俳優に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
人気沸騰! 斎藤工が「どこへ行っても壁ドン」「一発屋芸人みたい」と居心地の悪さ吐露
フジテレビ『医師たちの恋愛事情』オフィシャルサイトより
『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)で上戸彩演じる主婦と不倫に溺れる理系教師を演じ、「エロ過ぎる!」と女性を中心に話題を集め、一躍ブレイクした斎藤工。現在も『医師たちの恋愛事情』(同)にテレビドラマ初主演を果たし、当代きってのセクシー俳優として注目されている。
といっても、ドラマでの扱いは完全に“エロ要員”。物語の舞台は利益と権威が優先される大学病院だが、“白い巨塔”要素を織り交ぜつつも、ハイライトは傷ついた先輩外科医を演じる石田ゆり子を濡れた瞳の斎藤が後ろから抱きしめる……というものだった。しかしそこは、マツコ・デラックスに「性器みたいな顔」(フジテレビ系『アウト×デラックス』にて)と言われた斎藤の面目躍如。世の女性視聴者からは「キュンキュンしたー」「斎藤さん、存在がエロい」と高評価で、今後は壁ドン・床ドン・顎クイといったあざとい演出が登場する気配がすでに濃厚だ。
だが、こうした世間の評価に対し、斎藤の心情は複雑なようだ。
「ぼく、いま変な“セクシー俳優”みたいな冠がついちゃって、もう居心地が悪くてしかたないんですよ」
斎藤がこのように本音を洩らしたのは、先日放送された『さんまのまんま』(関西テレビ)でのこと。さらに、さんまが「あ、嫌なのか!」と水を向けると、斎藤はさらにこうつづけた。
「嫌ですねえ。どこへ行っても“壁ドン”してくださいって言われて。だから、一発芸がたまたまヒットした来年消える芸人みたいな」
たしかに3月にも『ヨルタモリ』(フジテレビ系)に出演し、宮沢りえ相手に壁ドンを実践していたが、その様子は手持ちの一発ギャグを披露するピン芸人のようであった。今年のはじめにはドラマの会見で「僕の枠は多分、男版壇蜜さん。そういう仕事が多くて、職業がわからなくなってきました」とも答えていたが、こうした状況を斎藤は「(役者として)15年やってるんですけど、無視されてきた時代が長かったので。人に注目されても、もう、一過性にしか見えないというか」と不安らしい。
そもそも、昨年マツコに“顔面性器”と言われた段階では「最高の表現をいただいた」「ここぞというときに使おうと思っています」(光文社「女性自身」2014年9月16日号インタビューより)と、セクシーの代名詞を切り札にしたいと語っていた斎藤。どうやら斎藤の思惑以上に消費のスピードは早く、半年ですでに芸能界によってカードが切られてしまい、もはや“壁ドン芸人”になった境地に立っているらしい。
しかし、この斎藤の気持ちは当然のものだろう。エロ俳優という称号以前に、斎藤といえばイケメン俳優とは思えぬ私生活を誇る“こじらせ系”。たとえば、芸能人・業界関係者の巣窟と化している中目黒を敵対視して“阿佐ヶ谷俳優”を名乗り、女芸人・ニッチェが主催する飲み会「阿佐ヶ谷会」に参加。売れない時期はTIMのレッド吉田に励まされ、友人を訊かれると必ずあばれる君だと答える。その態度は、芸能界におけるイケメン俳優たちの遊び方を徹底して拒否しているかのようだ。
そして、斎藤が芸能界でも特異なのは、その映画オタクぶりだ。自身も監督として映画製作を行い、昨年つくった短編はなんと国際エミー賞のデジタル部門にノミネートされているほど。もちろん映画愛も強く、好きな映画について語りはじめると斎藤の口はもう止まらない。
前述の『さんまのまんま』でも、牛乳を飲みながら「最初に好きになったのは『仁義なき戦い』とか、あのあたりの映画なんですけど」「これはタランティーノに影響を与えているのだと知って」と延々と映画を語り、戦前の日本映画にまで言及。「戦前の日本映画とかだと、“ちょんまげミュージカル”みたいな、やっぱり戦前はすごいポップな映画がいっぱいつくられているんですよ。ちょんまげでみんな歌って踊って、最後は大きな円を描いて終わるっていうね。もう、あっぱれなんですよ!」と、日本映画界の巨匠・マキノ正博の『鴛鴦歌合戦』と思しきマニア映画をバラエティ番組で堂々と紹介している。
さらに、さんまから「いまいちばん好きな映画とか、おすすめは?」と尋ねられ、斎藤は「ノルウェーの『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』」(日本では劇場未公開)と回答。いわく“除雪車アクション映画”らしいのだが、「タイトルだけ聞いてもB級ちゃう?」「それ、君しか面白くないと思うわ」とさんまも匙を投げる始末で、「映画の話めちゃくちゃ語りよるで、こいつ。タチ悪いで。ミルクだけ飲んでこんなに語られたら〜」と呆れ気味だった。しかし、斎藤はそれでも映画の話を語りつづけたのである。
そして、斎藤に対してさんまが下したジャッジは、こういうものだった。
「こいつ、モテへんわ、絶対。なんか俺、一安心やわ」
「お前、ほんまに残念やなあ。こんな顔もってて、そんな空気感もってて、(なのに)酒飲めない、映画語るとちょっとひく」
セクシー俳優でも壁ドン芸人でもなく、映画が好きすぎる残念イケメン。──このさんまの見立てが、たぶん正解なのだろう。なにせ斎藤は、小学校時代から知識よりも感性を重視するシュタイナー教育を受け、高校時代には世界各地をバックパックで一人旅。そのような貴重な体験と映画でやしなった感受性をもっていれば、突然、芸能界の軽薄な世界に染まって生きることなど、到底受け入れがたいはずだ。
だが、この残念さこそ、斎藤のほんとうの武器であるはず。たとえ壁ドン芸人として一発屋的に消費されたとしても、“こんな顔もってて、そんな空気感もってる”(さんま談)ことが貴重なのだから。ぜひこれからも、斎藤には“残念セクシー”を全面に押し出してほしいものだ。
(大方 草)
最終更新:2017.12.23 07:02
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