名誉毀損で有罪判決の元「噂の真相」編集者が産経新聞問題を語る

言論弾圧は韓国だけじゃない! 日本の検察も刑事罰で批判報道を封じ込め!

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画像は「産経新聞社公式HP」より


 産経新聞・加藤達也ソウル前支局長がソウル中央地検から在宅起訴された問題で、日本のメディアが一斉に批判の声をあげている。一面に熊坂隆光社長名の声明を掲載した当事者の産経新聞はもちろん、朝日、読売、毎日も大きく紙面をさき、「言論、報道の自由に対する侵害」と韓国当局を強く非難した。

 政治家や識者も同様だ。橋下徹大阪市長が「とんでもない。名誉毀損で刑事罰に処すなんて民主主義の国とは思えない」とコメントしたのをはじめ、「日本と違って韓国は言論の自由はないのか」「韓国の司法は日本と違って政権と癒着し、独立していない」「国家権力の言論弾圧以外の何ものでもない」といった声が噴出している。

 たしかに、韓国、ソウル中央地検の今回の行為は徹底して批判されるべきだ。それがどういう報道であれ、外国の報道機関を国内法で処罰するのは国際社会の常識に反しているし、そもそも橋下氏がいうように、名誉毀損で言論機関、メディアを起訴すること自体が、民主主義国家としてありえない恥ずべき行為である。

 だが、ひとつだけ訂正しておきたいのは、今回の事件は右派メディアや嫌韓論者が叫ぶような、「韓国だから起きた」特殊な言論弾圧事件ではない、ということだ。
 
 実は日本においても、同様の「名誉毀損」を使った国家権力による言論弾圧は起きている。今から20年前、私自身がその当事者として、今回の産経新聞ソウル支局長と同じように、日本の検察から名誉毀損で起訴されているのだ。

 当時、私は「噂の真相」(2004年休刊)という雑誌の編集デスクをつとめていた。この「噂の真相」という月刊誌はタブーに踏み込むことを編集方針としており、大物政治家、警察、財務省、宗教、同和利権、大物作家、大手芸能プロダクションなど、マスコミがふれることのできない不正やスキャンダルを次々と記事にしていた。

 中でも徹底的に追及していたのが、日本唯一の公訴機関である検察庁だった。検察をめぐっては今でこそ、調書改ざん事件や国策捜査問題で、批判報道も珍しくなくなったが、今から20年以上前には「国策捜査」という言葉すらなく、検察を批判するメディアは皆無。そんな中にあって「噂の真相」は唯一、検察の捜査手法の問題点、政治家との癒着、検察幹部が企業から接待漬けにされている事実などを次々暴き続けていたのだ。

 その姿勢は政治家や大企業の摘発を担当し「日本最強の捜査機関」といわれていた東京地検特捜部に対しても同様で、「特捜のエース」とマスコミからヒーロー扱いされていた宗像紀夫が特捜部長に就任すると、その宗像部長と福島交通の小針暦二会長との関係や捜査情報漏洩疑惑などを連続追及した。

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