安倍首相の総理在任最長でNHKが岩田明子を起用し大ヨイショ特集!「桜を見る会」触れた後に「決められない政治打破」とコメント

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自民党HPより


 本日11月19日をもって、安倍首相の総理在任期間が第一次・第二次政権をあわせて2886日となり、戦前・大日本帝国時代の桂太郎と並んで憲政史上最長となった。

 だが、この安倍政権が“憲政史上最大の汚点”となるだろうことは疑いようもない。税金を使って地元有権者を接待していた「桜を見る会」問題では、きょうになって新たに、今年7月の参院選で改選を迎えた自民党参院議員に対して知人や地元後援会関係者などを4組まで招待が可能だと案内状を自民党が送っていたことが発覚。ようするに、安倍自民党は明確に「桜を見る会」を“有権者買収”の場として活用し、税金で選挙活動をおこなっていたのである。

 安倍首相が権力を濫用して税金さえも私物化し、公正さなどまるで無視してこの国を根幹から腐らせている──。それがここまではっきりとわかったというのに、しかし、そんななかで在任歴代最長を迎えた安倍首相を“礼賛”したのが、NHKの岩田明子記者だ。

 NHKは先週16日から『ニュース7』で「検証 安倍政権〜在任最長〜」という特集を組み、第一夜は「なぜ長期政権になったのか」、第二夜は「アベノミクス」、第三夜は「外交」、そして本日放送の第四夜では「憲法改正」をテーマにしたのだが、第一夜と第三夜には解説者として政治部の岩田記者が登場。安倍首相の数々の失敗政策を“功績”として持ち上げつづけたのだ。

 たとえば岩田記者は、安倍政権が長期政権になった理由を、「最大の理由は一次政権での失敗や反省を、その後の政権運営に活かしたこと」だとし、こんな解説をはじめた。

「一次政権では小泉内閣を引き継ぐかたちで構造改革を旗に掲げる一方、郵政民営化に反対し党を離れた議員の復党を認めることもありました。こうした相反する対応が求心力の低下を招いた」

 おいおい、ちょっと待て。たしかに造反組の復党を認めたことも支持率低下の原因ではあったが、第一次政権で安倍首相が退陣に追い込まれたのは、次々と大臣の「政治とカネ」問題が噴出して“辞任ドミノ”が起こり、さらには「消えた年金」問題が追い打ちをかけたことだ。第一次政権の振り返りさえ“歴史修正”するとはさすが岩田記者だが、しかし、驚いたのは次の発言だ。

「(求心力が低下した)結果としては、一次政権では解散権を行使することはできませんでした。しかし、二次政権以降は、消費税率引き上げの延期を決断した際には国民に信を問うなど、選挙での勝利を推進力につなげてきたと言えると思います」

 安倍首相による解散権の濫用は何度も指摘されてきた問題だが、それを「一次政権では行使できなかった」「二次政権では推進力につなげた」と無批判に取り上げるとは……。だいたい、岩田記者は2014年末の解散を「消費税延期を国民に信を問うた」などと言うが、あのとき解散したのも、狙いは自衛隊の集団的自衛権の行使を容認する安保法制を焦点隠ししながら「国民の審判を得た」として推し進めるための“大義なき”ものだったではないか。

「安倍首相がトランプと他の首脳の仲をとりもった」 岩田記者の安倍史観が炸裂!

 だが、その後も岩田記者は“安倍史観”を炸裂。「外交・安全保障政策の一貫性、継続性によって、日本の存在感が高まった」だの「国際社会で首脳間の対立が目立つなか、安倍総理大臣が仲介役、橋渡し役となるケースが見受けられました」だのと述べ、例として昨年のG7サミットを挙げ、このように解説したのだ。

「トランプ大統領とほかの首脳が対立した際には、安倍首相が落としどころを示し、首脳宣言のとりまとめに一役買った場面もありました」

 あたかも安倍首相が首脳宣言をとりまとめた功労者のような言い方だが、実際には、保護主義的な貿易政策を主張するトランプ首相に対して欧州・カナダが激しく対立するなか、安倍首相のみがアメリカを批判せず、“トランプの犬”であることを世界に露呈させただけ。しかも、安倍応援団が“安倍首相がトランプを説得して合意に導いた”という肝心の首脳宣言も、トランプ大統領はすぐさま「承認しない」とツイートしたように、何の説得もできなかったのが実態だ。

 これでよくもまあ「日本の存在感が高まった」「安倍総理大臣が仲介役、橋渡し役となるケースが見受けられました」などと言えたものだが、一方、誰の目にも成果のないことがはっきりとしている北方領土問題については、「平和条約交渉は膠着状態に見えます」などと解説。「見えます」って、膠着どころか後退しているのはあきらかだが、それでも岩田記者は「両首脳の目標は3年前の山口県長門市での会談、そして去年のシンガポールでの会談で共有されていますので」と言い張り、「政府は平和条約締結を目指して交渉を加速させたい考えです」と安倍首相の希望を代弁したのだった。

