大手バイオメーカーの4代目社長が告白する“同族経営”の異常性

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
hayashibara_01_140724.jpg
『林原家 同族経営への警鐘』(日経BP社)

 景気回復が叫ばれながら、相変わらず企業の経営破綻が続いているが、そのひとつのパターンとしてあげられるのが、同族企業の放漫経営による破綻だろう。創業者一族が会社を私物化し、無茶な新規投資や私的な遊興費流用などで、経営が傾いてしまうケースだ。

 少し前なら、西武や三洋電機、穴吹工務店、最近では2011年に会社更生法の適用を受けた大手バイオメーカーである林原などは典型かもしれない。

 林原といえば、一般的な知名度はないが、3代目がブドウ糖製造で大きく発展させた会社で、中国地方では最大規模を誇る研究開発型の大手企業だった。ところが、4代目の林原健が社長に就任してしばらくしてから、抗がん剤に使われるインターフェロンの生産・販売、都市開発やホテル事業、美術館を開館するなど、多方面に進出。多くの事業で焦げ付きが発生すると同時に不正経理や粉飾決算も発覚し、とうとう11年に破綻してしまったのである。

 少し前、その林原を潰した4代目社長・林原健の告白本『林原家 同族経営への警鐘』(日経BP社)が出版された。これを読むと、林原という会社の場合は、ボンボンが会社を潰したというだけではすまない、かなり特殊な事情があったことが浮かび上がってくる。

 同社は、社長であり長男の林原健のもと、弟・靖が経理担当専務だったほか、従兄弟や血縁関係で幹部が占められていた。結果から言えば、破綻の原因は不正経理、粉飾決算、役員の巨額の資金流出などだったが、兄によれば倒産した理由は「経理部門を任せていた弟、林原靖と私の関係性」にあるという。

『林原家』によると、林原兄弟は創業一族であり社内で当然のように「絶対的」な存在だったが、2人は「対等な関係になく、間違いなく上下の服従関係」にあったという。弟は兄を異常なまでに恐れ、非常に丁寧な敬語を使っていた。それは林原一族の宿痾でもあったらしい。

「(林原家は代々)長幼の序を重んじた徳川将軍家よろしく、長男の私には絶対的な強さが、弟には兄への絶対的な忠誠が求められた」

 ところが、その絶対的な権力をもつ兄は会社の経営にほとんどの関心がなかった。同書の中でも当人がこう書いている。

「私は1日3時間しか出社しない」社長だった。それどころか「利益や借入金はおろか、売上高さえ正確には把握していなかった」。重要な印鑑類も「弟が基本的に自由に使えるよう」にして、経理、営業、人事、総務など会社の実務一切を弟に任せ、自分は「社外でいろいろな分野の専門会に合ったり、自宅でバイオテクノロジーや医薬の専門書を中心にあらゆるジャンルの書籍を読んだり(中略)研究テーマの発掘に徹し」ていた、と。

 会社はすべて弟に任せ、自分は研究生活。よって会社で何かあったとしても「彼ら(弟以下同族役員)の報告を待つしかすべはなかった」という。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

林原家 同族経営への警鐘

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

大手バイオメーカーの4代目社長が告白する“同族経営”の異常性のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。同族経営経営破綻の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 菅首相がこんな時期に山田太郎からネット指南、GoTo予算組み替えも拒否
2 信者商法に批判 キンコン西野の映画『プペル』を安倍昭恵が絶賛! 
3 石原伸晃の無症状ですぐ入院に非難殺到! 入院中の国立大学病院は救急お断りも
4 バイデン大統領就任でも日本のトランピストのフェイクは止まらない
5 河野太郎の「ワクチン接種5月」デタラメ呼ばわりこそフェイクだ
6 櫻井よしこ、西岡力、文春…朝日・慰安婦報道叩きのデタラメが次々露呈
7 葵つかさが「松潤とは終わった」と
8 菅首相のポンコツが止まらない!「変異種」を忘れ、患者を「お客さん」
9 もはや権力の「中の人」…御用ジャーナリスト5位〜2位、大賞を発表
10 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
11 ノーベル賞・本庶教授が「PCR検査の大幅な拡充」訴えるも厚労省は…
12 菅首相が「明るい話聞いた」相手は「コロナはインフル並み」が持論
13 蓮舫の菅首相演説事前公開はルール違反じゃない おかしいのは批判する側だ
14 キンコン西野批判こそ「お金の奴隷」だ
15 安倍政権でも菅政権でも権力大好き! 御用ジャーナリスト大賞10位〜6位
16 吉村知事のずさんな政策決定と責任転嫁の手口を“8割おじさん”西浦教授が暴露
17 安倍首相が会見も新しい対策ゼロ! 質問打ち切りに記者から怒号
18 吉本芸人「ほんこん」のサムすぎるネトウヨぶり!
19 大統領選不正デマを拡散した日本のトランプ応援団の妄言総まくり!
20 ゴーンが会見で「逮捕を仕掛けた政府関係者の実名」告発を取りやめた理由!
1 石原伸晃の無症状ですぐ入院に非難殺到! 入院中の国立大学病院は救急お断りも
2ノーベル賞・本庶教授が「PCR検査の大幅な拡充」訴えるも厚労省は…
3菅首相ポンコツ会見で「国民皆保険の見直し」というグロテスクな本音ポロリ
4吉村知事のずさんな政策決定と責任転嫁の手口を“8割おじさん”西浦教授が暴露
5特措法・感染症法の改正案が酷い 嘘の申告した感染者には懲役も
6河野太郎の「ワクチン接種5月」デタラメ呼ばわりこそフェイクだ
7 菅首相が「明るい話聞いた」相手は「コロナはインフル並み」が持論
8蓮舫の菅首相演説事前公開はルール違反じゃない おかしいのは批判する側だ
9 読売新聞「菅首相が疲労」報道は安倍政権末期にもあった官邸の作戦
10バイデン大統領就任でも日本のトランピストのフェイクは止まらない
11 菅首相がこんな時期に山田太郎からネット指南、GoTo予算組み替えも拒否
12信者商法に批判 キンコン西野の映画『プペル』を安倍昭恵が絶賛! 
13石原伸晃議員が入院した国立大附属病院を「視察」していた

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