや発言だけでなく、その行動から議員としての資格が問われるような“事件”をしでかす、自民党系地方議員の多いこと。

 たとえば、15年地方統一選で初当選した田村雄介神奈川県議。菅義偉官房長官の要請で鳴り物入りの出馬だったが、そんな田村県議に女性への“不倫破廉恥LINE”が流出した。これを伝えた「週刊実話」(日本ジャーナル出版)15年6月11日号によれば、田村県議がある女性に送ったLINEにはこんな文言が赤裸々に綴られていたという。

「俺のこと好きでいてくれたら、ちゃんと中出しするよ!」「俺の精子は強いから、すぐに出来ちゃうよ!笑」「じゃー早く、中出しさせて〜」

 ……なかなかお盛んな内容だが、田村県議は既婚者で、LINEの送付先は妻以外の女性。「実話」の取材に対して、田村県議はこの女性に「セックスしたいね、セックスのときはニーハイ履いて」などとLINEで送ったことは認めながらも、肉体関係は否定していた。だが、これはどう見ても、女性を性欲発散のための道具としか見ていないように思える。

 また、“ゲス不倫”といえば、11年4月の統一地方選で自民党公認候補としてトップ当選した京都の金ヶ崎秀明宇治市議(当時)。13年、やはり既婚者であるにもかかわらず、婚活サイトに虚偽のプロフィールを登録して女性と知り合い、不倫を行っていたことが発覚(女性は長男を出産したが、当初金ヶ崎氏は認知を拒否)。さらに「広報費」名目でコピー用紙21万枚を購入するなど政務活動費の不正支出疑惑も浮上し、15年の統一地方選では落選している。

 本サイトとしては、別に個人の不倫行為をどうこういうつもりはないが、彼ら自民党地方議員に顕著なのは、妻以外の女性との不倫疑惑が浮上すると、一点して関係を否定し、相手を切り捨てにかかることだ。自民党は常々「家庭のきずな」や「伝統的家族制度の復活」などと喧伝するが、それは結局のところ女性の上に男性が立ち、都合のよいようにふりまわす極右オヤジ的価値観であることがお分かりいただけよう。

 さらに言えば、自民党系の地方議員には、ネトウヨそのもののような人材も多い。

 なかでも有名なのは、福岡県の小坪慎也行橋市議だろう。“SEALDsをやっていると就職できなくなる”という卑劣な脅し、“原発反対デモは日当が支払われている”という悪質デマを撒き散らすなど、日々ネトウヨ発言を繰り返している小坪氏だが、初当選した4年前には、安倍チルドレンであり、例の「文化芸術懇話会」の代表を務めた木原稔衆院議員がわざわざ県外から応援演説にかけつけているように、自民党の安倍一派と深い関係にある。

 他にも、北海道の金子快之札幌市議(当時)は、自民党会派に所属していた14年当時、ツイッターで、「アイヌ民族なんて、いまはもういないんですよね」などと発言。さらに〈札幌市役所に中国の五星紅旗が掲げられています。「ついに占領されたか?」と思ったら、中国の友好代表団が来られているそうです〉などというネトウヨ発言も平気で連投しており、レイシストだとの批判が殺到。15年統一地方選で落選している。

 また、最近では、東京の田中裕太郎杉並区議が例の「保育園落ちた日本死ね!!!」ブログについて、「便所の書き込み」「『死ね』というほど日本が嫌なら、日本に住まなければ良い」などという暴言を自身のブログに書き連ねた。田中区議は13年にもブログで、認可保育所に入所を断られた杉並区の母親について、「子供というものは、基本的には親が家で育てるもの」「ならば最初から社会でお宅の子供の面倒を見ろということか」などとブログで綴っている。地域住民のために働くことが職務であるはずの議員とは思えない発言だが、とりわけ「日本に住まなければ良い」などという暴言はネトウヨそのものである。

 だが、これらの自民党系地方議員による差別やじ、ネトウヨ言動は氷山の一角にすぎない。より大きな問題は、こうしたトンデモ極右議員がのさばる背景だ。実は現在の自民党は“極右議員の製造工場”ともいうべき構造的仕組みをもっている。これには幾つかの要素が相互に連関している。

 ひとつは、日本青年会議所(JC)の存在が下地になっているということ。JCは地域の若手経営者などが集まる公益社団法人で、地方の名家や企業の二代目、三代目が数多く参加していることで知られる。地主や土建屋関係の人材も少なくないことから、自民党と結びついて国会議員や地方議員を多数輩出してきた。

