ウィーン芸術展公認取り消しを会田誠、Chim↑Pomらが批判! あいトリ以降相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家の共犯だ

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Japan Unlimited - MuseumsQuartier Wien 公式サイトより


 また安倍政権による検閲だ。オーストリアのウィーンで開催中の展示会「Japan Unlimited」をめぐり、在オーストリア日本大使館が公認を取り消した。文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」の補助金を取り消したのに続く、国による“事実上の検閲”としか言いようがない。

 そもそも「Japan Unlimited」は、オーストリアと日本の外交関係150周年を記念し、政治・社会批判の芸術の自由と限界に立ち向かうアーティストを紹介するという趣旨(公式サイトより)。イタリア人のマルチェロ・ファラベゴリ氏がキュレーターを務めている。

 同展には「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」にも参加していた美術集団Chim↑Pomや、現代芸術家の会田誠氏、美術作家の三田村光土里氏のほか、オーストリア、イタリア、ドイツなどから約20のアーティストが出展していた。

 共同通信は〈放射線防護服に日の丸の形に浮かんだ血が流れ落ちるようなオブジェや、安倍晋三首相に扮した人物が韓国、中国に謝罪する動画も展示されていた。昭和天皇を風刺する作品もあった〉と伝えているが、これらを日本政府が問題視し、公認を取り消したのは確実だ。

 実際、朝日新聞の取材に外務省は、同展について、日本政府の支援を意味するロゴマークの使用を今年1月に認めたというが、〈開幕後に外務省や大使館へ展覧会についての匿名、実名による問い合わせが複数寄せられ、大使館員が展示内容を調査。その結果、「両国の相互理解と友好関係の促進という趣旨に合致しないと総合的に判断」(同省担当者)〉し、10月30日で認定を取り消したという(朝日新聞デジタル7日付)。

 実は「Japan Unlimited」については、いくつかのネトウヨ系ブログが内容を問題視し、SNSでもネトウヨたちが「反日プロパガンダ」「反日左翼活動家のヘイト展示」などと騒ぎ立て、外務省への抗議を呼びかけていた。

 さらには、政治家の関与も判明している。たとえば自民党の長尾敬衆院議員はTwitterで、ネトウヨ系アカウントからの情報を受けて、〈外務省として対応すべき事柄を指示し報告を待っています〉〈不快感しか覚えない作品?が両国友好に資するとは思いません。追及を続けます〉〈日本とオーストリア友好150周年に相応しくない、JAPAN unlimitedに関して、経過報告をさせて頂きました〉などと投稿していた。長尾議員は朝日新聞に対して、外務省に問い合わせをしたことを認めたうえで「外務省の認定取り消しの判断は正しいと思っている」などと話している。

 また、同じく自民党の大西宏幸衆院議員も自身のブログで、先月30日、党の国防・内閣・外交合同会議で同展を問題視し〈説明を改めて要求しました〉と報告していた。ブログによれば、この要求によって外務省から対応説明に来ることなった。実際、7日付の東京新聞によると、大西議員は〈一般市民からの問い合わせやネット上で議論になっている内容を踏まえ、十月末に電話で同省に事実関係を確認〉したという。

 ようするに、外務省は一度は公認を与えていたにもかかわらず、ネトウヨの電凸や極右政治家の働きかけによって、その認定を取り消したということだろう。まさに、文化庁が一度採択した補助金を後になって異例の全額取り消しをした「あいちトリエンナーレ」と同じ構図ではないのか。

事実上の検閲にChim↑Pom、会田誠、三田村光土里ら展示作家から批判の声

 これは「国が認めたもの以外は芸術と認めない」ということであり、“事実上の検閲”を容認する言語道断の行為だ。しかも、この問題は国際的にも広がっていくだろう。すでにオーストリアのドイツ語新聞や映像メディアがネットでも報じているほか、ロイター通信が英語記事を配信して「あいちトリエンナーレ」の件など日本の表現の不自由をめぐる抑圧と絡めて伝えている。少なくとも、芸術表現に対して、国や行政が安易に口出しする風潮は、国際社会の常識から懸念されるだろう。

 当然、展示作家だけでなく、様々な表現者、言論人からも外務省の公認取り消しを批判する声が相次いでいる。

 たとえばChim↑Pomの卯城竜太氏は、東京新聞に「複雑につくられた作品の一部を切り取って『反日』と断じることは本質を見誤っている」「(公認の撤回は)『国民が自国を批評する』という民主主義国家として当たり前のことに政府がネガティブな姿勢であると、海外に広く示してしまった」とコメント。会田誠氏は、今回の公認取り消しがいかに日本という国の国際的評価を落とすかについてツイートしている。

〈僕やチンポムのような民間で活動してるアーチストも、イタリア人のフリーのキュレーターも無傷。傷を負ったのは「日本」という国ですよ。そのキュレーターは今日、ヨーロッパの大手新聞2社のインタビューを受けたそうです。ヨーロッパの多くの人々がどのような記事を近々読むか、想像できますよね?〉(6日)

