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冨永愛の自伝が壮絶すぎる!「裸の男二人が鎖で…」「風呂場で包丁を…」
カバーもスゴいが中身も……『Ai 愛なんて 大っ嫌い』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
モデルでタレントの冨永愛が初の自伝『Ai 愛なんて大っ嫌い』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出版した。冨永といえば、2012年に俳優の塩谷瞬と料理研究家のとの三角関係が大きく報じられたが、その後もサバサバとしたキャラが受け、バラエティにも進出。おしゃれでカッコよく、素敵な元スーパーモデルとして、またバツイチのシングルマザーとして活躍中のタレントだ。
そんな冨永は、さぞかしモテモテで、楽しい人生を歩んできたと思いきや、しかし全く様相が違うのだ。
「殺してやる──、
絶対にぶっ殺してやる。
許さない」
冒頭からこんな物騒な言葉が並ぶ冨永の幼少期はとてつもなく貧しかった。母は結婚と離婚を繰り返し、3人姉妹の父親は全員違う。また姉妹には関係のない男性が、常に入れ替わり同居するような生活だったという。
そして母親はネグレクト気味でもあった。
「母は、ほとんど家にいなかった。どこでどういう仕事をしていたのか知らない。(略)たまに帰ってくるときには、酔っぱらっていた」
小学校4年生のとき、学校でいじめられると言っても関心を示さない母。
「お母さん、
呼びかけても、呼びかけても、あなたは答えてくれない」
そんな母を憎みながらも、母に従うしか生きる術のない幼い冨永。そして孤独感を深めていく。
「心はどんどん閉じこもってしまって、“本当のわたし”は、誰にも見せない、誰にも知らせられない、と思うようになった」
冨永へのイジメは小学校から、モデル活動を開始した高校時代になっても続いたという。
「学校は毎日、地獄のようだった」
不良男子には毎日のように肩口を小突かれ、なじられた。
「あ…怖ぇ…にらんでんじゃねぇよ! この巨人女が!」
「モデルよりかプロレス行ったほうが有名になれるよって!! ジャイアン冨永!」
小さい頃から背の高かった冨永は、その高身長もイジメのネタにされていた。身長がこれ以上伸びないようにと、14歳のからタバコを吸った。モデルとしては圧倒的に有利なこの特長は、しかし冨永のコンプレックスになったのだ。
「ここからいなくなれば、幸せな世界に行けるのかもしれない。
いじめもなく、やさしいお母さんとお父さんのいる世界に」
母に甘えたい。本当の友人も欲しい。それなのに誰も分かってくれない。そんな感情が高ぶったある日、中学生だった冨永は自殺未遂を図ったという。
「わたしは包丁を持ったまま風呂場に入り、空の風呂桶の中で身体を折り畳んだ。右手につかんだ包丁の刃を顔の前に立てて、しげしげとよく見た」
「左の手首に刃を押し当てた。やろう。右手に力を込めた」
しかし死ぬことへの恐怖に、冨永は自殺を思い止まる。
「裸でバスタブの中で膝を抱え込み、わんわん泣いた」
そして冨永はこのとき決意したという。
「みんな、みんな、ぶっ殺してやる!」と。
こうして冨永の人生が赤裸々に語られるのだが、しかしさらに衝撃的な記述が存在する。
「痛い! 痛い!
頸椎と足首に冷たい鉄枷をはめられて、その先には重たい鎖がぶら下がっている。赤錆びて壊れたベッドの上で、わたしは身動きがとれない。
怖い! 怖い!」
「真っ裸の男二人が、ほくそ笑みながら。わたしを万力で締め上げる。皮膚が破れ、筋繊維が破裂し、骨が音を立てて砕ける」
直接的な表現こそないが、まるでレイプすら連想させる記述なのだ。
直後、「ハッと目が覚めた」とあり一見夢のようにも取れるが、しかしその後も「ぶるぶる震えが止まらない。恐怖で震えが止まらない。(略)わたしは喉が張り裂けそうなほどの叫び声をあげた。涙があふれて止まらなかった。失禁していた。」と続き、単に怖い夢を見ただけとは思えないほどのリアルな恐怖を冨永が感じていることがわかる。本書では現実とも夢とも明記されておらず、やはり、少なくともこれに近い体験があったのではないか、と思えるのだ。
「殺してやる。絶対ぶっ殺してやる」
冨永は自分を見下した人間、そして母親への“復讐”と“怒り”。そして貧しさから逃れたいとの一念から、15歳でモデルとなり、その後トップモデルへと駆け上がったという。
だがトップモデルとなった冨永は、その後いくつかの恋をして息子を授かる。そして13年、過労のため入院した冨永は、毎晩息子と一緒に病室で寝るなど穏やかな時に人生を振り返り、こう思うのだ。
「わたしをなじったやつらのことや復讐心など、いつのまにか消えてしまっていることに気づいた」
「憎しみに明け暮れていた十代後半。自分自身をのろい、自己を否定し、自身を愛してこなかったこれまでの生き方。そして母への憎悪。それらすべてが浄化されていくのを感じた」
なんとも壮絶な冨永の人生。いまやモデルという枠を越えその生き方も女子たちから支持される存在となっている冨永だが、17歳にして世界デビューを果たした当時から十代とは思えないスケール感があり、すでにある種の凄みすら感じさせた。カリスマという言葉すら安く思えるほどのあの存在感は、壮絶な人生と覚悟ゆえのものだったのかもしれない。
(林グンマ)
最終更新:2016.08.05 06:56
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