安倍首相が生出演『報ステ』『NEWS23』の異常な弱腰! 厳しい質問をせず、野党や元島民の批判VTRをカット

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
news23housute_01_161217.jpg
左・TBS『NEWS23』番組サイトより/右・テレビ朝日『報道ステーション』番組サイトより


 結局、北方領土問題は微動だにせず、総額で3000億円規模となる経済協力の合意など、安倍首相がプーチン大統領にいいように利用されただけに終わった日露首脳会談。だが、ほとんどの国内マスコミは安倍政権の情報操作に丸乗りし、「プレス向け声明」を「日露が共同声明」などと報じるなど、完全に安倍政権の援護にまわった。

 なかでもひどかったのは、テレビ局だ。ハードルを下げようとする官邸の思惑に全面協力したワイドショーの姿勢については、昨日も批判したが、もっと愕然としたのは、昨夜、安倍首相が生出演したNHK『ニュースウオッチ9』、テレ朝『報道ステーション』、そしてTBS『NEWS23』という3つの報道番組だ。

 安倍首相に問題点を追及することもできず、たんに安倍首相の言い訳を垂れ流し、完全に官邸に屈服した姿をさらけだしてしまったのだ。

 まずは21時の『ニュースウオッチ9』。冒頭、河野憲治キャスターが「自己採点は何点ぐらいですか」と質問。安倍首相から「本格的な議論をスタートさせることはできました」「(点数をつけるのは)難しいですね」などとはぐらかされ続けたのだが、対する河野キャスターはまったく追及せず、にっこり顏で「むずかしいですか、なるほど」と相槌を打つだけという緊張感皆無で始まった。

 その後も“首相に最も近い記者”と言われる岩田明子記者が「(北方4島問題の)ゴールは見えてきたなという実感はあるか」と、安倍首相とツーカーで「成果」を強調。さらに、VTRで紹介した元島民らの声も、評価するような部分を意図的に取り上げて“賛否拮抗”であるかのごとく演出。しかも、スタジオではこうした元島民の声にはほとんど触れなかった。

 だが“安倍様のNHK”のこと、ある意味これも“通常運転”ではある。たびたびリベラルな特集を組む『報ステ』と『23』だけは、プーチンが関与するシリア問題に切り込み、安倍首相の矛盾した態度を追及してくれるかもしれないと、ほのかに期待していたのだが、しかし結局、両方とも、首相を接待しているのかと思えるほどヌルい内容に終始した。

 たとえば22時の『報ステ』では、富川悠太アナウンサーが「プーチン大統領と一緒に温泉に入ったのか」などと、ワイドショーみたいなどうでもいい切り口。本題の北方領土問題にしても、「4島一括か、2島先行か、はたまた2島だけでいいのか」と具体的プランを聞いてみるのはいいが、安倍首相はまったく明らかにしようとせず、逆に「具体的にすこしでも前進するために、どう交渉していくかを考えなければならない」「新しいアプローチ」などと、抽象的な言い訳を宣伝させてしまうだけ。

 また後藤謙次氏が、安倍首相が現在議長を務めるG7がロシアへの経済制裁を強めているが、その最中で日露だけが接近していいのかという旨の質問をするも、「ウクライナの(クリミア併合)問題に関しては、G7の一員として責任ある協調した行動をとっていく」という建前を垂れ流させただけで、そこで日本政府にとって最大の矛盾点であるシリア情勢に対し、番組側から切り込む気配をつゆほども見せなかった。

 そして最後に23時台の『23』。TBSは会見直後の同日夕方『Nスタ』で元島民の男性を中継しており、「端的に言ってがっかり」「成果はゼロ」「自由訪問は前からやっていることで別に目新しくない」という旨の批判的なコメントを報じていた。そのため、北方領土問題が事実上まったく動かなかったことに対し、強く追及していくものと思われた。

