「朝日新聞、死ね」で物議…維新のネトウヨ議員・足立康史のトンデモ暴言と安倍首相への信奉ぶり

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日本維新の会HPより


 日本維新の会・足立康史衆院議員のツイートが波紋を広げている。足立議員は12日、加計学園問題を取り上げた社説記事にリンクを張るかたちで〈朝日新聞、死ね。〉とツイート。さらに、メディアからの取材に対しては、このような開き直りの態度をとった。

「国のため、国会を正すため、日本を前に進めるための『良い炎上商法』という意図があった」
「愛媛県や今治市や、加計学園や、獣医学部を目指している学生さんのことを思うと許せないので、あえて死ねという言葉を使った」(BuzzFeed News)
「(『保育園落ちた日本死ね』を念頭に)『死ね』という言葉は私自身は許容されると思っていないが、今の国会と日本社会は是としているようなので使った」(毎日新聞)

 あらためて確認するまでもなく、「保育園落ちた日本死ね」というのは、一向に進まない待機児童問題に対して一般市民が怒りをぶつけた言葉である。それを言い訳に利用して、政治家という権力者が「死ね」とメディア批判に使うとは言語道断の行為だ。

 しかも、言うに事欠いて「獣医学部を目指している学生さんのことを思うと許せない」ときた。ならば疑念をもたれるようなプロセスを踏んだ国家戦略特区とその責任者である安倍首相に苦言を呈すべきで、メディアに「死ね」と暴言を吐くのは筋違いだ。

 とくに朝日新聞については、30年前に阪神支局で記者2名が散弾銃で殺傷されるという赤報隊事件が起こったこともあり、「死ね」という暴言がテロを煽動するのではないかと懸念の声がネット上に溢れた。だが、足立議員は「良い炎上商法」と言うのだから、良識などまったくもち合わせていないらしい。

 そもそも、足立議員といえば、橋下徹や松井一郎代表をはじめ口の悪さでは政界随一の“ならず者政党”である維新のなかでも図抜けた“暴言”議員だ。

憲政史上初! 暴言を理由に4回も懲罰動議にかけられた足立議員

 たとえば、昨年2月の衆院予算委員会中央公聴会に公述人として出席した元検事の郷原信郎弁護士が与党に批判的な公述をおこなったことに対し、「専門家ではなく政治家、政治屋だ」「売名行為だ」などと暴言を浴びせた。

 また、同年4月7日や19日の衆院総務委では民進党批判をはじめ、「民進党はアホじゃないか。アホです。アホ」「こんな政党は日本の恥だ。アホ、バカ、どうしようもない」「私は国民の声として『民進党は死ね』と言っている」と発言。さらに、同月21日の同委でも、熊本地震の現地対策本部長だった松本文明内閣府副大臣が政府とのテレビ会議で自分への差し入れを要請していた問題を取り上げた高井崇志(当時・民進党、現・立憲民主党)議員を「アホだと思う。本当、アホ」「民進党は(地震対応の)足を引っ張っている。ふざけるなよ、お前らホンマに」と述べ、結果、維新から謹慎処分が言い渡された。

 こうして、昨年だけで暴言を理由に4回も懲罰動議にかけられるという憲政史上初の記録を打ち立てた足立議員だが、本人は「関西ではアホは敬称だ。関西で最も尊敬されている方の一人に『アホの坂田』さんがいる。だからアホは敬称だ」と開き直っている。

 しかし、足立議員の暴言は秘書にも向けられていた。2015年に足立議員は元私設秘書から残業代未払い約960万円の支払いのほか、「小選挙区で落ちたのはお前のせいだ」「アホ、殺すぞ」という暴言をはじめ、水をかけられるなどのパワハラを受けたとして裁判を起こされた。だが、足立議員はこの元秘書に対して、なんと衆院厚生労働委でも「政治家の事務所は残業代をきっちりと労働基準法に沿って払えるような態勢か。ふざけるなと思う」などと発言したのだ。

「殺すぞ」という脅迫発言のみならず、国会でも残業代未払いを当然のように語って、「ふざけるな」と罵倒する。とても政治家とは思えない振る舞いだ。

 無論、本人には反省などまったくなく、むしろ、先日発売された著書『永田町アホばか列伝』(悟空出版)のなかでこう胸を張っている。

〈私は決心しました。もう迷わへん。アホを「アホ」と言って、バカを「バカ」と言って、何が悪いねん!「言うべきことは言わねばならぬ、批判を恐れず本音で勝負!」や〉

ヘイトスピーチを「ストレス発散」と開き直り

 たんに口汚く人を罵倒することを「批判を恐れず本音で勝負」しているのだとすり替え、あたかも「改革者」や「強い政治家」というイメージに仕立て上げる──つまり足立議員は、橋下徹やトランプ大統領、安倍首相といった手本にならって「暴言政治家」を実践しているのである。

 そして、この作戦は功を奏している。足立議員は、以前より目の敵にしている辻元清美議員に対し、森友学園問題で辻元議員が豊中市に補助金を出させたなどのデマをテレビで垂れ流し、街頭演説でも「森友問題は辻元のヤラセ」などと喧伝。また、蓮舫議員の二重国籍問題をあげつらって“蓮舫代表の言動は中国の回し者”と投稿した際には、足立議員はこんな一言まで添えていた。

