安倍政権と一体化する維新が国会と野党の抵抗を「税金の無駄」と…コストふりかざし民主主義を破壊する新自由主義者

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日本維新の会ホームページより

「過去最低国会」と呼ぶに相応しい強権性と醜態を安倍政権が晒し、今月10日に閉会した臨時国会。水道民営化法案や漁業法改悪法案はもちろん、最重要法案だった入管法改正案をめぐっては暴挙に次ぐ暴挙で安倍政権は未明の強行採決に持ち込んだが、その深夜国会をめぐり、唖然とするような主張を、あの「ゆ党」が繰り広げている。

 国会閉会の翌日である11日、日本維新の会が、入管法改正案の採決が参院法務委員会と参院本会議でおこなわれた7〜8日における、国会職員の残業代など“深夜国会によってかかったコスト”の開示を衆参両院に要求したというのだ。

 さらに、維新の遠藤敬国会対策委員長は、大島理森衆院議長に「合理的な判断に基づいた議会運営」などの申し入れ書を手渡し、その後の記者会見で「あんな時間まで国民の税金を使って行う必要があるのか」と主張。産経新聞によれば、維新には〈深夜や未明の国会攻防のコストを示すことで与野党に自重を促す狙いがある〉のだという。

「与野党に自重を促す」などというが、これが入管法改正案に反対していた野党に対する批判であることはあきらかだ。実際、維新の馬場伸幸幹事長は10日の会見で、与党のことは「閣法をとにかく守る」とだけ指摘し、その一方で野党をこう批判した。

「野党側はスキャンダル追及とか審査の妨害、本会議場で牛歩、牛タン(長い演説)、解任動議であるとか、もうパターンが決まっている。国民も、もう、へきえきとしている」(朝日新聞11日付)

 また、維新の丸山穂高衆院議員も、7日の深夜にこうツイートしていた。

〈立憲ら一部野党の抵抗してますよパフォーマンスに、多くの国会や省庁職員らの残業含め多額の税金を投入しなければならない。生産性もなく、まさに無駄無駄無駄無駄無駄無駄かと〉

 法案に反対する野党によって無駄なコストがかかっている──。維新はこれまでも深夜国会をコスト面から批判してきたが、この国権の最高機関たる国会にまで新自由主義的コストカットの発想を持ち込もうとは、まったく開いた口が塞がらない。

 まず、言っておくが、7日の国会が延びに延びる原因をつくったのは、自民党の議員だ。7日の午前10時からおこなわれた参院本会議での委員長解任決議案で自由党・森ゆうこ議員が趣旨説明をおこなっている最中に、自民党の大家敏志議員が壇上で激昂して暴言を吐いた上、野党議員の肩をつくという“事件”を起こし、これによって参院は夜までストップしたのである。

 しかも、維新の馬場幹事長は「審査の妨害」を法案反対野党がおこなったと言うが、審査の妨害をしてきたのは安倍政権のほうだ。

 とくに、外国人労働者の受け入れ拡大の土台となる外国人技能実習生をめぐっては、技能実習生の失踪理由をねつ造した挙げ句、聴取票の個票のコピーも秘書などによる作業も安倍政権は禁じ、野党議員は議員自身が1枚1枚手書きで写さざるを得なかった。「無駄」と叫ぶのなら、コピーさせずに野党議員に“写経”作業を強いる、そこにかかった時間と労力のコストこそ「無駄」と言うべきだ。

 そもそも、あらためて確認するまでもなく、この国の唯一の立法機関である国会は、どんな法律をつくるのか、その中身はどうなのか、徹底した説明と議論をおこなって合意形成を図ってゆく場だ。そして、法案審議の論戦を通して、国民に法案の内容やその是非について知らせなくてはならない。当然、賛否に分かれる法案については審議を尽くすのが大前提であり、最重要法案ともなればなおさらだ。

コストをふりかざし議会制民主主義を破壊する「ゆ党」維新の危険な発想

 しかし、どうだ。国のかたちを変える入管法改正案の審議は、衆参合わせてたったの約38時間。しかも、衆院では、与党は安倍首相の外遊日程に沿って強行採決するという立法府を舐めきった態度に出たが、これをアシストしたのは維新であり、採決前日に維新が与党と修正協議で合意している。ちなみに、入管法改正案の法案審議の根幹にかかわる聴取票の個票書き写し作業も、維新の議員はおこなっていない。

