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モデルは自分? 義家弘介文科副大臣が書いていたトンデモエロ小説の中身! 教え子の母親と情事、生徒を拉致監禁し機関銃で…
衆議院議員「義家弘介」OFFICIAL WEB SITE「プロフィール」より
このたび第三次安倍改造内閣で文科副大臣に抜擢されたヤンキー先生こと義家弘介氏。本サイトでは、義家氏が過去に馳浩文科相とともに“体罰自慢”の対談を行っていたことや、第一次安倍政権時に教育再生会議の担当室長を務めていた際、体罰禁止の通達に見直しを迫っていたこと、さらに「善悪は国が決める」など、戦前さながらの思想統制発言を公言していたことを明らかにしてきた。
だが、そうした義家氏の資料を掘り起こしていた際に、本サイトは義家氏の暗部、いや“恥部”を発見した。
義家氏は安倍チルドレンとして参院選で初当選した翌年の2008年、何か調子にのってしまったらしく、文芸誌「小説宝石」(光文社)1月号から3月号に「路上の箴言」という小説を連載している。
これがなかなか香ばしいシロモノなのだ。たとえば、読み始めるとこんなシーンがいきなり出てくる。
〈僕にしがみつく彼女を優しく引き離した。そして……不思議そうに僕の顔を見上げる彼女の唇に、そっと唇を重ねた。(中略)僕らは激しく互いの唇をむさぼった。限界まで追いつめられた生命のその先を探求するために絡み合った。天井からぶら下がるアキラに、充満する香りに酔いしれながら……。〉
天下の文科副大臣がこんな安いエロ小説みたいな濡れ場を書いていたというだけでも驚きだが、このシーン、たんにエロいだけでなく、設定がヤバい。
この小説の主人公は、二宮という中学教師で、物語は、二宮が担任している生徒・アキラが突然、首つり自殺をしてしまうところから始まる。報せを受け、生徒の家に駆けつける二宮。すると、母親が現場にいて二宮にすがりついてくるのだが、その後、いきなり始まるのが、上記のシーンなのである。
〈天井からぶら下がるアキラに、充満する香りに酔いしれながら〉、つまり、二宮センセイは教え子の首つり死体のそばで、息子の死に泣き崩れる母親にいきなり濃厚キスをおっぱじめてしまったというわけだ。さらには、この後には肉体関係を結ぶ「事後」を感じさせる描写まで……。
しかも、いくら読み返しても二宮とこの母親に特別な関係があるようには思えない。どうも、二宮センセイはたんに生徒の自殺現場で母親に突然、欲情してしまっただけらしいのだ。これじゃあ、ただの変態エロ教師じゃ……いやいや、義家センセイのこと、エロスとタナトスの深遠なる関係を文学で表現しようとしたのかもしれない、などと混乱する心を鎮めつつ読み進めていると、またもやエロシーンが出てくる。
今度は、顔を知らない「あいあい」という女性からいきなり、エロ写メが送られてきたという設定だ。
〈『あいあい』からのメールには画像が添付されていた。すぐにそれをクリックしてみた。心臓が高鳴った。なんと、携帯電話の画面に、胸がアップで映し出されたのだ。大きすぎもせず、小さすぎもしない、乳首は品よく隆起している。
アキラの残像が一瞬で脳裏から消えた。
中枢神経に電流が走る。僕はひどく興奮していた。〉
〈僕の理性のリミッターは完全に解除されてしまったようだ。あんなことがあったばかりなのに、僕の下半身は隆起していた。
男には『種族存続』の本能があり、生命の危機を感じた時、なんとしてでも子孫を残さなければと、本能が生殖中枢を刺激するのだという。確かに徹夜明けの朝は普通じゃない。その意味では、僕の精神はすでに限界にあるのだろう。
いや、違う。彼女に、彼女の優しさに触発されているのだ。僕は彼女のような女が欲しかった。彼女のような女を僕のものにしたい。それだ、それだ。〉
エロ画像一枚で、自殺した生徒のことを脳裏から消去って、いったいどれだけ性欲優先なんだよ、とここでもツッコミたくなったが、二宮センセイはなんとこのエロ写メを送ってきた相手に返信してしまう。
〈きっと『あいあい』は神様が僕の人生の最大の不運に対する帳尻合わせに送ってくれた女神なんだ。せっかくだから堪能しよう。神様、どうもありがとう。〉
