五輪入場行進にすぎやまこういちの曲はありえない! 杉田水脈のLGBT差別に「ありがたい」と同調 南京虐殺否定の歴史修正主義

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『チャンネル桜』に出演するすぎやま氏


 小山田圭吾、小林賢太郎の問題があっても、東京五輪組織委員会は結局、なんの反省もしていないということだろう。昨日7月23日におこなわれた東京五輪大会の開会式。もっとも注目を集める入場行進のオープニングで、作曲家・すぎやまこういちが手掛けた「ドラゴンクエスト」の代表曲「序曲:ロトのテーマ」が流された。
  
 じつは、開会式の前日である22日に一部報道が、式典内ですぎやまの曲が使用されると伝えたときから、SNS上ではこんな指摘が相次いでいた。

〈小山田、小林とやってきて、最後にこれが出てくるのは悪夢だよ〉
〈すぎやまこういちの曲を開会式で使えば、今までの謝罪が嘘だったことの証明になるな〉
〈すぎやまこういちは現在進行形でガチのアウト〉
〈うわぁ。開会式、すぎやまこういちの音使うんかい。レイシストによるレイシストのためのオリンピックて、丸まんまあのナチスの1936ベルリンオリンピックのコピーやないか〉

 実際、すぎやま氏の過去の発言を振り返ると、それは小山田圭吾と同じく、とても国際イベントの開会式で大々的にその作品を使用できるようなものではない。

 その典型が、LGBT 差別への同調発言だ。すぎやま氏は2015年、のちに「LGBTには生産性がない」という差別論文で大きな非難を浴びる自民党の杉田水脈・衆院議員(同番組出演時は議員落選中)と「チャンネル桜」で共演しているのだが、その際、杉田氏は「生産性がない同せい愛の人たちにみなさんの税金を使って支援をする。どこに大義名分があるんですか」などと主張。ところが、すぎやま氏は杉田氏について「男性からは言いにくいことをガンガン言っていただくのはありがたい」「正論ですよ」などと同調しているのだ。

 また、杉田氏はこのとき、テレビ局からLGBTの教育の是非について取材を受けたエピソードを紹介。笑いながら「『同せい愛の子どもは、普通に正常に恋愛出来る子どもに比べて自殺率が6倍高いんだ』と。『それでもあなたは必要ないと言うんですか』みたいなことを言われまして」と、LGBTの人たちを小馬鹿にするような発言をしたのだが、この杉田氏の発言にすぎやま氏は一緒になって笑っていた。さらには「決定的なことは、同せい愛から子どもは生まれません。これも大きい」などと、杉田氏の生産性発言に通じる発言もしている。

 このすぎやま氏の言動は、2018年に杉田議員の差別論文が問題になった際、アメリカの大手ゲームメディアでも批判されているが、すぎやま氏の態度は性的マイノリティに対する差別を是認する、オリンピック憲章に掲げられたあらゆる差別の禁止に反するものだろう。

すぎやまこういちらの歴史修正主義に欧米の政界やマスコミからあがった厳しい批判

 もうひとつ、すぎやま氏が問題なのは、その歴史修正主義だ。すぎやま氏の極右、歴史修正主義を象徴するのが、2007年に米下院が慰安婦問題に関する対日非難決議を採択した際、米ワシントン・ポスト紙に出した意見広告「THE FACTS」だ。すぎやま氏のほか、櫻井よしこや屋山太郎、花岡信昭、西村幸祐といった極右論客からなる「歴史事実委員会」は2007年6月、米ワシントン・ポスト紙に “日本軍の強制を示す文書はない”と訴える「THE FACTS」と題した意見広告を出稿。当時、朝日新聞の取材に対して、すぎやま氏はこう語っている。

「慰安婦の方々の境遇に深く同情するが、当時の政府や軍が日本や朝鮮の女性を強制的に慰安婦にさせた事実はない。根気強く『当時の政府は強制を禁じた』という事実を官民あげて提示するしかない」(朝日新聞2007年6月27日付)

 また、すぎやま氏は従軍慰安婦の強制連行だけではなく、「南京大虐殺はなかった」「南京虐殺の被害者30万人説はデタラメ」という主張もおこなってきた。同じく2007年にはワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズに1000万円を投じて「南京大虐殺はなかったという証拠」を提示した全面広告を出そうと動き、両紙に掲載を断られたこともある。

 さらに、名古屋市の河村たかし市長が2012年に「一般的な戦闘行為はあったが、南京事件というのはなかったのではないか」「いわゆる虐殺はなかった」などと発言した際には、すぎやま氏は「私たちは、河村たかし名古屋市長の「南京」発言を支持します!」「自由な議論で『南京』の真実究明を!」という意見広告の呼びかけ人に名を連ねている。

