女子挺身隊と慰安婦の混同も…慰安婦「誤報」の元祖は朝日新聞でなく産経新聞だった! 阿比留記者また赤っ恥

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〈太平洋戦争が始まった1941(昭和16)年ごろ、金さんは日本軍の目を逃れるため、養父と義姉の3人で暮らしていた中国・北京で強制連行された。17歳の時だ。食堂で食事をしようとした3人に、長い刀を背負った日本人将校が近づいた。「お前たちは朝鮮人か。スパイだろう」。そう言って、まず養父を連行。金さんらを無理やり軍用トラックに押し込んで一晩中、車を走らせた〉

 記事に出てくる〈金さん〉というのが、植村氏が書いた「女性」のことだ。植村氏の記事では、女性は「騙されて慰安婦にされた」とされていて、「強制連行」や「軍」という言葉はひとつも出てこない。何のことはない。「日本軍によって強制連行された」というフレーズは、朝日ではなく産経が“世界に拡散”させていたのである。

 阿比留記者ら産経新聞「歴史戦」取材班は、この程度の自社の歴史すら検証していなかった。そこで、先のインタビューで植村氏から「(歴史戦と大袈裟なことを言うなら)産経新聞の先輩記者と歴史戦をまずやるべきじゃないですか」とやりこめられたのだ。

 ちなみに、金さんが日本の軍人に脅され、連れ去られた事実はない。だが、誤解のないように断っておくが、筆者は当時の産経の報道を批判するつもりはさらさらない。前出の産経新聞の記事は金さんの記者会見での証言を元に書いたものだ。金さんの証言はその後、二転三転した。半世紀も前の記憶だから、これは仕方がない。産経の記者は、その金さんのその時点での証言をきちんと伝えただけなのだ。これを誤報と批判されたら、新聞など成り立たない。というか、新聞はもともと“誤報”の巣窟なのだ。

 例えば、後に冤罪が判明した足利事件の菅家利和さんや厚労省汚職事件の村木厚子さんの逮捕時の報道は、いま振り返るとデタラメの垂れ流しだ。だが、当時の記事を取り消したりお詫び訂正した新聞社はひとつもない。それは、その時点において記者が真実だと信じた情報を正しく伝えた、という意味においては誤りではないからだ。これが新聞というメディアの欠陥であり限界なのだ。阿比留記者を始めとする最近の産経記者は、こうした新聞のメディアとしての特異性を知らないのだろう。でなければ、『歴史戦』などという恥ずかしい本は出せないはずだ。

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