横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」14

財務省の森友学園文書はやはり存在していた! 情報開示請求で黒塗りだらけの近畿財務局の記録が

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黒塗りだらけ、財務省文書には何が書かれていたのか?

 昨年のTPPの国会審議でも安倍政権は、交渉過程に関する資料を黒塗りにした。玉木雄一郎衆院議員(民進党)が「国民に知られたくない密約があるのではないか」と追及。参院選の応援演説でも、黒塗りの文書を手に政権の隠蔽体質を批判したが、その文書をはるかに超える森友学園関連の文書が出てきたのだ。

 ではこの文書には何が書かれていたのか。文書の冒頭部分で内容が読み取れるのは4ページまで。表紙(1ページ目)の国有地の所在地や面積や籠池理事長の名前と電話番号は判読可能で、2ページ目も「(1)取得等方法 購入(できれば、当初は借地、その後に購入)」「(2)取得等時期 平成26年度予定」「(3)貸付要望期間 8年間は貸付を受けて、その後に購入したい」などと書いてあったが、ここで「別紙添記載」扱いとなっていた「事業計画の概要 開設概要」「事業実施スケジュール表」「創立予算費・負債償還計画書」は、それ以降のページで内容がことごとく黒塗りとなっていたのだ。

 例えば、「開設概要」の「設立趣意書」(5~7ページ)は設立代表者の籠池理事長名以外はすべて黒塗りで小学校名すらなかった。「学級編成表」(8~9ページ)も学級数と生徒数のデータも判読不可。「学則」(10~17ページ)に至っては表題以外に読める部分がなかった。「教育勅語の暗唱など教育基本法に反する学則であったためか」と勘繰りたくなるのだ。

 大阪府私学審議会がいったん認可保留とした理由の「財務状況(資金計画)」についての情報も隠蔽されている。

「資金収支計算書(平成25年4月1日から平成26年3月31日まで)」という表題は読めるが、「学生生徒等納付金収入」「寄付金収入」「補助金収入」「人件費支出」などの金額はすべて黒塗りになっていた。

 財務状況の判断材料となる「貸借対照表」「固定資産明細表」「借入金明細表」「森友学園 新規学園設立案件 収支計画・借入金返済計画概要」も金額が全て黒塗りなので、妥当性をチェックしようがない。

 文書全体を通して、財務省の情報隠蔽は徹底していた。安倍夫妻が称賛していた森友学園の実態を“闇”に葬り去ろうとする意図が否が応でも伝わってくる。意思決定過程をチェックできない安倍政権もかつての都庁と同様、ブラックボックス化した“伏魔殿”といえるのだ。

 近畿財務局の5回の大阪府訪問記録が物語るもの

大阪府の対応と比べても財務省の隠蔽体質は際立っている。この問題を国会で初めて取り上げ、今でも追及を続けている宮本岳志・衆院議員(共産党)は4月12日の財務金融委員会で、大阪府の「設置認可申請に関する検証報告」を配布した上で、近畿財務局の5回の府訪問について質問した。

これに対し佐川宣寿理財局長は「個別の日時とか回数までは把握していない」「個別の面会の記録、やりとり等は残っていない」と答弁、宮本氏は「話にならない」と呆れた。

「借地上への校舎建設禁止」の審査基準違反をした私学課長に厳重注意の甘い処分を下した大阪府だが(前回の連載で紹介)、それでも聞き取り調査をして検証報告書も発表していた。そこで宮本氏は、財務省も大阪府と同じように担当者への聞き取り調査をすべきと迫ったのだが、佐川理財局長は「通常の地方公共団体とのやりとりの一環。改めて調査をすることは考えていない」と拒否したのだ。

 近畿財務局の国有地払下げと大阪府の私学認可は「ニワトリとタマゴの話」(鴻池事務所の陳情整理報告書より)と評された関係で、2つの行政機関が足並みを揃えないと実現困難だった。しかし宮本氏がこの日の追及で浮彫りにしたのは、近畿財務局が主導して大阪府がそれに従ったという“主従関係”の構図だ。森友学園称賛の安倍夫妻の意向を受けて、中央官庁が地方自治体に不当介入した疑いがあるともいえるが、この疑惑解明を財務省は頑なに拒んでいるのだ。

 近畿財務局職員の府訪問日時は以下の5回。府が私学課からヒアリングをしてまとめた検証報告の「一覧表」に記載されているものだ。

2013年9月12日
2013年11月19日
2014年7月28日
2014年10月2日
2015年1月8日

 中でも宮本氏が注目したのは、5回目の2015年1月8日の訪問だ。一覧表には近畿財務局職員2名が来庁した理由が記載されていた。

〈(府私学課)B主査(担当主査)
〇平成26年12月の私学審が継続審議となったことについて確認するために来庁。
〇「この先認可が下りる見込みがあるのか」、「下りるとしたらいつ頃の見込みになるのか」との問い合わせがあった。
〇「早ければ平成27年1月中に開催することも視野に入れて検討はしているが、開催が決まっているわけではない。」「実際に開催されても認可適当との答申が出るとは限らない」と回答したと記憶〉。
〈 C補佐(当時グループ長)
平成27年2月(予定)の国有財産の売払いの審議会までに、私学審の答申は得られるのかという話があり、「いつ答申が得られるのかわからない」と返答をすると、「審議会の結論を出す時期など、ある程度事務局でコントロールすることはできるのではないか」との趣旨の発言があり失礼に感じたと記憶〉

 近畿財務局職員が上から目線で文句を言ってきたので、府私学課担当者が「失礼」に感じたという面談状況が目に浮かぶ。

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