 従軍慰安婦の「強制性」否定や南京虐殺の「人数」を問題にする主張が、日本軍の戦争犯罪や残虐行為をごまかすための詐術でしかないことは本サイトで繰り返し実証的に指摘してきた。

 また、すぎやま氏自身が「WiLL」で明かしているところによれば、「証拠」として挙げていたのは、「東中野修道先生の研究成果」に「世界に「南京大虐殺報道」をしたティンパーリが中国の中央宣伝部国際宣伝処の顧問であった」説、「「南京大虐殺」が起こったとされる一九三七年当時、南京の人口は虐殺されたとされる三十万よりも少ない、二十万人だった」説、といった「南京大虐殺はなかった」派の定番の主張ばかり。

 東中野氏といえば、「南京大虐殺はまったくなかった」論の急先鋒で保守派の歴史学者からも批判される人物。著書で南京大虐殺の証拠資料や生き残った女性の証言を捏造と断定したことが名誉毀損裁判となり、東京地裁からは「東中野の原資料の解釈はおよそ妥当なものとは言い難く、学問研究の成果というに値しないと言って過言ではない」と指摘され敗訴したこともある(高裁、最高裁も一審を支持し全面敗訴)。

“南京人口少ない説”や“中国国民党とティンパーリ陰謀論”についても、百田尚樹『日本国紀』も同種の主張を展開するなど手垢のついた手法で、詳しくは既報を参照されたいが(https://lite-ra.com/2019/08/post-4936.html)、実証性を重んじる保守派の学者・秦郁彦氏がそのインチキぶりを喝破している。いずれも「証拠」「事実」と呼べるような代物ではない。

すぎやまこういちは安倍首相を礼賛、「日本は“日本軍”と“反日軍”に分かれた内戦状態」の妄想発言も

 しかも、欧米では、こうした日本の右派による慰安婦、南京大虐殺否定は、ホロコースト否定論と同様、戦争犯罪を肯定する歴史修正主義として厳しく批判されている。

 実際、ワシントンポストに掲載された前述の意見広告は、当然ながらアメリカの反発に油を注いだだけで、トム・ラントス外交委員長は「慰安婦制度の中で生き残った人々を中傷するものだ」と猛批判。

 また、「南京大虐殺はなかったという証拠」の全面広告については、ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズに掲載を拒否されている。

 このとき、ニューヨーク・タイムズの広告審査部長だったスティーヴ・ジェスパセン氏がおこなった説明を、他でもないすぎやま自身が公開しているので(「WiLL」2007年8月号増刊)、少し長いが、歴史修正主義に対する欧米の姿勢を伝えるために引用しておこう。

〈一九三七年十二月に起こった南京虐殺について、私は自分が専門家であるとは思いませんが、この事件に関する一方の議論とそれに反対する側の議論との両方に詳しい本紙ニューヨーク・タイムズの歴史の専門家たちを、私は信頼しております。
 彼らに調べさせた所、彼らは、この今回の広告の中で取り上げられている「事実」なるものは、大多数の学者たちが従来書いている、南京虐殺は本当に起きていたのだという長い間認められてきた見解を変えるほどのものではないと裁定致しました。
 例えば、彼ら専門家たちは、(歴史家たちによって以前から承認されている)この都市の人口に対し疑問を投げかけるということは、殺害された個人の数に疑問を投げかけるのと同じようなことで、私どもの専門家の見解によれば、当時の厖大な人的損害を矮小化するものであると指摘しています。
 従いまして、公認された諸事実に疑問を投げかけるようなものだと私どもには思えるこのような広告を掲載することは、お断り申し上げたいと思います。
 この広告に書いてあるような供述(報告)が、もし信頼できる新聞や雑誌に、新たに発見された証拠として載せられているのであれば、是非お知らせください。〉

「当時の厖大な人的損害を矮小化するもの」という掲載拒否理由からもあきらかなように、この国ではまかり通っても、ひとたび海を渡ればこうした歴史修正主義は許されないものだ。

 そして、こんな主張を繰り広げてきた人物の作品を、なんら反省もないまま、オリンピック・パラリンピックという世界中の人が参加する大会開会式の入場行進曲に使用するなど言語道断だと言わざるを得ない。それは五輪組織委や日本政府、ひいては日本社会全体がこうした歴史修正主義や差別排外主義を許容していることになるからだ。

開会式の人選に有力者から圧力の証言「有力者ごとに○○案件とささやかれ」「その度、無理やり演目をいじって当てはめた」

 こうしたすぎやま氏の発言、言動が海外メディアに伝えられるかどうかはわからないが、しかし、すぎやま氏のこれら歴史修正主義や性的マイノリティ差別を是認する発言はあまりにも有名で、小山田圭吾や小林賢太郎のケースとは違って、組織委も最初からわかっていたはず。にもかかわらず、なぜもっとも注目が集まる開会式入場行進のトップバッター曲に選ばれたのか。

