異常に高い自殺率! 自衛隊がひた隠しにする虐待、いじめの陰惨な実態

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 まだある。07年5月14日、北海道名寄市の陸上自衛隊で25歳の隊員・植田大助さんが首つり自殺した。20万円がはいった金庫を盗んだという濡れ衣を上司に着せられた“抗議の自殺”だった可能性が高いという。大助さんは部隊の金庫当番を命じられた。「盗難事件」はそれからわずか二〇日後のことだ。遺書には「金庫を盗んでいない」「もう限界です」「犯人を見つけて下さい」と記されていた。生前の大助さんの話や、上司である中隊長の言動に不審を持った家族はこう類推している。

「何ものかによって罠にはめられたのではないか」
「一連の不自然な行動や言動をみていると中隊長が犯人なんじゃないかとすら思えてくるんです」

 何らかの理由から大助さんが中隊長に目をつけられ、そのため濡れ衣を着せられた──遺族はそう考えたのだ。一時は訴訟も考えたが、それにはいたってはいない。そしてこの窃盗事件は今でも捜査中だという。

 本書では防衛省が公開した自衛隊員の自殺志望者数の一覧が掲載されている。それによれば、1994年から2003年にかけて、年間50人〜80人ほどで推移してきた自殺者数が、2004年から2006年までは100人となり、その後80人台となっている。

「自衛隊の自殺率は一〇万人あたり三五人〜四〇人で、省庁のなかで突出して高い」

 また自殺ではないが、陸上自衛隊入隊して1年も経たず、20歳で命を落とした若者もいる。徒手「訓練中」の事故とされた。しかし遺族は虐待、イジメを疑い、国を相手に国家賠償請求を起こした。

「司法解剖の結果、架橋整脈という頭頂部の重要な血管が切れていることもわかった。ダメージを受けたのは頭だけではなかった。体中に多数の傷が確認されている」

 しかし自衛隊、国側はあくまで純粋な訓練中の事故だと主張を繰り返したという。現場にいた3人の自衛官たちの証言もしどろもどろで、真相を語っているとはおもえないものだった。自衛隊が出してきた調査報告書も信用できるものではない。結果、2013年に原告勝訴の判決が札幌地裁で下された。

 だが訴訟になっている事案はほんの一握りだ。またイジメ自殺以外でも、様々なトラブルが勃発している。40万円を盗んだと疑われた45歳だった自衛官は、嘘発見機にかけられ、長時間の取り調べを受け、嘘の自白をしてしまう。

「大昔の離婚歴、借金歴、女性関係──警務隊は私的なことを調べ上げて妻にばらしていた」

 USBメモリー紛失で、警務隊から土足で家宅捜索された隊員もいる。陰惨なイジメ、酷い仕打ちに鬱病を発症したものも──。まさに、パワハラ、虐待のオンパレードなのだ。

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