〈おお、やる気マンマンだね。
このとき既に、僕は完全バーチャル世界の住人となっていた。
現実なのか、仮想なのか、そんな線引きは傷ついた真夜中には必要ない。アキラのことは忘れて今夜はただ溺れよう。
僕はスウェットを下ろし、隆起したペニスを携帯カメラで撮影し、送った。
今度は、君の下半身も送ってほしいというメッセージを添えて。〉
なんだろう、これ。やっぱりタナトスとかなんの関係もないわ。というか、このしつこいエロ描写を読んでいると、義家センセイがノリノリで書いていることが伝わってきて、ドン引きしてしまう。
そういえば、義家センセイは教え子と結婚したという経歴を持っているうえ、以前「週刊文春」(文藝春秋)に高級ソープ通いをスッパ抜かれたこともある。もしかして、“教職者のモラルに反し、背徳の性愛にハマる”主人公・二宮は自分の願望の投影なのか。
まあ、でも、エロシーンがあるというだけなら、一応、教師退職後だし、このご時世、大目に見てもいい。問題はその後だ。
この「路上の箴言」には「路上の箴言 復讐編」と銘打たれた続編があり、やはり「小説宝石」08年8月号から09年1月号に連載されているのだが、これがまたとんでもないシロモノなのだ。
前編「路上の箴言」は、例のエロ写メ相手の「あいあい」が、その後、教師・二宮の教え子「ヨウコ」だったと発覚。ヨウコは大麻販売や売春斡旋などを行っていたグループのリーダーで、自殺した生徒はその大麻栽培にかかわり、秘密をばらそうとしたために自殺とみせかけて殺されていた。そして、二宮は送ったエロ写メをヨウコにチクられ、生徒の自殺は二宮が先導したいじめが原因によるものだとして、懲戒免職をくらう、というところで終わる。
続編は“復讐編”と銘打たれていることから察しがつくように、教職を追われた二宮が生徒たちに復讐を開始するというものだが、その復讐描写がヒドい。
二宮は自分をハメた中学生グループ22人を拉致し、廃校舎の教室に監禁、「最後の授業」と題し、問答無用で元生徒を殴りつけるのだ。
〈ユウタが口を開いた瞬間、二宮は渾身の力で殴りつけた。ユウタは吹っ飛び、後方のドアに激突した。ドアのガラスの向こうにいる能の面を被った男が、機関銃を教室に向けている。教室が凍りついた。
「お前の質問に答える必要はない。それに、なんだ、その口の効き方は。お前、自分が置かれている状況、わかっているのか? 僕は名前を呼ばれたら席に着けって言ったんだ。聞こえているのか?」
ユウタは床に横たわりながら二宮を睨んでいる。そんなユウタの腹に二宮は蹴りをねじ込んだ。グフッ、ユウタが床で悶絶する。〉
生徒たちに殴る蹴るの暴行を加え、あろうことか機関銃で恫喝……だが、ここで思い起こされるのは、義家氏の“ヤンキー先生”時代のエピソードだ。先日、本サイトでも引用したが、義家氏は馳文科相との対談で「いじめの指導で放課後四時間教室から(生徒を)出さなかった時は他の教職員がハラハラしながら私の教室の外で見守っていて後で散々言われました」と語り、過去に4時間も生徒を“監禁”したことを誇らしげに紹介。「教室の用具はボコボコになり、最後は加害生徒が泣いて詫びながら二度といじめないことを誓ったので終わりにしました」と、暴力による指導を行っていたことを明言している。すなわち、“実体験”と同じことが小説でも描かれているというわけだ。
実際、小説でもこの教師による暴力支配が肯定的に描かれている。途中、何の脈絡もなく、二宮が元同僚教員「片桐」にこんなトンデモ教育論をぶつシーンが登場する。以下、引用しよう。
〈片桐は爪が掌にめり込むほど、強く拳を握りしめた。
「なあ、二宮、それで、お前はいったいあいつらに何を教えたいんだ?」
二宮は、瞳を閉じ、少し考えた後、片桐を見つめて断言した。
「道徳、だ」
「道徳?」
「ああ。人としてのあるべき姿を、果たすべき責任を、この存在をかけて伝えたいんだ。
戦後教育は重大な過ちを犯してきた。多様な価値観、などと詭弁を使って、子供たちに共通の倫理観や道徳心を説くこと、いや、押し付けることを放棄してきた(中略)。」
(略)
