百田尚樹は『ナイトスクープ』時代から杜撰でテキトーだった…プロデューサーが証言!

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 ずいぶんはた迷惑な話ではあるが、それでもスタッフが百田氏、いや“百田くん”を重宝していたのは、〈鋭いアイデアのひらめき〉があったからこそ。ただ、一方で、相当に注意不足な人間でもあったようだ。たとえば、調査結果をもとにアホとバカの分布図をつくっても、〈ズボラな百田君らしい誤りがいくつかあった〉。しかし、この間違った分布図は、視聴者の郷土愛を多いに刺激した。

〈分布図が間違っているから訂正せよ、と抗議する人々も少なくなかった。百田君の杜撰な分布図作りがかえって幸いしたもので、これは貴重な発見だった〉

 そうして松本プロデューサーは、百田くんの“杜撰さ”を利用すべく、〈分布図作りは当分、百田君に任せておいた方がいいだろう〉と判断。なるほど、“バカとハサミは使いよう”とは、このことかもしれない。

 しかし、百田くんの“困ったちゃん”ぶりは、仕事が杜撰というだけではなかった。いまも百田くんの特徴のひとつとなっている“頑固で持論を曲げない”という点だ。

 調査をはじめた松本プロデューサーが知りたいと考えたのは、〈「アホ」「バカ」「タワケ」「ダラ」「アンゴウ」などの方言分布の成り立ち〉だった。そのとき、大きなヒントとなったのが『日本の方言地図』(徳川宗賢/中公新書)という本。この本には、民俗学者・柳田國男が『蝸牛考』で示した理論である「方言周圏論」がわかりやすく書かれていた。

「方言周圏論」とは、〈ちょうど池に石を投げ込むと、波紋が丸い円を描いて広がってゆくように、言葉もまた都から同心円の輪を広げながら、遠くへ遠くへと伝わっていった〉という考え方。松本プロデューサーはアホ・バカを示す方言も柳田のこの解釈に当てはまるのではないかと考え、これを会議で報告したのだが、スタッフは納得しない。その急先鋒こそ、百田くんだったのだ。

 というのも百田くんは、以前にスタジオでの中間報告で上岡龍太郎が語った“言葉が「県」や昔の「藩」で区切られているのではなく、古代以来の「国」によって分けられているのでは”という指摘にすっかり染まっていた。そのため、〈上岡局長の本番での直感による発言に触発されて、独自に古代王朝語残存説をぶち上げた百田君にとっては、(方言周圏論は)とうてい承服できるものではなかった〉のである。そして、百田くんはこんな持論を会議でぶつのだ。

「岡山の『アンゴウ』は吉備王朝の名残りである可能性もきわめて高い。『アンゴウ』が志摩半島にもあるのは、神武東遷の際、ここにも迂回してきた跡を示すものにほぼ間違いないでしょう」

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全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路 (新潮文庫)

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