 そして期待どおり、『23』でも安倍首相の生出演中、『Nスタ』と同じ元島民の男性がVTRに登場したのだが、しかしここで不可解なことが起こった。

 というのも、『23』のVTRで男性は、「(安倍首相が島民の手紙をプーチンに渡したことは)非常に大事なことで、私ども島民としての核になる発言だった。それに対してプーチンさんは島民の思いとか安倍首相が投げたボールに対してなんの返答もなかった。会話にならない会見だった」と、プーチン批判のみを述べ、逆に、安倍首相を批判する言葉をまったく発さなかったからだ。『23』側がインタビューをどのように編集したのかは定かではないが、この不自然さを見る限り、少なくとも安倍首相の生出演に気を使ったのは疑いないだろう。

 これまで安倍政権の政策の問題点をしっかりと点検してきた『報ステ』と『23』が、この体たらく……。しかも、この二つの番組は、他にも異常としか言えない自主規制をしていた。

 それは、『報ステ』も『23』も、今回の日露首脳会談に対する野党側の反応を、一秒たりとも報じなかったことだ。

 実は、安倍首相が昨晩最初に生出演した『NW9』では、キャスターらとの質疑こそ“お友達ムード”であったものの、一応、VTRで自民党の二階俊博幹事長の他、公明党、民進党、共産党、日本維新の会の代表らのコメントを紹介していた。

 その際、安倍首相は民進党・蓮舫代表の「日本の大規模な経済援助への進展はあったが領土問題は置き去りにされているかの印象は否めない」「引き分けどころかプーチン大統領に一本とられた形で終わったのだとすれば、国民のひとりとして非常に残念」というコメントに対し、VTRが終わるやいなや猛然と反論。キャスターの進行に食い気味で「蓮舫氏は間違ってます。経済援助ではありません」「勘違いされておられる」とまくしたてた。国会質疑で痛いところを突かれたときのあの調子で、だ。

 普通のジャーナリズムの感覚なら、その後に安倍首相が生出演した『報ステ』や『23』では、蓮舫代表ら野党のコメントを使い、安倍首相が唯一感情を見せたこの話題を掘り下げるのが当然だろう。ところが、両番組とも、流したのは二階幹事長のコメントだけで、蓮舫氏を含む野党側の見解を報じるVTRはゼロ。富川アナも星氏も、安倍首相に対し野党が批判する「事実上の経済援助か否か」問題を直接ぶつけることはなかった。

 これは明らかに不可解だ。NHK出演後、蓮舫氏のコメントに激怒した官邸が「蓮舫の話は間違っているから放送するな」と恫喝したのか。あるいはたんにテレ朝とTBSが忖度したのか。それは現段階ではわからないが、いずれにせよ、安倍首相が総裁を務める自民党の見解のみを伝えるのは、これこそ放送法が定める不偏不党の理念に反するだろう。こんなことが許されていいのか。
 
 たしかに、本サイトがなんども指摘しているように、『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)や『ひるおび!』(TBS)などのワイドショーは完全に安倍応援団と化している。今回の日露首脳会談をめぐっても、ハードルを下げたうえで、ほとんどない成果を膨らまそうと必死になっていた。『ミヤネ屋』にいたっては、前日大谷山荘で安倍首相が『ミヤネ屋』をじっと視聴している写真が昭恵夫人のインスタグラムにアップされたことに大はしゃぎ。司会の宮根誠司が「見てるよ、と。いい加減無責任なことをしゃべるなよ、と」「安倍さんからのメッセージ」とコメントする始末だった。

 しかし、夜のニュース番組は、各局の報道局が精力を尽くす“顔”だ。これまでテレ朝では『ワイド!スクランブル』がナアナアでも『報ステ』が、TBSでは『ひるおび!』がいかに政権の応援団だらけになろうが『23』が、しっかりと“権力の監視”というメディアの矜持を見せてきたはずだ。

 だが、繰り返すが、今回の日露首脳会談後の安倍首相生出演では、『報ステ』も『23』も、安倍首相を慌てさせたり、あるいは激昂させるような厳しい追及をまったく見せなかった。それどころか、番組の構成からして、あきらかに安倍首相の顔色を伺うような、言い換えれば官邸の“逆鱗”に触れないよう細心の注意を払うような放送を行ったのだ。

