東京五輪招致をめぐるIOC委員買収問題に新証拠! 菅首相も賄賂に関与か セガサミー会長に「4億~5億円の工作資金が必要」と

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東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイトより


「大会は新型コロナウイルスに関係なく行われ、来年の7月23日に開幕する」

 9月7日、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長がこう断言したことをAFPが伝えた。世界的に見れば、新型コロナはまだ拡大の一途をたどっているのに、関係なく開催するとは無茶苦茶だが、これは日本国内のスポンサー対策だという。スポンサーの大半は今年、契約が切れるため、東京五輪組織委員会は現在、契約更新交渉を始めているが、開催の見通しが立たないことから更新に二の足を踏むスポンサーが続出しているらしい。そこで、東京大会の準備状況をチェックするIOC調整委員会委員長でもあるコーツ副会長が、「コロナ感染か収束しなくても絶対にやる」とお墨付きを与えたらしい。

 これだけでも、選手や観客の安全・健康より金儲けを優先する連中の本音がよくわかるが、東京五輪をめぐっては、もうひとつそのゲスな本質を物語る新事実が判明した。

 例の招致買収をめぐる問題だ。周知のように、東京五輪をめぐっては、招致委員会がIOCの委員だったラミン・ディアク氏の息子であるパパマッサタ・ディアク氏が関係するシンガポールの会社「ブラック・タイディングズ社」(BT社)の口座に招致決定前後の2013年7月と10月の2回に分けて合計約2億3000万円を振り込んでいたことがわかっている。

 ところが、今回新たに、BT社の口座からパパマッサタ氏名義の口座や同氏の会社の口座に2013年8月〜14年1月までに約3700万円が送金されていたことが、国際調査報道ジャーナリスト連合などの取材によって判明したというのだ。

 前世界陸連会長でもある父・ラミン・ディアク氏はロシアの組織的ドーピング隠蔽に絡んで賄賂を受け取ったとし、フランス当局が起訴。9月16日に実刑判決が言い渡されたばかりだが、父・ラミン氏は五輪開催地の決定においてアフリカ票の取りまとめに影響力を持つ有力委員だった。そんなラミン氏の息子・パパマッサタ氏が深くかかわると見られるBT社の口座に対し、東京への招致が決定した2013年9月7日のIOC総会の前後におこなわれていた東京五輪招致委員会からの約2億3000万円もの送金。そして今回判明した、東京五輪招致委員会からの送金の直後におこなわれていたBT社からパパマッサタ氏への送金──。しかも、国際調査報道ジャーナリスト連合やフランス当局の捜査資料からは、パパマッサタ氏が〈BT社を自身の財布同様に使っていた様子が明らか〉(毎日新聞21日付)だという。

 一方、フランス当局は東京五輪招致委員会の理事長で日本オリンピック委員会(JOC)前会長の竹田恒和氏を贈賄容疑で捜査に乗り出しているが、JOCはBT社とパパマッサタ氏の関係について「(竹田氏は)全く認識がなかった」としてきた。だが今回、東京招致決定を前後してBT社からパパマッサタ氏に送金がおこなわれていたことが判明したことからも、東京招致を目的とした贈収賄疑惑はさらに一段と深まった。

セガサミー会長の会合での発言を新潮が報道 「菅氏からアフリカ人を買収するために4億~5億円が必要と頼まれた」

 金で買収した汚れた五輪──。新型コロナの問題以前に、そもそも招致委員会の理事長だった人物が開催前から汚職関与の捜査が進められているという異常事態となっている時点で、東京五輪が“黒いオリンピック”となることは決定づけられたようなもの。これで開催となっても、歴史的に大きな汚点を残す大会となるだろう。

 しかし、このような事実が明らかになっても、菅義偉首相は安倍晋三前首相と同様、東京大会開催に固執しつづけるのは間違いない。

 いや、それどころか菅首相は、このディアク親子への賄賂にかかわっていたのではないかと疑いを持たれている当事者でもあるのだ。

 この問題を伝えたのは、「週刊新潮」(新潮社)2月20日号。記事によると、五輪の東京開催が決まった2013年秋ごろ、セガサミーホールディングスの里見治会長が東京・新橋の高級料亭で開いた会合で、テレビ局や広告代理店の幹部を前に「東京オリンピックは俺のおかげで獲れたんだ」と豪語し、こんな話をはじめたというのだ。

「菅義偉官房長官から話があって、『アフリカ人を買収しなくてはいけない。4億~5億円の工作資金が必要だ。何とか用意してくれないか。これだけのお金が用意できるのは会長しかいない』と頼まれた」

 このとき、里見会長は「そんな大きな額の裏金を作って渡せるようなご時世じゃないよ」と返したが、菅官房長官は「嘉納治五郎財団というのがある。そこに振り込んでくれれば会長にご迷惑はかからない。この財団はブラックボックスになっているから足はつきません。国税も絶対に大丈夫です」と発言。これを受けて里見会長は「俺が3億〜4億、知り合いの社長が1億円用意して財団に入れた」とし、「菅長官は、『これでアフリカ票を持ってこられます』と喜んでいたよ」と言うのだ。

 なんとも衝撃的な証言だが、しかもこれは“酒席でのホラ話”ではなかった。というのも、「週刊新潮」の取材に対し、セガサミー広報部は「当社よりスポーツの発展、振興を目的に一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターへの寄付実績がございます」と嘉納治五郎財団への寄付の事実を認め、さらに「週刊新潮」3月5日号では嘉納治五郎財団の決算報告書を独自入手し、2012年から13年にかけて2億円も寄付金収入が増えていることを確認。関係者は「その2億円は里見会長が寄付したものでしょう」と語っている。

セガサミー里見会長は前安倍首相だけでなくカジノをめぐり菅首相とも深い関係

 そもそも里見会長といえば、本サイトでも言及してきたように安倍首相との蜜月関係がよく知られているが、カジノをめぐって菅首相とも深い関係にあるのではないかと囁かれてきた人物だ。実際、2014年には菅官房長官と里見会長、横浜市の林文子市長と3人で密会していたと報じられ、今年1月にセガサミーは横浜のIR運営事業者として名乗りをあげている。

 つまり、里見会長はカジノに参入すべく、菅氏に貸しをつくるため、五輪東京招致のための「アフリカ人買収」資金を提供したのではないか。そして、この「アフリカ人」というのが、ディアク親子のことなのではないか──という疑いが出てきているのだ。

 もしこれが事実なのであれば、菅首相は官房長官という国の中枢の要職に就きながら、五輪の招致を金で買うというとんでもない悪事に手を染めていたことになる。しかも、このまま東京五輪が1年以内の延期で開催されれば、その菅首相のもとでおこなわれることになるのである。

 当然、今回さらに深まった贈賄疑惑には徹底した追及が必要であることは言うまでもないが、問題はメディアの報道だ。今回のBT社からパパマッサタ氏への送金という新事実について、国際調査報道ジャーナリスト連合に参加する朝日新聞と共同通信は詳しく伝えているが、一方、テレビはこの問題をスルー。しかも、贈賄にはふれないばかりか、コロナ下での開催の可否についてすらまともに論じられない始末だ。

 東京招致を買収したと疑惑が持たれる総理大臣に、新事実が判明しても伝えないメディア──。こうして臭い物には蓋をし、検証もなく、この国は何事もなかったかのように再びお祭りムードになだれ込むことを望んでいるのだとしたら、それこそ世界の恥晒し者だろう。

最終更新:2020.09.22 11:42

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