新型コロナウイルスに乗じ“中国人ヘイト”が跋扈! 百田尚樹も「中国人観光客ストップ」「中国にモラルない」、高須克弥は「徳川幕府なら撃ち払い令」

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新型コロナウイルスに乗じ中国人ヘイトが跋扈! 百田尚樹も「中国人観光客ストップ」「中国にモラルない」、高須克弥は「徳川幕府なら撃ち払い令」の画像1
国内2人目の感染者が出たことを報じる『直撃LIVE グッディ!』(24日放送)


 中国湖北省・武漢市で発生したと見られる新型のコロナウイルス。厚労省の発表によると、25日までに日本国内でも3例の感染者が確認されているという。アジアだけでなくアメリカやヨーロッパ、オセアニアでも感染者が確認されており、世界的な広がりが懸念されるが、そんななか、日本のSNSでは新型コロナウイルスに乗じた“中国人ヘイト”が相次いでいる。引用することすら憚られるような、国籍差別を助長する書き込みが急増しているのだ。

〈中国人もう日本来るなや、大人しく母国で死ね〉
〈中国人は出てけー もうテロじゃね 出てけよ中国共産党の生物兵器ども〉
〈うわああああ中国人みたいなキャリーもったやつら電車にくっそのってる!しかもキャリーの分席空いてるし!!!ほんと帰れよ!!!〉
〈旧正月で日本にコロナウイルスをぶちまけに来る中国人死ねよ〉
〈中国人多すぎ!春節かなんか知らんけど日本来るな!本土へ帰れ!コロナ撒き散らすなゴキブリ〉
〈日本人の命のほうが大切〉

 こうしたネットの書き込みを、単に、新型ウイルスに対するパニック的な反応と済ますことはできない。感染の有無にかかわらず、明らかに「中国人」という属性で一括りにして“排除”を扇動するヘイトスピーチだからだ。

 そして、こうしたネット上の“中国ヘイト”を煽っているのが、いつもの極右文化人たちだ。


 たとえば百田尚樹氏は〈中国からの観光客は一時ストップするべきと思う〉(22日)とツイート。25日には、一般ユーザーから「それなら中国だけでなく感染者が確認された国すべてに渡航制限・入国検疫の厳正化をしないと意味がないのでは」というまっとうな指摘をされたのだが、百田氏は〈なんや、単なるアホか〉と思考停止。さらに〈昔から中国大陸の文化にモラルはほとんどないよ〉などと投稿している。

 また、有本香氏はTwitterに〈日本政府は、支払い能力が確認できない中国人患者の治療費について、駐日中国大使が支払いを保証するという言質をただちに取って公表すべき。この上、日本の医療機関が治療費取りっぱぐれで苦労する事態を引き起こしてはならない〉(25日)などと投稿。まるで日本の病院は来日中の中国人観光客を簡単に受け入れるべきではないと言わんばかりだ。

 高須クリニックの高須克弥院長に至っては、防疫の水際作戦を太平洋戦争末期の硫黄島の戦いになぞらえて〈本来の敵上陸阻止の作戦に変更されるよう、伏してお願い申し上げます〉(24日)などとツイート。中国人をはっきりと「敵」扱いし、さらには中国人観光客が「私と家族の健康のために日本に来ました」と話しているニュースのスクリーンショットを掲載したネトウヨまとめサイトをリツイートしながら〈徳川幕府なら撃ち払い令を布告する事態だよ。これ〉とすら吐き捨てていた。

「中国人全員を入国禁止にしろ」とか「日本での治療時には中国大使に支払いの言質をとれ」とか、はては「打ち払い令を布告する事態」とか、いったいこの人たちは何を言っているのだろうか。だいたい新型肺炎はすでに世界各地に拡大している。このグローバル時代で、江戸時代の鎖国のような状態にしろとでも言うのだろうか。

「水際作戦」ならば、成田空港や関西空港で検疫官がサーモグラフィーで発熱の有無を確認しているように、こうした防疫の徹底や、個人での消毒などの意識向上を呼びかけるべきだ。それを、この人たちはあたかも中国人全員がキャリアかのように決めつけて、やれ「入国禁止」だの「打ち払い」だの煽っている。その結果、ネトウヨたちが「死ね」「殺せ」と叫びたてているのではないか。結局、新型ウイルスにかこつけて中国人を排斥しようということなのではないかと疑わざるを得ない。

『直撃LIVE グッディ!』でも中国人観光客をディスる特集

 だが、ひどいのは嫌中の極右文化人たちだけではない。マスコミ、とりわけテレビも無茶苦茶な報道をしている。本来、メディアに求められるのは、闇雲に人々の恐怖心を煽ることではなく、ヘイトクライムを抑制する冷静な報道姿勢のはず。ところが、ワイドショーは完全に真逆へ突っ走っているのだ。

 たとえば24日放送の『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)では、新型コロナウイルスによる新型肺炎で国内2人目の感染者が東京で確認されたことを伝えるなかで、「中国の旧正月である春節が今日からスタートした」ことを特集した。VTRは「それは、中国・武漢からきた旅行者だった!」というナレーションから始まり、大勢の中国人観光客の旅行バスから出てくる模様へと繋ぐ。番組では中国人観光客のマスクをフォーカスし、実際にはマスクをしている人としていない人がいるのに「マスクをしない人が多い」などとレポート。さらには「話を聞くとあまり危機感が感じられない発言も」と誘導するようなインタビューまで流していた。

 いったい新型ウイルスの危険性や対策と何の関係があるのか。こうした報道のあり方は、明らかに中国からの観光客に悪印象を与えようとするものだ。差別意識を丸出しにして「中国人を排除しろ」とがなり立てているネトウヨにお墨付きを与えるだけでない。「中国人旅行客」に関するヘイト的なデマの素地を耕しているということに、ワイドショーは気がつかないのか。

 地震や豪雨などの自然災害が起こるたびにSNSでは「外国人が犯罪起こした」というようなデマが出てくるが、今回の状況もそれに酷似している。実際、SNSでは「中国から関西空港へ入国した中国武漢人観光客から咳と熱を検知し、病院へ搬送したものの検査前に逃げた。理由はUSJと京都へ遊びに行きたいから」などとするデマ情報がネトウヨ系まとめサイトなどを通じて拡散された。このデマについては、厚生労働省関西空港検疫所が「BuzzFeed Japan」や毎日新聞の取材に対して「そのような事実はない」と全面否定している。

 関東大震災では「朝鮮人が井戸に毒を入れている」などのヘイトデマが飛び交い、日本人による「朝鮮人虐殺」が引き起こされた。その悲劇をからもわかるように、非常時における不安や疑心暗鬼の群衆心理とヘイトスピーチとが結びつくと、取り返しのつかないことが起きかねない。

 繰り返すが、新型コロナウイルスの感染拡大に乗じたヘイトスピーチを断じて許してならないのはもちろん、メディアはこうした状況だからこそ、より慎重かつ冷静な報道を心がけなければならない。真に恐ろしいのは、新型ウイルス拡大の驚異よりも、ネットやメディアが扇動する恐怖や排斥感情に流された“大衆の暴力”だ。そのことを、ゆめゆめ忘れないでほしい。

最終更新:2020.01.26 01:39

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