「それが間違いだったとお前は思っているのか?」
「そう、だ。教育とは、突き詰めれば価値観の押し付けに他ならない。もっと丁寧に言えば、愛情に基づいた価値観の押し付け、だ。子供たちが当たり前のようにインターネットにアクセスできるようになった現代、未熟な子供たちの未熟な価値観を認め、信頼し、作り話の副読本を読ませて道徳を誤魔化す。それは『教育の自殺』といっても過言じゃない」〉
出た!“戦後教育がすべての元凶論”。詳しくは本サイトの過去記事をご覧いただきたいが、義家氏はこれまで、いじめ問題や不登校、学力低下、モンスターペアレンツの増加、性教育の内容、若者の年金未納などなど、今、起きている教育問題はすべて“日教組と戦後教育にある”と断じてきた。義家氏はその持論を二宮に語らせ、「道徳」を押しつけろ!と声高に主張するのだ。
さらに、呆気にとられるのは、同僚の片桐から「本当にお前の言うことに心の底から耳を傾けてくれると思うか?」と尋ねられたあとのやりとりだ。
〈「無理、だろうね。価値観の押し付けを通用させるためには、前提となるものがある。さっきも言ったけど、一つは愛情が伝わっている、ということ。でも、今の状況下ではそれは不可能。僕自身も、彼らに愛情を抱くことはできない」
「ならば、どうするんだ?」
「価値観の押し付けを通用させるもう一つの方法、それは、恐怖で相手を支配すること。だから、こんな手荒な方法を選んだんだ」〉
「多様な価値観」は否定し、「倫理観や道徳心」を押しつけるためには「恐怖で相手を支配する」──。どんなディストピア小説だよ!?とツッコみたくなるが、タチが悪いのは、これを書いている本人にディストピア意識がまったくないことだろう。
そう、罪もないのにハメられクビになった冤罪の教師が、殺人という罪を犯した生徒たちを罰する“正義の復讐劇”という設定のなかだからこそ、義家氏は堂々とファシズムそのものの思想を肯定的に描くことができる。小説によって教育のあり方を問うているのではなく、小説を利用して暴力や思想統制を是認しているのだ。事実、本作で「恐怖で相手を支配する」と二宮が語ったあと、その話を聞いていた同僚の片桐に「恐怖、か。そうだな、それしかないよな」と同意させている。
しかも、この小説の結末は、教室に監禁された子どもたちが二宮の長時間に及ぶ暴力を含んだ「授業」に感動して、「俺、その思いにこたえてーよ!」などと涙を流しながら叫び、更生(?)する。そして、なぜか唐突に校舎に火が放たれ、二宮は元生徒らとともに避難するのだが、ひとり教室に取り残された宿敵たるヨウコを助けるため、二宮は炎が立ち上る校舎に突入したところで、ジ・エンド。裏切った生徒のことも身を挺して守ろうとする熱血教師の物語というオチだ。まるでエロパートなどなかったかのような振り切り方である。
ちなみに、この小説の発表時、義家氏を担当した「小説宝石」の編集者は、「テーマは(義家)先生が一番書きたいこと、“教育(現場)の闇”でした。教師にも、生徒にも、親のなかにも闇があり、その闇は深いということを強調したいとのことでした」(「週刊現代」08年4月12月号より)と語っている。だが、誰より闇が深いのは、溢れんばかりのリビドーや実体験エピソードを絡めながら、暴力による思想統制の肯定を図々しくも小説として世に発表した義家氏本人だろう。
なお、本作「路上の箴言」とその続編は結構なボリュームなのだが、単行本化はされておらず、義家氏の公式ホームページからも存在を抹消されている模様。ようするに“黒歴史”なのである。
文科副大臣が、過去に生徒を拉致監禁し、暴力を加え、「道徳」の押し付けと恐怖支配を肯定する小説を書いていたとなれば、いくらフィクションといえども問題あり、と言わざるをえない。なぜならば、彼はいま、こうしたファシズム丸出しの思想を実際の教育界に実装することのできる立場にあるからだ。
ぜひ、義家センセイには、国民の目の前で、本作の意図をご説明いただきたいものである。
(宮島みつや)
最終更新:2015.10.26 08:30
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