ふしぎ発言連発の井浦新 日曜美術館でのヲタぶりがなぜか萌える

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 河童を探して日本中を旅することからもわかるように、「昔からフィールドワークというか、野外研究というものが大好き」な井浦。「ゆかりの場所に実際に立つことをとても大切にしていますし、それが面白くてたまらないのです」と綴る彼にとっては、『日曜美術館』のロケはワクワクがとまらない仕事であるらしい。たとえば、個人的に何度も通っていたという陶芸家・河井寛次郎の記念館にロケで出向いた際は、学芸員である寛次郎のお孫さんに「(作品を)どうぞ、手にとってください」と言われ、

「これが“日曜美術館”というものか!」

 と、激しすぎる衝撃を受けている。そして、作品に対するこれまでの想いが強すぎた井浦は、作品を手にした瞬間の抑えきれない想いをこう表現している。

「突然にその距離感が無くなって(中略)正直いって気持ちが追いつきませんでした」
「「ええっ、本当にいいのですか……」と、動揺しながら、喜びが心から溢れ出して、物凄く嬉しい顔をしていたと思います」
「とにかく緊張していましたが、手の平に冷たくヒタっとくっついた感触は忘れられません」

 断っておくが、これは恋人とはじめて抱き合った瞬間の描写ではない。陶器を手にもった感想である。マンガ『へうげもの』(講談社)の世界のようだが、現実の話だ。

 さらに、井浦のケタ外れな感動の旅はつづく。獅子や狛犬が好きだという井浦だが、平安時代につくられた木像の獅子に対面したときは、「奇跡としかいいようがありません」と熱狂。その感想はこのようなものだった。

「凜と張った胸から、ぎゅっとへこませたお腹のくぼみまで、少し顔を傾けることによって生まれたラインが造形的にも美しい」

 再度断るが、これは初夜に見た恋人の裸体を描写したものではない。獅子の木像の描写である。獅子のお腹のくぼみとは、こんなに感激できるものなのか……。

 番組とは関係なく美術鑑賞が生きがいなだけあり、「これこそ、自分の足跡ですから、捨てられません」という理由で、展覧会のチラシはチケットと一緒に保管。容赦なく増えていくチラシをA4 ファイルに入れていく地味な作業を時間を見つけては楽しくこなしているらしい。なかでも「気分があがる」のは、展覧会グッズ。「いつもいろいろなものを買ってしまいます」とミーハー心を洩らしつつ、展覧会の図録で「家の床は抜けそうです」という。床が抜けるのはまずい事態と思われるが、井浦はなんだかとてもうれしそうだ。

 もちろん、「影響を受けたり、学びをいただいたりした先達の方々」への「勝手に墓参り」も忘れない。番組本番中でもゲストのいい言葉を聞けば、「なんでも書き残しておかないと気が済まない」ので、進行役なのにすかさずメモる。──「趣味はアート鑑賞」と言うと「スカした野郎」と思われそうなものだが、ここまでくればアイドルやアニメのオタクと何ら変わらない。まさしく純然たるアートヲタなのだろう。

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