安倍政権が参院選後に先送りした年金「財政検証」の酷い中身!30年で年金制度破綻、支給開始年齢引き上げ誘導も

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厚生労働省HPより


 ようやく厚労省が「財政検証」の結果を出してきたが、結果は「やっぱり」というものだった。

 おさらいしておくと、財政検証は少なくとも5年に1度、公的年金の健全性を点検するもの。前回は2014年6月3日に公表され、今年も同じ6月上旬に公表されると見られてきたが、安倍政権は「検証に時間がかかっている」と公表を参院選後に先送りしてきた。金融庁の「老後2000万円不足」報告書が明らかになって、国民から「早く年金の検証結果を明らかにしろ」と迫られても、頑として公表を拒んできた。そのため、「財政検証で悪い結果が出たら7月の参院選で自民党に不利になるから、わざと公表を遅らせている」と言われてきた。

 そして、実際に公表された結果をみると、その見立ては完全に裏付けられたかたちだ。

 参院選の選挙期間中、安倍政権は財政検証の公表が遅れている理由を「オプション試算を検証しているため」などと強弁してきたが、オプション試算は前回もおこなっているもので遅れる理由になっていなかった。その上、今回の財政検証では、前回は8段階にわたっておこなわれたシミュレーションが6段階に減少しているのだ。シミュレーションを2段階も省いたのに、前回より約3カ月も時間がかかっているのはどう考えてもおかしいのだ。

 それ以上に重要なのは、その中身だ。というのも、今回の財政検証の結果は、公的年金制度の破綻がより一層進んでいることをあきらかにする内容だったからだ。

 たとえば、根本匠厚労相は、「経済成長と労働参加が進む」という経済前提のケース1〜3を取り上げ、「所得代替率50%以上を確保できることが確認された。(年金制度は)おおむね100年、持続可能になる」と断言したが、このケース1〜3というのは、物価上昇率が2.0〜1.2%、実質賃金上昇率が1.6〜1.1%という、現在の状況とはかけ離れた“大甘”な試算によってはじき出されたものだ。それでも、このケース1〜3でさえ、所得代替率は現在の61.7%から、約30年後には50.8~51.9%となり、モデル世帯の国民年金給付水準は約3割も減る計算だ。

 しかも、専門家からはケース1〜3は大甘のシミュレーションで、現実的ではないという指摘が相次いでいる。日本総研の西沢和彦主席研究員は〈過去30年の物価上昇率は平均0.5%で、近年は1%を切ることも多いなどと指摘〉した上で、「過去に照らせば、ケース⑤⑥が現実的。①~④は、あまりに楽観的だ」と述べている(朝日新聞28日付)。同様に、ファイナンシャルプランナーの小屋洋一氏も、28日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で“もっとも可能性が高いのは、経済成長率が0%のケース5”であると解説していた。

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