安田純平「日本政府が動いたと思われるのは避けたかった」の真意! 安倍政権は本当に救出に動いていたのか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

解放の報を受けて動き始め、自分たちの手柄話に仕立てた安倍政権

 実際、「イスラム国」(IS)に後藤健二さんと湯川遥菜さんが拘束された際も、安倍政権の対応は冷淡そのものだった。人質の解放交渉はもっぱら後藤さんの妻によるメールのやり取りに頼りきり。しかも政府は、後藤さんの妻のメール交渉には、文面も含めて関わっていなかったことが政府関係者らの証言により判明している(朝日新聞2015年4月16日付)。

 それどころか、「イスラム国」とパイプをもつイスラム法学者の中田考氏やジャーナリストの常岡浩介氏が湯川さん解放に向けて動いていた最中にも、公安に「イスラム国」の関係先として家宅捜査させるなどの妨害をおこない、中田氏が「イスラム国」の司令官であるウマル・グラバー氏から得た情報をつぶさに報告するも、それを無視していた。こうした点を考えても、今回、安倍政権が安田氏解放に積極的に動いたとは到底考えられない。

 にもかかわらず、今回、安田氏が解放されたと見るや、安倍首相や菅官房長官は自分たちの手柄話のように喧伝し始めたのだ。

「後藤さん殺害のときの対応が批判を受けたこともあって、官邸は今回、『自己責任』論を封印、逆に、政権浮揚のために解放に動いたことをアピールする作戦に出たようです」(前出・全国紙政治部記者)

 ようするに、安田氏が「日本政府が何か動いて解放されたかのように思われることを避けたかった」と言った背景には、こうした状況があったということだ。おそらく安田氏は自分を拘束していた武装勢力、カタールやトルコ関係者から日本政府が何もしてこなかったことを聞かされていたのだろう。しかし安倍政権の体質を考えると、自分の解放が政権の宣伝に利用されかねない、そう危惧しての発言だったのではないか。

 ところが、この国のメディアは政府の言うことを鵜呑みにして「日本政府が動いたのにこんなことは言うべきじゃない」など非難している。メディアがやるべきなのは、安易な安田氏バッシングに乗っかることではなく、安倍政権が国民を救出のために本当に何かをやってきたのか、そのことをきちんと検証することだろう。

最終更新:2018.11.02 11:28

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

安田純平「日本政府が動いたと思われるのは避けたかった」の真意! 安倍政権は本当に救出に動いていたのかのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。安倍政権安田純平後藤健二編集部自己責任論の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