 今から1年前の古舘伊知郎の『報ステ』、あるいは岸井成格・膳場貴子体制の『23』であったならば、こんなことが起きただろうか。ようするに、彼らが番組を去ってから、たった1年も経たたないうちに、夜のニュース番組が完全に骨抜きにされ、見事に陥落されてしまった。そのことが、今回の首相生出演ではっきりと露呈したのである。

 このままでは、それこそ政権が戦争をしようが何をしようが、テレビはまったく反対しないどころか、むしろ、逆にありもしない「成果」を喧伝するようになる。そんな戦中のようなメディア状況の再現を目前にして、わたしたちになす術はないのだろうか。
(編集部)

最終更新:2017.11.12 01:47

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

安倍首相が生出演『報ステ』『NEWS23』の異常な弱腰! 厳しい質問をせず、野党や元島民の批判VTRをカットのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。NEWS23TBSテレビ朝日圧力報道ステーション安倍晋三編集部の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 平井大臣のNTT接待「割り勘」は嘘、「文春」から取材受け慌てて支払い!
2 葵つかさが「松潤とは終わった」と
3 駐豪大使が「旭日旗が見られて喜ばしい」とツイート、豪でも批判が殺到!
4 共産党議員の不可解書類送検の裏に安倍の元秘書官の埼玉県警本部長就任
5 年金データのマイナンバーはやはり中国に流出か…厚労省部会の報告書が指摘
6 佳子内親王の「姉の一個人の希望を」に批判殺到はおかしい
7 防衛省が予算増PRのためインフルエンサー100人に接触計画、一体誰が?
8 山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
9 八代の降板なし『ひるおび!』のダブスタ 室井佑月と上地雄輔で対応の差
10 デジタル担当相・平井卓也は電通と組んでネット情報操作を始めた張本人
11 デーモン閣下が相撲ファンの差別に苦言
12 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
13 フジ系『最高のオバハン』が結婚詐欺師の名を小室氏と一字違いの「小室敬」に
14 安倍晋三が「統一教会」イベントでトランプと演説!同性婚や夫婦別姓を攻撃
15 倉持仁院長の総裁選をめぐる正論に橋下徹やネトウヨがいちゃもん
16 小室圭さんをとにかく糾弾したいワイドショーの事実歪曲とグロテスクな差別性
17 デジタル庁初代大臣に平井卓也が居座り!オリパラアプリ業者との癒着
18 高市早苗の最側近は「生産性がない」杉田水脈でテレビ局にも同行!
19 愛知リコール不正は維新にも責任 事務局長は維新の衆院選公認候補
20 室井佑月の『ひるおび!』降板で麻木久仁子が滝川クリステルに疑問
1 安倍晋三が「統一教会」イベントでトランプと演説!同性婚や夫婦別姓を攻撃
2 山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
3 八代の降板なし『ひるおび!』のダブスタ 室井佑月と上地雄輔で対応の差
4 八代の共産党攻撃の根拠「公安調査庁」がまるで共産党PRの“失笑”報告書
5 総裁選に騙されるな、政府のコロナ対策の酷さは全く変わってない! 
6 共産党議員の不可解書類送検の裏に安倍の元秘書官の埼玉県警本部長就任
7 平井大臣のNTT接待「割り勘」は嘘、「文春」から取材受け慌てて支払い!
8 河野太郎に実は「コロナわかってない」説! 今頃、パルスオキシメーター解説
9 高市早苗が右翼隠しに躍起! 反ワクチン極右活動家が高市支持デモ計画も
10 森友再調査問われ河野、岸田が呆れた忖度発言! 高市は桜で大嘘
11 倉持仁院長の総裁選をめぐる正論に橋下徹やネトウヨがいちゃもん
12 高市早苗の最側近は「生産性がない」杉田水脈でテレビ局にも同行!
13 駐豪大使が「旭日旗が見られて喜ばしい」とツイート、豪でも批判が殺到!
14 防衛省が予算増PRのためインフルエンサー100人に接触計画、一体誰が?

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