悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円の画像1
マイナポイント事業公式サイト(総務省)より


 今月1日からはじまった「マイナポイント」事業。菅義偉首相肝いりの「マイナンバーカード」普及のための事業で、キャッシュレス決済で最大5000円分のポイントが還元されるものだが、9月17日時点で申し込み件数は約565万件。政府の目標である4000万件には程遠い状況となっている。

 当然だろう。マイナンバーカードをめぐっては新型コロナの給付金事業でその使えなさが露呈したばかり。最近はドコモ口座問題の発生で不正引き落としや個人情報の漏洩などに不信感が高まっているが、それでなくても行政や公共機関による個人情報の流出事件は後を絶たず、データ入力作業を海外企業に再委託していたことが発覚するなど問題づくし。しかも、マイナポイントの申し込みには専用アプリのダウンロードや決済サービスの紐付けなど手続きも煩雑。「最大5000円分のポイント還元」よりも「個人情報が漏れそうで怖い」「手続きが煩わしい」といったマイナスポイントのほうが大きいのだ。

 だいたい、クレジットカードやスマホ決済を利用しない人も多く、そうした人はそもそも対象外。税金を使う事業だというのに、公平性がまるで担保されていない。

 まずは行政として情報管理の信頼性を高めることが第一に優先されるべきなのに、公平性がまるでないポイント還元事業に巨額の税金を注ぎ込む──。しかも、さらに注目すべきなのは、このマイナポイント事業の広報費だ。

 最近では、舘ひろしと深川麻衣がマイナンバーPRキャラの「マイナちゃん」の着ぐるみを着て、ずんの飯尾和樹がツッコミを入れるというCMが繰り返しテレビで流れているが、マイナポイントの広報費として政府が計上しているのは、なんと53億8000万円。しかも、すでに約1カ月でその約半分となる約27億円がかけられているというのだ。

マイナポンイト事業でもトンネル法人を通じて電通に140億円が流れる仕組み

 この問題を取り上げたしんぶん赤旗22日付記事によると、このCMがスタートしたのは今年7月下旬から。そして、総務省が開示した資料では、このようなマイナポイントの宣伝のために、テレビCMやウェブ広告、新聞広告などに8月末までに26億7000万円を支出する見込みだという。

 マイナポイント事業は来年3月末までつづくが、すでに広報に約27億円も注ぎ込む一方で、前述したように現時点でも申し込み件数は伸び悩んでいる。となると、さらに広報費が上乗せされる可能性は高いだろう。

 しかも、問題なのは、ここで甘い汁を吸うのが、またしても電通だということだ。

 というのも、このマイナポイントの事務局事業は、「持続化給付金」事業で問題となった「サービスデザイン協議会」設立時の代表理事と同一人物が代表理事を務める「一般社団法人環境共創イニシアチブ」が受託。この「環境共創イニシアチブ」は2011年に電通とその子会社が設立したもので、やはりマイナポイント事業でも「環境共創イニシアチブ」が電通に一部再委託し、その金額は約139億7000万円にものぼっているのだ。もちろん、いま放送されているCMも、こうしたなかで電通に委託されたものである。

 つまり、マイナポイント事業も「持続化給付金」事業と同じく、トンネル法人を隠れ蓑にして電通が儲けるという構造になっているのだ。

 さらに、この「環境共創イニシアチブ」をめぐっては、とんでもない事実も判明した。2015年度以降、経産省が「環境共創イニシアチブ」に委託した事業では、9割にものぼる54件で競争相手のいない「1者応募」で決定されていたことを、24日付の朝日新聞が報道。この54件の事業でも電通に再委託され、計247億円が支払われていたというのである。

 そして、これはマイナポイント事業でもまったく同じだ。マイナポイント事業を管轄するのは総務省だが、じつは、この事業でも総務省の公募に13事業者から問い合わせがあったものの、結局、応募したのは「環境共創イニシアチブ」だけで、無競争で選ばれているのだ。

デジタル担当相に電通出身の平井卓也が就任したことで電通との癒着はさらに

 本サイトでも報じたように、電通グループは8月に発表した2020年6月中間連結決算で「純損益157億円で2年ぶりの黒字」を達成。その内訳をみると、2020年1−6月でダントツに売上高を伸ばしているのは「官公庁・団体」で、その金額は873億1400万円。前年同期比で、なんと99.9%増となっていた(詳しくは過去記事参照→https://lite-ra.com/2020/08/post-5575.html)。

 無競争の1社応募で次々に電通のトンネル法人に事業が委託され、このコロナ禍でも電通は肥え太り、2年ぶりの黒字を叩き出した──。その事業のひとつが、マイナポイント事業なのである。

 本サイトでは何度も指摘してきたように、安倍政権下では自民党の広報やネット情報操作を電通が担い、その一方で政府は巨額の政府広報費を電通に流してきた。その上、こうして税金を使った公的事業でも甘い汁を吸わせる……。こうしたことの裏には、電通に自民党の選挙対策や政権のネット対策を安価でやらせる見返りに、政府の補助金事業や政府広報で巨額の発注をしているのではないかという疑いが持たれているが、言うまでもなくこれは政治的公正さを著しく欠いた行政の私物化、不正行為としか言いようがない。

 しかも、この構図は自民党と電通の癒着ぶりからして、安倍首相から菅首相に代わったところで変化することはないだろう。それどころか、菅首相がデジタル庁の創設に向けてデジタル改革相に抜擢した平井卓也氏は、上智大学卒業後に電通に入社した「電通OB」であり、自民党内で平井氏の功績とされている「ネット戦略」も、平井氏が電通と組んで繰り広げたものだ。

 税金が電通に食い物にされるという安倍政権の「負の遺産」は継承されるどころではない、菅政権でこれからさらにエスカレートしていくのだ。

最終更新:2020.09.24 09:56

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。サービスデザイン推進協議会マイナポイントマイナンバーカード環境共創イニシアチブ編集部菅義偉電通の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

1 小林製薬「紅麹」で問題視される「機能性表示食品制度」は安倍案件!
2 櫻井よしこの朝日攻撃の「捏造」が法廷で
3 東山紀之が“反ヘイト本”を出版
4 乙武洋匡が不倫旅行、5人の女性と関係
5 安倍派裏金で読売新聞「非公認以上の重い処分」報道の違和感!
6 久米宏が終了決定のTBSラジオで田中真紀子と
7 セカオワFukaseのいじめ発言
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
10 コロナ収束前の「Go To」予算1兆7千億円計上に非難殺到も田崎史郎は…
11 東山紀之、朝鮮学校無償化に言及
12 五輪延期で発覚!安倍のお友だち「アパホテル」に組織委用の部屋
13 石田純一がコロナバッシングで「組織に狙われている」と語った理由!
14 御用新聞・産経が安倍首相に食い下がった毎日記者を攻撃する露骨ぶり
15 安倍は辞任報道でもお友達優遇! 前回のTBS時代の山口敬之が
16 世界的建築家の「カジノありきの万博」批判に大阪市長が大ウソ反論
17 小泉進次郎が「靖国参拝」したのは父親と同じ右派支持狙いの戦略か
18 総裁選で自民党がまた新聞社に圧力文書!
19 松本人志『ドキュメンタル』のセクハラ
20 和泉・大坪の安倍側近“不倫コンビ”の新疑惑を政府機関の理事長が告発

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