 だが、岩田記者の解説でもっとも露骨だったのは、「桜を見る会」問題に言及した場面だ。一応、岩田記者は「『桜を見る会』をめぐる問題などでは公私混同との批判も出ていますが、長期政権のおごりや緩みの表れだというそしりは免れないと思います」と述べたのだが、つづけてこうまとめたのだ。

「また、官邸主導で決められない政治を打破したとされる反面、与党内からは議論や根回しが不十分だといった不満も聞かれます」

 安倍首相が進めた官邸主導は「決められない政治を打破」したのではなく、政策の決定プロセスや手続きをことごとく破壊し、公文書改ざんという国家的犯罪まで引き起こした。そうした批判を一切おこなうことなく、「与党内からは議論や根回しが不十分だといった不満も聞かれます」って──。国民が抱く疑念などまるで無視して「政権運営」に帰着させることの、どこが「検証」だというのだ。

NHK岩田の『文藝春秋』ルポ「安倍晋三VS.文在寅」に失笑! 安倍のブーメラン丸出し文在寅批判をそのまま…

「桜を見る会」問題をめぐる報道ではホテル側への独自取材をしたり、英語民間試験導入で下村博文・元文科相が東大に圧力をかけていたことをスクープするなど、めずらしくNHKもやる気が垣間見えることもあり、ネット上でも期待の声があがっていた。だが、これらは社会部の仕事だと見られ、実際にニュース番組を牛耳る政治部による“安倍礼賛”という基本姿勢は何も変わっていない。実際、NHKは新元号発表や即位行事の番組に宮内庁担当でもない岩田記者を投入し、岩田記者は安倍官邸から事前リークがあったとしか思えない情報まで織り交ぜながら安倍首相が果たした役割を延々と解説した。

 しかも、岩田記者はたんなる「安倍首相の代弁者」ではない。

 岩田記者は現在発売中の「文藝春秋」12月号に「安倍晋三VS.文在寅「激突900日」」なるレポートを寄稿。日韓関係の悪化について〈皆さんの理解を深める一助とするために、筆を執ることにした〉と前置きしているのだが、その中身は、“リアリストで冷静沈着な安倍首相と、なんでも安倍に質問するトランプ大統領、その安倍とトランプから嫌われた文在寅”という歪んだ認知をただただ強調するだけのもので、当然、徴用工問題における個人請求権は消滅していないという認識を日韓両政府が踏襲してきた事実や、日本政府のホワイト国除外措置が徴用工問題の報復にすぎないことなどには一切ふれていない。

 そして、この“安倍小説”では、岩田記者は恥ずかしげもなく、こんなことを書いている。

〈安倍は今、文在寅について、北朝鮮の顔色ばかり窺う一方で、周囲をイエスマンで固め、国内政治も冷静にコントロールできていないと見ている。側近とはいえ、様々な疑惑を抱え、“タマネギ男”と揶揄されていた曺国の法相(後に辞任)起用を強行したことにも「色々問題があるのに」とため息を漏らした。〉

「イエスマンで周囲を固め、疑惑の人物を大臣に起用するって、それアンタやん!」という突然のツッコミはもちろんなし。潔白かつ鷹揚自若という、国民が見たことのない安倍首相がここでは描かれている。ようするに、大好きな安倍首相を主人公にして現実を二次創作した小説のようなシロモノで、「代弁者」を通り越して「常軌を逸した熱烈な信者」にしか思えないのだ。

 だが、これは笑って済ませられるような話ではない。たとえば加計学園問題では、NHKの社会部が「総理のご意向」文書の存在を朝日新聞がスクープする前から同様の報道をおこなう準備を進めていたが、そこに政治部から横やりが入り、結局、当たり障りのない内容にされ、肝心の文書も黒塗りにされてしまった。さらに、前川喜平・元文科事務次官が記者会見を開く前に独占インタビューを収録済みだったが、これも政治部がお蔵入りさせた。こうした政治部の動きの先頭に立ったのが、岩田記者だったといわれているのだ。

 他部署のスクープさえ握りつぶす……岩田氏はもはや記者ではなく、たんなる“政権からの出向者”というべきだ。そんな人物に安倍政権の「検証」をさせている時点で、報道とは到底呼べない。明日の放送でも「検証」特集がおこなわれるというが、また岩田記者が安倍首相の露骨な擁護を繰り広げるのか。要注目だ。

最終更新:2019.11.19 11:49

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