 同展に出展している作家の三田村光土里氏も、Twitterでのユーザーとのやりとりのなかで、こう指摘している。

〈私が一番問題だと思っているのは、公認が確認ミスだとしても開始後1ヶ月以上の間、大使館員も来場して見ていたのに、Twitterで声が上がったとたんに予告なく撤回したです。つまり日本の政府機関は簡単にネットの反応に流される可能性があり、どんな思想の日本人にとっても起こりうる危険なことです。〉(7日)

あいトリ以降続発する“事実上の検閲”事件! しんゆり映画祭、伊勢市の美術展でも

 現在のところ、「Japan Unlimited」は日本政府の公認こそ取り消されたものの、展示は続けられているというが、いずれにしても、今回の件が「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」をめぐる展示中止問題と地続きにある。

「表現の不自由展」では、右派の電凸攻撃や脅迫・テロ予告と、政権に近い極右政治家たちの攻撃によって、一時展示中止に追い込まれた。そして、文化庁があいトリ全体の補助金を取り消すという暴挙に出た。つまり、ネトウヨが騒いでクレームをつければ「表現の自由」や行政の補助金にストップをかけられるという前例をつくってしまったのだ。ネトウヨたちが味をしめたことは疑いなく、役所も政権を忖度して芸術に平気で口を出すようになってしまった。

 実際、あいトリの問題以降、行政による検閲や、萎縮した主催者の自主規制が続いている。

 たとえば、本サイトでも報じてきたように、川崎市の市民映画祭「KAWASAKIしんゆり映画祭」では、慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー映画『主戦場』(ミキ・デザキ監督)の上映が当初決まっていたにもかかわらず、川崎市側から主催者への「懸念」を受けて、映画祭側が上映を取り消すという萎縮問題が起きた(その後、映画関係者や市民の声を受け、主催者が警備ボランティアなどを募集、安全面に考慮したうえで11月4日に『主戦場』を上映した)。

 さらに、先月末には三重県伊勢市の「伊勢市美術展覧会」で、主催の伊勢市が、グラフィックデザイナー・花井利彦氏制作の作品のなかに慰安婦問題を象徴する少女像の画像が配置されていることを問題視し、展示を拒否。鈴木健一・伊勢市長は「あいちトリエンナーレ」の事件を念頭に「作品への妨害や脅迫といった安全面で危惧のある展示は避けたい」などと理由付けしたが、明らかに過剰反応であり、行政による事実上の検閲と言わざるをえない。

Japan Unlimited、あいトリ…相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家・行政の共犯

 11月4日には、「しんゆり映画祭」での『主戦場』上映に先駆け、日本映画大学新百合ヶ丘キャンパスで、『主戦場』の無料上映会および作品解析・シンポジウムが行われた。ミキ・デザキ監督も出席したシンポジウムのなかで、ジャーナリストの綿井健陽氏は「暴力や圧力に事前に屈してしまえば、そこから自己検閲が広がっていく。戦前のようにハサミを持った人が検閲するのではなく、自己検閲が日本型検閲の行き着くところだ」と語っていたが、その通りだろう。

 今回の「Japan Unlimited」の外務省公認取り消し問題、「あいちトリエンナーレ」をめぐる一連の問題、そして「しんゆり映画祭」での自主規制と「伊勢市美術展覧会」の展示拒否問題を比較すると、それぞれの経緯や「表現の自由」の制限の程度こそ違うが、通底するのは、ネトウヨ-政治家-行政が一体となって、彼らが「反政権」「反日」と“みなした”表現を封じ込める、あるいはやり難くなるという空気をつくり上げていることだ。

 政治権力は表向きこそ「表現の自由」に「配慮」して別の理由を掲げたり、「主催者の自己判断」にすり替えようとする。だが、いずれのケースも、公認を与えるとか助成金を出すなど、公権力の存在抜きには起こり得ないことであり、だからこそ、表現を萎縮させる“事実上の検閲”なのだ。

 そして、これが立て続けに起きているということは、決して、表現者だけの問題ではなく、私たち自身にも直結してくる。ひとつの前例ができてしまえば、他の様々な言論活動や日常生活に余波を与えるからだ。少なくとも、安倍首相のモノマネのような政治風刺は今後、公共の場から姿を消していくだろう。それは最終的に“安倍批判”そのものが封印されるという状況に結びつく。

 大げさに言っているのではない。すでに、公権力が直接手を下さなくとも、ネトウヨが安倍自民党の別働隊としてクレーム攻撃をしかけ、行政が政権に忖度し、萎縮した主催者が自己規制に走るという状況が成立してしまった。旧ソ連や中国共産党のような直接的な弾圧ではない、日本型の言論管理社会は到来しつつあるのだ。いま、声を上げ続けなければ、本当にこの国は行くところまで行ってしまうだろう。

最終更新:2019.11.07 09:04

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