高市早苗が提唱した「ポイントカードとマイナンバー一本化」の真の目的… 『ビッグデータ・コネクト』の作家がマイナンバー制度に警告

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「ツタヤ図書館では図書の貸し出し記録を、TカードのPOS(商品の販売情報を記録して在庫管理などに用いるシステム)を用いて民間の運営会社に蓄積します。市長は貸し出し記録が個人情報でないと言っていたわけですが、無知もいいところですね。
 戦前、特高警察は国民の思想統制のために、図書館の貸し出し記録を利用したという歴史がある。その反省から公的図書館では貸し出し記録の保存はしていません。誰がどんな本を借りたか、そのデータを利用することは、憲法の保障する「内心の自由」を侵すことにもなりかねないからです。
 そんなこともわからない市長が現実にいて、マイナンバーのようなソーシャルIDを、官設民営型のビジネスを通じて民間業者が扱うって怖くありませんか?」

 前述の小説『ビッグデータ・コネクト』は、図書館、フィットネスクラブ、総合病院、自治体出張所などが併設された「コンポジタ」という官設民営施設を舞台に物語が展開する。この「コンポジタ」は、「TACカード」(おそらくTポイントカードがモデル)とマイナンバーカードを施設受付にあるカードリーダーに挿入すれば会員登録ができ、施設内での買い物などでポイントを貯められるほか、住民票や生活保護など公的機関の申請も行える場所として描かれている。マイナンバーカードとポイントカードの一本化──本稿冒頭にあげた高市大臣の案からも分かる通り、15年4月の『ビッグデータ・コネクト』の出版から数カ月で、小説の世界に現実が追いつこうとしているのである。

 話を『ビッグデータ・コネクト』のあらすじに戻すと、この「コンポジタ」プロジェクトの真の目的は利便性をエサに市民を呼び寄せ、「TACカード」に刻まれた購買情報などのデータと、マイナンバーの情報をくっつけること。さらに、登録用のカードリーダーには「アルテク」(おそらくアルソックがモデル)のカメラが備え付けられており、そこで得られた「顔紋」「顔認識システム」も先ほどの情報と融合させ、国民を監視する完璧なビッグデータを完成させることにあった。その裏の計画を指揮していたのが、行政の市長、そして警察の上層部であることがストーリーの終盤で判明。彼らはこのビッグデータを用い、秘密裏に市民生活を監視しようとしていたのだ。

 ここまでの話を聞いて、「所詮はフィクションでしょう?」とお思いになる方もいるかもしれない。しかし、現状はそんなに安穏としていられるものではない。再来年には、任意ではあるが、マイナンバーが預金口座とひもづけられることが決まっている。また、同じく再来年には医療分野にもマイナンバーが使われることが検討されており、番号により診療結果や処方薬に関する情報が引き出せるようになる。これは、財産・健康に関するビッグデータを国が管理しようとしているということを意味している。

 高市大臣が「各種ポイントカードをマイナンバーカードへ一本化」などという庶民感覚から乖離したトンデモ案を出してきたのも、ポイントカードから得られる購買履歴などのビッグデータを収集しようとしていたからだという見方をすれば腑に落ちる。

 これは陰謀論などではない。宣言さえ出してしまえば何人も国の指示に従わなければならなくなり、国民の権利を著しく制限する緊急事態条項などを掲げる安倍政権だ。それぐらいのことは考えているだろう。こういった政権にまとまった情報を渡してしまうということは、盛んに喧伝されている「情報漏洩リスク」などより、遥かに高い危険性を孕んでいることを、国民ひとりひとりが認識する必要がある。マイナンバー制度が用意した道の行き着く果ては、「監視国家」というディストピアが待っている。
(井川健二)

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