新文科相の馳浩は森喜朗のロボットだ! 新国立競技場計画でも巨額予算を擁護し利権化をサポート

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衆議院議員「はせ浩」のオフィシャルサイトより


 先日、本サイトが報じた馳浩新文部科学大臣の体罰自慢記事は大きな反響を呼んだ。体罰撲滅の先頭に立たなければいけない文科相がそれを自慢しているのだから多くの人が呆れるのは当然だろう。

 もともと、馳の文科相抜擢については、永田町でも首を傾げる向きが多かった。政策的な知識も政治的実績もほとんどないうえ、野球や相撲の八百長が発覚した時に、監督官庁としてプロレスをやっていた馳がどんなコメントができるのか、という声も上がっていた。

 だが、安倍首相にはどうしても馳を文科相に据えなければならない理由があったようだ。それは“親分”森喜朗元首相の意向だ。

 周知のように、東京五輪組織委の会長である森氏は一連の五輪不祥事の最大の“戦犯”である。組織の最高責任者であるというだけでなく、国立競技場やエンブレム選定にも直接関わっていた。しかし、当時の下村博文文科相、電通出身の組織委員・槙英俊マーケティング局長やクリエイティブディレクターの高崎卓馬氏らが引責辞任をした一方で、森会長だけはなんのおとがめもなし。それどころか、担当大臣のひとりである文科相の人事に手を突っ込んできたのだという。

「国立競技場の白紙撤回が決まった後あたりから、森氏はあちこちで下村文科相の批判を言い始め、『次は馳にするべきだ』と安倍首相に働きかけていたようです。今回の人事は安倍さんがその要望を呑んだという形でしょう」(全国紙政治部記者)

 では、なぜ森氏は馳氏を文科相にしたがったのか。それはもちろん、馳氏が今の政界で一番の“忠犬”だからだ。

 そもそもプロレスラーだった馳氏が政界に転身したのは、同じ石川県出身の森氏から直々に要請されたことがきっかけだった。

 新日本プロレス所属時代、馳氏は海外遠征で多くの国に行き「その国の政治はその国の国民が決めるんだ」と痛感、また1995年4月に行われた北朝鮮・平壌でのプロレス大会「平和のための平壌国際体育・文化祝典」に出席した馳氏は、その思いを一層強く持ったという。のちに馳氏は、「フライデー」(講談社)のインタビューでこう明かしている。

「すると帰国直後に、森幹事長(当時)から電話がかかってきた。聞けば『地元・石川から参議院選に出馬しないか』と言う。運命かなと思ったね」

 北朝鮮を見て政界進出を決意、というのもよくわからない話だが、とにかく森会長からの直々の電話がきっかけで、政界入りを果たした馳氏。その後も森会長の庇護のもと、文科大臣政務官や文科副大臣を歴任しながら、森会長に付き従ってきた。

 両者がいかに関係であるかを物語るシーンがある。それは、2006年8月27日に開かれた馳の引退試合でのこと。

 この日、森氏は町村信孝元文科大臣(故人)を伴い引退試合を観戦していたのだが、馳氏の対戦相手であるヒール役のレスラーがマイクパフォーマンスで森会長をこう罵倒し始める。

「おい、そこの森! お腹の中、何か詰まってるね。あ? お金か?」「お前がそんなんやったからな、日本のこの俺が悪ガキになったんじゃ。カス野郎!」

 一方の馳は「そんなお前も立派な社会人になったのは学校の先生のお陰だろう、文部科学省に感謝しろ」とこのレスラーに説教。やがて、試合は場外乱闘に発展する。

 すると、観客席にいた森氏がこれに参戦して、もうひとりのレスラーを足蹴り。さらに馳がこのレスラーを羽交い締めにすると、森会長は小島選手に向かってパイプ椅子を振りかざして殴りかかろうとしたのだ。さすがにこれは周囲に止められたが、引退試合は完全に森=馳コンビによるタッグマッチの様相を呈していた。

「もちろん、これはプロレスの“仕込みパフォーマンス”で、森さんも承諾済みのことだった。実際、試合後の引退セレモニーでも森会長はリングに登壇して花束贈呈してましたしね。もっとも、主催の全日本プロレスには抗議が殺到して、武藤(敬司)社長が謝罪する事態になったようですが」(プロレス記者)

 とんだ茶番だが、ようするに両者には、こういう馴れ合いパフォーマンスを一緒にやるくらいの一体関係があるということらしい。

 しかも、12年7月、森会長が引退を表明すると、馳氏は直接、森会長に面会し、「国政や2区のために」必死で慰留してもいる。首相在任時にはあれだけのスキャンダルや失言を連発し、その後も政界に居座って「老害」といわれていた政治家にここまで尻尾をふるというのは、どういうセンスをしているのか、と疑いたくなるが、馳氏は森氏にかなりの恩があるらしい。

「馳さんは森さんから資金的な援助も相当、受けていますからね。絶対に森さんの言うことには逆らわない。森会長の意のままに動く兵隊、いやロボットといってもいい」(前出・全国紙政治部記者)

 そして、だからこそ、森会長は今回、馳を文科相にプッシュしたのである。

「相次ぐ失態で、森会長が表立って口を出すのは難しくなってきましたからね。そこで、子飼い中の子飼いである馳氏を文科相に就任させることを考えたのでしょう。すでに、五輪担当相にはラグビーを通じて師弟関係にある遠藤利明氏を就任させている。文科相もおさえておけば、東京五輪に対する森会長の影響力は盤石ですからね」(大手紙政治部記者)

 森会長は馳氏の大臣就任を「20年東京大会の成功に向け、ともに手を携えて取り組んでいけることは誠に心強い」とあからさまに喜んだ。

 だが、それはイコール、東京五輪をめぐる不祥事や混乱のリスクがこれからも続くということでもある。

 実際、馳文科相はこれまでも、東京五輪について、森会長の暴走を止めるどころか、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問会議・顧問」や「20年東京オリンピック・パラリンピック推進議員連盟事務局長」として後押しをしてきたのだ。

 たとえば、今年7月、新国立競技場の巨額予算の国民の批判が集まる中、森会長主導でJSCの有識者会議が2520億円の予算でザハ案を強行しようとした時、馳氏は批判するどころか、こんな発言をしている。

「新国立競技場を中核にしてスポーツレガシーを残していかなくてはいけない。神宮外苑一帯を特区構想として一体的に整備し、活用していくことを視野に入れた考え方が必要だと思う。スポーツ文化の発信エリアとして再開発すべきだ」

 これは新国立競技場建設だけでなく、森氏が狙う神宮外苑地区の再開発という巨大利権の露払いを意識した発言ではないのか。いくら親分の命令とはいえ、こんな人物を文科相にすえてしまう安倍首相は、国民をなめているとしか思えない。
(伊勢崎馨)

最終更新:2015.10.13 11:30

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