 そのJCの中に、16年現在「憲法意思確立委員会」なる名称の集団がある。過去には「憲法論議推進委員会」や「自主憲法制定委員会」という名前で活動しており、同委員会のFacebookには活動記録として、日本会議が主導する憲法改正キャンペーンや改憲啓蒙集会の下働きをしていることがこれ見よがしに記されている。

 同委員会はここ数年、改憲世論を喚起するためのセミナー等を全国規模で展開しており、地域の中学校にも出向いて生徒たちに改憲の意識を植え付ける出前授業などを開催。また、かつては右派のいう「自虐史観」を広めるためのアニメなどを製作して公開してきた。ようするに、“地方の名士(の子孫)”から自民党議員へのルートであるJCの内部が、そもそも日本会議の別動部隊化しており、当然、JCの会員たちも極右改憲派に傾いていく、という仕組みだ。

 ふたつめは、保守系放送局「日本文化チャンネル桜」や、同局社長の水島聡氏が幹事長を務める保守系団体「頑張れ日本!全国行動委員会」など、草の根保守運動との連携だ。

 安倍首相ら極右界隈の有力政治家ともつながる“大手草の根保守”(妙な言い方ではあるが)は、数々の地方議員を改憲タカ派の論客として青田刈りしてきた。無名の地方議員からみれば、とりわけ「チャンネル桜」への出演は保守系コネクションの形成や、ネットの保守層およびネトウヨの支持を取り付ける絶好の機会。こうした右派のネットワークに取り込まれ、あるいは積極的に参加していくうちに極右論壇にありがちな民族差別や“左翼嫌い”の思想が蛸壺的に醸成され、パブリックな場所でもそうした発言が口をつくようになるのではないかと思われるのだ。

 そして、みっつめにして最大の要素は、やはり、12年末の解散総選挙で第二次安倍政権が誕生したことだろう。いうまでもなく、安倍晋三は自民党内の最右派派閥・清和会出身で、そのなかでも随一の改憲タカ派である。他方、宏池会など保守リベラル系有力派閥は弱体化が著しく、現在の自民党は「安倍派でなければ人ではない」とまで言われるほど、“安倍一強”状態が揺るぎない。

 もちろん、こうした自民党内の右翼的な空気を、自民党会派の地方議員たちも忖度する。特に、将来的に国会議員の席を狙う自民党系地方議員らは、小選挙区制の影響もあり、当然のように安倍チルドレンになることを義務付けられた。彼らトンデモ議員たちが、改憲推進や歴史修正、あるいは日本会議のような戦前回帰思想を前面に押し出すのも必然なのだ。

 事実、こうした自民党系トンデモ地方議員は日本会議地方議員連盟のメンバーとも重複する。少なくとも、セクハラやじの鈴木章浩・野島善司両都議、「同性愛は異常」の藤墳守岐阜県議、アイヌ差別の金子快之元札幌市議、ネトウヨの小坪慎也行橋市議、「日本から出て行け」の田中裕太郎杉並区議が日本会議地方議員連盟のメンバーであることが、日本会議の機関誌「日本の息吹」15年3月号と4月号に掲載されたリストからも確認できる。

 さらに、こうした“安倍カラー”の地方議会への蔓延は、意見書の採択からも見て取れる。しんぶん赤旗16年2月7日付によれば、現在、日本会議主導の改憲を求める意見書採択が33都府県議会に広がっており、その多くは自民党単独による採択。もともとは、第二次安倍政権誕生後の13年11月に日本会議が開いた全国代表者会議で改憲意見書を促すことが提起され、これが議会に持ち込まれて14年2月に採択されたのが最初の事例だという。

 記事によれば、自民党本部も各都道府県連会長や幹事長あてに意見書採択の要請文を出して、“改憲意見書”は全国各地に広がっていった。つまり、日本会議と安倍自民党ががっちりと手を組んで、自民党系地方議員に極右的改憲の方向性を植え付けているのである。

 つまるところ、全国の地方議会で頻発する自民党系議員の差別発言やトンデモ発言は、安倍首相の独裁状態にある自民党のグロテスクさの写し鏡なのだ。

 「都民のために身内の舛添を追いやった都議会自民党はよくやった!」などと考えるのは浅い。本稿で見てきたとおり、むしろ地方議会は安倍政権の腐食が一番進んでいる状況なのだ。こういう連中が少なからず国会議員へのステップアップを目論んでいるという現実を直視するべきだろう。

 日本の地方議会の劣化を食い止めるためには、この“極右オヤジ的価値観”の親玉である安倍首相を退陣させる以外になさそうだ。
(宮島みつや)

最終更新:2017.12.05 09:53

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