無着色たらこの方が添加物まみれ? 知られざる「食品表示」の落とし穴とは…

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 さらに困ったのが、臭素酸カリウムがパンを焼く工程で分解されるため「加工助剤」として原材料表示の義務を免除されていたということだ。その結果、原材料表示には「イーストフード」という名前だけが残り、結果的に臭素酸カリウムがイーストフードの構成要素であるかのような誤解を産んでしまったのだ。

 国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家委員会は臭素酸カリウムを遺伝子障害性発がん性物質に認定。小麦粉処理剤としての使用は容認できないとしている。現在、日本の多くのパンメーカーは臭素酸カリウムの使用を自粛しているが、現在も使用するパンメーカーも一部あるなど、日本の厚労省は使用を禁止しているわけではない。そもそも厚労省が明確に使用を禁止すれば、食品表示の落とし穴もできなかったはずなのだが……。

 さて、食品添加物といってすぐに思い出すのが合成着色料の類い。妙に発色の良い食品は合成着色料が多く使われているため“添加物まみれ”のイメージが強いが、実際はちょっと違うようだ。前出『食品表示の罠』では築地の魚河岸で働いているという人物のこんな発言が紹介されている。

「着色のたらこは色でごまかせるから添加物が少なくてすむんだけど、無着色のたらこはよりたくさんの添加物を使わないと色が維持できないから、結果的に着色のたらこのほうが安全なんだ」

 スーパーなどで販売されている無着色のたらこには「調味料(アミノ酸等)」「酸化防止剤(ビタミンC)」などの添加物に関する表示がなされているが、その量までは明らかにされていない。実は合成着色料が入っていないだけで、無着色のたらここそが添加物まみれとなっている可能性も高いというのだ。

 たらこと同じく、数の子でもその色を保つために処理が施されているのだが、こちらは着色ではなく、過酸化水素で漂白するのが一般的だ。過酸化水素とは、傷口の消毒に使うオキシドールのこと。頭髪の脱色にも使われる物質だ。

 過酸化水素は発がん性が認められており、食品への使用が規制されているが、「最終食品の完成前に分解または除去する」という条件で使用できる。つまり、前述の「臭素酸カリウム」と同様に、加工助剤として食品表示に掲載されないのだ。あくまでも残留していないという条件だが、発がん性物質を使った食品にその表示義務がないというのは、なんとも怖い話だ。

 ちなみに、数の子の漂白の方法は、過酸化水素水に72時間漬けた後、過酸化水素を分解するカタラーゼという酵素で除去するというもの。「水に長時間浸すことになるので、うまみは抜けてしまう可能性があります」(同書)とのことで、まさに本末転倒。色を保つためにわざわざおいしさを損なわせてまで発がん性物質に晒すとは、一体なんの意味があるのだろうか……。

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