安倍首相宅放火未遂事件「18年目の真実」●山岡俊介(後編)

安倍首相は選挙妨害を依頼した前科8犯の男と密室で何を話したのか? 全容が記録された秘書の署名捺印入り文書が

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安倍との密談した後に、ブローカーを山口県警に逮捕させた安倍事務所

 しかし、それから、約1年後の2000年8月、工藤会系暴力団による安倍の自宅や事務所の放火未遂事件が起きた。安倍が直接、協力を約束したにもかかわらず、小山はなぜ、工藤会系暴力団を使って報復に及んだのか?

 その裏には、安倍サイドの裏切りがあった。実は小山は、この安倍との密談の翌月、99年8月に下関署に逮捕されているのだ。容疑は驚いたことに、安倍事務所・佐伯秘書に絵画を無理やり買わせたとする300万円の恐喝だった。しかし、小山によると、これはでっち上げ逮捕だったという。

「(選挙のすぐあと)たしかに佐伯はワシに300万円を渡そうとした。しかし、当時ワシはカネに困ってなかったので、断った。そうしたら、今度は知り合いの安倍の後援者である元会社社長が、ワシが当時、コレクションしていた石井薫風という画家を、その社長の女房が大ファンでどうしても彼の絵が欲しいと日参する。最初は佐伯のダミーやろと言って断ったが、あんまりしつこいので、絶対に佐伯とは関係ないなと念押しして譲ってやった。それが、安倍に会ったあと、いきなり佐伯から告訴されて、逮捕されたんや」(同)

 実際、下関署に逮捕された小山だったが、その後、検察で起訴猶予になり、釈放されている。また、筆者は小山からこの300万円の領収証のコピーを入手したが、その宛先は佐伯秘書ではなく、小山の証言通り別人だった(日付は選挙翌月の99年5月20日)。

 もちろん、小山の主張をすべてうのみにはできないし、この元会社社長がダミーで、元は佐伯秘書か安倍事務所の金だった可能性もある。だが、すくなくとも、安倍事務所が裏切って佐伯に小山を告訴させたことは間違いないだろう。

 小山を逮捕した山口県警、下関署は父親の代から安倍の影響力が非常に強いうえ、筆頭秘書の竹田は元山口県警の警視だった人物。おそらく安倍との密談で小山から突きつけられた要求が実現不可能なものだったため、追い詰められた安倍事務所は、佐伯に告訴させ、山口県警に働きかけて、小山を口封じ逮捕させたのではないか。

 起訴できなくても逮捕させるだけで小山には脅しになる、山口県警に手を回せば、表沙汰にはならないという計算もあったのだろう。実際、マスコミはこの事件をほとんど報じなかった。

 しかし、小山はひるむどころか、協力を約束しながら一転、口封じを図った安倍サイドの裏切りに激怒した。工藤会系暴力団を使った放火未遂事件は、その報復だったのだろう(小山自身は、放火についても明確に指示を出したわけではないと、無罪を主張していたが)。

 その怒りは、逮捕されて実刑判決を受け、収監されても変わらなかった。裁判では安倍事務所による選挙妨害依頼の詳細や念書のことは一切語らなかったが、その一方で、小山は獄中からも、安倍に対して、抗議の書面や要求の手紙を送り続けていた。こうした書面や手紙には、今回、紹介した文書よりもさらに生々しい事実も書かれている。筆者が主宰する「アクセスジャーナル」で詳細を紹介しているのでぜひ、読んでいただきたい。

 しかし、安倍の側は小山がいくら書面を送ってもなしのつぶて、全く相手にしなくなった。小山が服役している間に一強体制を築き、メディアまで支配した安倍はもはや、小山のことなど恐れる必要はないと考えるようになったのだろう。実際、どのマスコミもこの問題を報道することはなかった。前編でも紹介したように、唯一、この問題を報じようとした共同通信も、途中で潰されてしまった。

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