〈国籍のことを言うのはポリコレに反するので本当は控えたいのですが、ストレスたまると午後の地元活動に影響するので書いてしまいます〉

「批判を恐れず本音で勝負」とはよく言ったものだ。実際は、デマ情報やヘイトスピーチによって個人攻撃をおこない、挙げ句の果てにはヘイトスピーチを「ストレス発散」だと自ら認めているのである。だが、こうした言動こそがネトウヨからの支持を集め、いまではネット番組『報道特注』でも人気を博している。本人もそうした人気に手応えを感じているのだろう。前述の著書では、こう綴っている。

〈「爆笑国会」「足立劇場」「やっさん無双」「フルボッコ!」――いままでとは違う方々が、私の暴言「アホ、バカ」を契機に、国会や政治に関心を深めて下さったのかもしれません〉

 この足立議員の品性のかけらもない態度を、「よくいるネトウヨ議員のひとり」などと過小評価してはいけない。国会の場で「アホ」「バカ」「死ね」という言葉が繰り返され、それに慣れてしまうと、政治家による暴言のハードルはどんどんと下がり、同時に政治家の劣化、国会議論の劣化も進行することは間違いないからだ。

 しかも、足立議員の注目すべき点は、今回の「朝日新聞、死ね」ツイートだけではなく、安倍政権をアシストするために立ち回っている、ということだ。民進党批判に、安倍首相が嫌う辻元議員や蓮舫議員、福島瑞穂議員といった女性議員たちへの個人攻撃、加計問題への「朝日のねつ造」という根拠なき批判──。

 事実、前掲書『永田町アホばか列伝』では、野党議員のほか小泉進次郎議員や石破茂議員をこき下ろす一方、安倍首相には露骨に媚びへつらっている。

〈安倍総理は、自民党総裁として、そして古い自民党を背負いつつも時代を切り拓く類まれな仕事をされている。国政における自民党は、政権交代も経験して、揉まれ、洗練されてきている〉
〈「足立は安倍内閣の別働隊」とかいう口汚い中傷をいただくことも少なくないが、私は正面から憲法を議論しようとしない、というかそもそも議論する能力を持ち合わせていないアホ政治家、バカ政党を見るにつけ、心底怒りを覚える。憲法改正を正面から進めている安倍晋三総理の仕事に、私は深く敬意を抱いている〉
〈総理、足立康史は内閣の一員ではないし、ましてや与党のメンバーでもないが、安倍総理のもとで憲法改正を実現したいと心から願っているんですよ!〉

ネトウヨ同士の内ゲバで「公明党や自民党への擦り寄り」を暴露され…

 まるで安倍首相の子飼い議員と見間違えるほどの心酔ぶり。だが、実際のところ、足立議員は安倍チルドレンになりたがっているのではないか、という話もあるのだ。

 足立議員と同様にやはり愛国&ヘイト発言でネトウヨから支持を受けている小坪慎也・行橋市議会議員は、今年10月18日のブログにこんなことを書いていた。

〈(足立議員の)地元から指摘されている点は「国会議員を目指すにあたり、母親が創価学会員で公明党からの出馬を模索するも断られ、自民党から国政を目指した(T議員の地盤)が選ばれず、結局は“みんなの党”から国会議員に」という経緯の指摘。いまは維新として舌鋒、鋭く振る舞っている姿が全てではない。確かに、公明党の批判は見受けられない〉

 小坪議員はさらに〈これらは、大阪の名のある政治関係者らが実しやかに語っており、ただの噂話として扱うことは難しい〉〈学生時代は創価学会学生部で活躍していた等の話まである〉と記述し、今年の春に開催された足立議員のパーティに、塩崎恭久厚労相や金田勝年法相(ともに当時)、公明党の太田昭宏議員が駆け付けていたことを記すジャーナリスト・有本香氏のツイートを貼り付けている。

 このとき、まさに足立議員と小坪議員はネトウヨ界隈内で“内ゲバ”を繰り広げており、また、小坪議員も足立議員と同様に普段からデマを流しているだけに信用はならない。ただし、この小坪議員の投稿に対し、足立議員は〈私の母の宗教・信仰に手を突っ込んできたことは絶対に許せまん〉(原文ママ)と批判をおこなう一方、事実関係の否定はしていない。

 足立議員の安倍首相への信奉ぶりを見れば、このような公明党や自民党からの出馬を希望しながらも断念した過去があっても、まったく不思議ではないだろう。実際、野党の質問時間削減問題について足立議員は〈野党は相変わらず質問時間は政府を追及する野党側のものだと主張しているようで辟易します〉などとツイート。維新所属の足立議員は正真正銘の野党議員なのだが、そのつぶやきはさながら与党議員だ。

 暴言を「本音」と正当化し、安倍首相に助太刀をする──。「朝日新聞、死ね」発言は、野党議員からというよりも「安倍政権の別働隊」から出たものだということは確認しておかなければならないだろう。

最終更新:2017.11.15 12:24

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