 たしかに、すぎやま氏が手掛けた「ドラクエ」の序曲は国内ではかなり有名なゲーム音楽のひとつだが、世界的にみれば知名度はほとんどない。むしろ、「ファイナルファンタジー」や「キングダムハーツ」などのほうが世界的には認知されているはず。ところが、そうしたゲームタイトルを押しのけて「ドラクエ」の序曲がもっとも注目される入場のオープニングを飾ったのだ。

 そこで頭に浮かぶのは、「あの男」の顔だろう。そう、安倍晋三・前首相だ。

 これまた有名な話だが、すぎやま氏は熱狂的な“安倍支持者”であり、安倍氏とも親密な関係にある。

 たとえば、「桜を見る会」問題が噴出して批判が高まっていた2019年11月には、新宿の高級フランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」で安倍首相はすぎやま氏をはじめとして、金美齢、百田尚樹、櫻井よしこ、有本香らという面子と楽しく会食をおこなったが、すぎやま氏はこの“安倍応援団”のなかでも金や櫻井と並ぶ特別な存在。実際、前述したすぎやま氏らによる「THE FACTS」や河村発言支持の意見広告には安倍氏も賛同人、呼びかけ人として名を連ねている。

 さらに、安倍氏が下野していた時代には、すぎやま氏は「安倍総理を求める民間人有志の会」の発起人を務め、「我々日本人が直面している難局を乗り切るリーダーは安倍晋三氏しか考えられません」とコメント。2014年の衆院解散の際には、すぎやま氏は集団的自衛権の行使容認を閣議決定した安倍首相をドラクエの主人公になぞらえ“勇者”と表現し、「勇者が国を思い踏み切った解散」と絶賛。さらに、「FRIDAY」(講談社)2013年2月22日に掲載されたインタビュー記事では、こう語っていた。

「いまの日本は“日本軍”と“反日軍”に分かれた内戦状態にあるんですよ。日本の良さを守り、継承していこうというのが日本軍。日本を弱めようというのが反日軍。そして反日軍のリーダーが民主党だったと思っています。ようやくその民主党が倒れて、安倍晋三・自民党政権が誕生しました。これで日本が正しい方向に進む、と安堵しています」

 安倍前首相は東京五輪について「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」などと語って大きな批判を浴びたが、すぎやま氏が言っていることもそれとまったく同じ分断思考と言っていいだろう。

 しかも、すぎやま氏はこのように表立って安倍氏を支持してきただけではなく、「裏」からも応援。2014年には改憲推進団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の代表発起人となって安倍首相の手による改憲実現のために尽力し、2015年には安倍政権に批判的なニュース番組に圧力をかけ、当時『NEWS23』(TBS)で安保法案の危険性を指摘していたアンカー・岸井成格氏を番組降板に追いやった「放送法遵守を求める視聴者の会」の初代呼びかけ人にもなった。

 それだけではない。すぎやま氏は毎年のように100万~150万円を安倍氏の政治資金団体に寄付をおこなっており、実際、安倍前首相の政治団体「晋和会」の2019年度の政治資金収支報告書を見ると、すぎやまとその妻の名前でそれぞれ150万円ずつ、夫婦あわせて計300万円を寄付している。

 このように、陰に陽に安倍氏を支え、安倍氏の「総理復活」の後ろ盾となってきたすぎやま。かたや、安倍前首相は組織委の名誉最高顧問だ。東京五輪という晴れ舞台で、自分の支持者に花を持たせようと考えても不思議ではない。

 実際、昨日23日付の東京新聞では、開会式で制作を担当した組織委関係者の男性が取材に応じ、「五輪の闇」について証言。そのなかでこんな話を明かしていた。

〈現場で1つの演目のストーリーと出演者を固めた後、組織委や都の有力な関係者やJOC(日本オリンピック委員会)サイドから、唐突に有名人などの出演依頼が下りてくる。部内では有力者ごとに「○○案件」とささやかれた。
 男性は「有力者が便宜を図った依頼は絶対。その度、無理やり演目のストーリーをいじって当てはめた」と明かした。〉

 もちろん、だからといって、安倍前首相が「開会式でこの曲を必ず使うように」と指示したかどうかはわからない。

 だが、そもそも問題なのは、すぎやま氏とほとんど同じ強固な歴史修正主義者である安倍前首相が、組織委の名誉最高顧問などという座にあることのほうだ。いや、ネット上でもさんざん指摘されていたが、「ナチスの手口に学べ」などと公の場で発言した麻生太郎氏がいまなお副総理兼財務大臣を務めていることが象徴的なように、この国はあまりにも歴史修正主義者に甘すぎる。そんな為政者を野放しにしつづけているからこそ、開会式の前日まであのような解任騒動が起こり、世界から「人権後進国」として白い目で見られるのである。

最終更新:2021.07.24 12:14

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