 外国人労働者の受け入れを拡大するのに、その受け入れ人数の上限さえ示されていない、そんな中身がスカスカの法案に対案もへったくれもない。審議に入る以前のシロモノだったのである。それは世論調査の結果にも出ており、11月17・18日に毎日新聞がおこなった調査では「今国会での成立にこだわらず議論を続けた方がよい」と答えた人は66%、さらに強行採決後の今月8・9日に産経新聞社とFNNがおこなった調査でも「今国会での成立にこだわるべきでなかった」という回答は71.3%にものぼっている。

 そんな法案を、委員長職権で委員会開催を決める乱暴な国会運営や、反対野党の発言を封じる動議をかけるという「言論の府」を踏みにじる行為などによって、安倍政権は無理矢理通した。この多数者の専制に反発が起こるのは当然であり、抵抗することは国民の負託を受けた野党の立派な役割だ。牛歩や牛タン戦術、解任や不信任決議案のカードを切るのも、会期末による流会(法案の成立断念)や与党からの留保を狙うための重要な手段である(なお、党議拘束のないアメリカなどでは、その間に多数派議員を説得し票の切り崩しや法案修正の交渉が行われることもある)。

 それを、国民の世論も半数以上が議論は拙速だと判断し、審議が尽くされていない法案の問題点を根本から追及することもなく、「やってますアピール」の適当な修正案で与党をアシストしてきた維新が、言うに事欠いて「もっと審議を」と求める野党の抵抗を「税金の無駄」と叫ぶ──。

 ようするに、維新は「コスト」という市場の論理を振りかざし、議会制民主主義のルールをぶっ壊そうとしているのである。

 安倍自民党の暴走もさることながら、この「ゆ党」の下劣な発想にも反吐が出るが、しかし問題なのは、維新の主張のような論調がメディアでも散見されたことだ。

ワイドショーでは八代英輝、田崎史郎、眞鍋かをりが「野党のせい」に

 たとえば、入管法改正案が衆院で強行採決された翌日の『ひるおび!』(TBS)では、山下貴司法相の不信任決議案で国民民主党の山井和則議員が趣旨弁明を約1時間45分にわたって繰り広げたことを、野党の“引き伸ばし”作戦として紹介。田崎史郎が「いかに自分たちが格好良く反対しているのかっていうのを見せようとしているだけなんですよ」と言い、八代英輝弁護士は法案を「お粗末極まりなさすぎる」と批判しながらも最後は「(野党が)対案を示して国民が選択肢を得ることが必要だった」とまとめた。

 また、参院での未明の強行採決のすぐあとに放送された『上田晋也のサタデージャーナル』(TBS)でも、無能大臣・桜田義孝五輪担当相の問題を含めて“資質を問う野党も問われる大臣も「どっちもどっち」で政治不信!?”と取り上げ、出演していた眞鍋かをりは「野党の追及の仕方を追及する人がいない」などとコメントした。

 中身がスカスカの法案を強行採決した政権の暴走や、資質が疑われる大臣を任命した安倍首相の責任は不問に付し、なんでもかんでも「野党が悪い」でその場を締める──。これは、権力を濫用する与党に野党が異議を唱えることを「野党が反発」「与野党の攻防」などと表現して矮小化し、数の力に任せた独裁政治を「多数決だから当然」と言って間違った民主主義の解釈を垂れ流してきたのと同じだ。

 そして、社会に新自由主義の考え方によって物事を判断する価値観が蔓延するなか、維新が叫ぶ「与党の足を引っ張る野党は税金の無駄だ」という主張を国民が容易く受け入れてしまう土壌は、もうすでにできあがっているのだ。

 しかも、つい最近も自民党憲法改正推進本部の会合では、川上和久・国際医療福祉大学教授が、憲法改正について〈(国民)投票に向けて改憲派も反対派を敵と位置付け、名指しで批判するなどネガティブキャンペーンが必要と説いた〉という(時事通信5日付)。来年の通常国会では、安倍政権が反対野党への攻撃に力を入れてくることは間違いないが、ここに思考停止のメディアが丸乗りすれば、国民世論はどうなるか。恐ろしい展開は、すぐ目の前まで近づいていると言わざるを得ないだろう。

最終更新:2018.12.13 11:54

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