今度は七尾旅人が安保法案に警鐘ならし炎上! 「アメリカのパシリになったら日本に愛情持てない」と言いきったアクティビストの真意とは

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〈いまは上下左右どの層においても、単純化されたステートメントが人を引きつける時代で、震災後その傾向がさらに強まったと思っています。(中略)いま何かを言わなければいけないというふうに駆り立てられている部分があったと思いますが、だからといって「全部ウソだった、全部クソだった」で済まされると、音楽に携わる一人として焦るというか、恥ずかしい。その一言で何かが解決するわけでもなく、悪化するだけだし、そうやって日本で放たれる言葉がとても幼児化、退行しているということに強い違和感を覚えて、原発事故の二ヶ月後に「圏内の歌」をつくりました〉
〈もしシンプルに何かのステートメントで解決できるような問題であれば、歌とか音楽でやる必要はなくなってしまうんです〉
(「ユリイカ」15年7月号)

 時折「アクティビスト」とすら呼ばれるほど、実際に行動をともなって社会的なイシューと関わり続けた結果、彼がたどり着いた結論は、“論理を単純化させない”“多様な意見に耳を傾ける”というものだった。この姿勢は、反対意見をもつ人々との議論にまともに応じず、一方的に自分の意見を通そうとする安倍政権に最も足りない要素でもある。

 もっとも、そのような意見をもち、行動している七尾までが、自分の意見を述べただけで炎上してしまう。ただ、七尾はこの状況にもまったく怯むことなく、むしろ炎上をさらに挑発するような言葉すらツイートしている。

〈文脈や歴史は無視して自分の耳に引っかかる部分だけ脊髄反射的に受容する気質っていつ頃形成されたのか 記号が乱舞したバブル期か 世界宗教から都合の良い箇所だけつまみ食いした教義でカルト性を増していったオウムの頃 あるいはワンフレーズポリティクスで絶大な大衆人気を得た小泉政権の頃〉
〈さしたる脅威もなく他所の生き血を啜って肥えてきた国なのに いつのまにか強烈な被害者意識抱えて「無人爆撃機で誰も死なずに国家を守れる」とは片腹痛いってことよ 被害者意識だけで平和を想像出来るわけがない まともな音楽も作れない それなら俺は爆撃される場所に行くわ おやすみ〉

 9.11後の世界情勢にインスピレーションを得てつくられた、07年発表の七尾のコンセプトアルバム『911 FANTASIA』には、〈知ってるかい? かつてこの星の中に一つだけ、戦争をしない国があったんじゃ〉〈そうじゃ。他でもないこのワシらの国、日本じゃ〉という、まるで2015年の状況を予見したかのような語りが収録されているが、“戦争をしない国”を“かつて”ではなく“これからも”維持していくために、正念場のいま、やれることはまだ残されている。
(井川健二)

最終更新:2015.08.06 10:55

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