『とくダネ!』小倉智昭がヘイト発言!韓国人は他人に責任を押しつけるのか、と

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フジテレビ オフィシャルサイト 『とくダネ!』番組ページより


「韓国の人は自分の責任を感じるよりも、まず他人のせいにしたがるの?」

 小倉智昭の口からこんな発言が飛び出したのは、2月12日の『とくダネ!』(フジテレビ系)でのことだった。

 韓国の“ナッツリターン事件”について報じているなかで、“ナッツ姫”こと大韓航空前副社長の趙顕娥被告に反省の色が見られないなどという話になり、MCの小倉智昭が、木曜コメンテーターを務める宋美玄に対して、「韓国の人は自分の責任は認めないで他人の責任にするのか?」と疑問を投げかけたのである。『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)などで知られる産婦人科医の宋が在日韓国人三世ということで、小倉は彼女にこの疑問をぶつけたと思われる。

 宋は困惑した表情で、「いや自分のまわりの人だけで判断していいかわからないですけど」と前置きしたうえで、「そんなことはないと思いますけど……」と答えた。

 小倉は期待した答えが得られなかったからなのか、明らかに不機嫌になり、さらにこんな発言を重ねる。

「だって日本人だったら、このまえの人質事件でも家族は『ご迷惑おかけしてすみません』というふうに謝ったじゃない。そのことは、韓国でもかなり取り上げられたらしいじゃない。『日本人はきちんと謝る。韓国人もそこを見習わないと、いつまでたっても日本に追いつけない』って」

 宋は、眉をひそめ首をかしげながらも、不快そうな表情をなんとか苦笑いで隠し「うーん」とうなる。反論したいのを必死におさえているという印象だった。そして、

「だいたい長くやりすぎですよね、この事件。韓国でならまだわかるけど、日本でこんなに長くやることなんですか。わたしも何回もあたって、毎回なんとコメントしていいのか困る」

 と、そもそも韓国のいち民間企業の不祥事を執拗に取り上げる番組の姿勢にやんわりと異を唱えた。

 これに対し小倉は、
「宋さんで何回もだったら、僕なんかもっとだ!」
 と逆ギレしたのである。

 その間、菊川怜も、もうひとりのコメンテーターである元ハードル走者の為末大も、フジのアナウンサー2人も、誰ひとり宋に助け舟を出すことも、小倉を取りなすこともなく、シーンと黙りこくったままだった。

 そもそも仮に趙被告に反省の色が見られないというのが事実だとして、それは趙被告ひとりの問題であって、「韓国人だから」とか「アジア人だから」とか国籍は関係ないはずだ。にもかかわらず「韓国の人は自分の責任は絶対に認めないで人の責任にするの?」という小倉の発言は、韓国人全員がそうであるかのような差別意識丸出しのヘイト発言そのものだ。この発言だけでもおよそ公共の電波で報道番組のキャスターが口にするとは信じ難いものだが、さらにはこんな差別的な発言を、小倉は悪びれもせず、同じ韓国籍だというだけのコメンテーターにぶつけたのだ。

「韓国人は日本人を見習わないと追いつけない」などと国に優劣をつけるような発言にしても、発言それ自体もひどいものだが、面と向かって明らかに下に見られた国の人間がどんな気持ちになるかなど、小倉は想像することもないのだろう。

「宋さんで何回もだったら、僕なんかもっとだ!」という最後の発言も、完全な逆ギレとしか言いようがない。レギュラーとはいえせいぜい週1のコメンテーターである宋とちがい、メインMCとして絶大な権力を誇示する小倉なら番組構成にもある程度口出しできる立場だろう。自分のほうがホストでありながら、番組構成についてゲストに声を荒げるなんて、理不尽きわまりない。

 しかし自分の質問には絶対に期待通り回答を返さなくてはいけないという小倉の傍若無人さも無神経ぶりも、今に始まったことではない。女子アナ泣かせともいわれるように、現在パートナーをつとめる菊川怜や前任の中野美奈子らにイヤミを言ったり無視したり、コメンテーターや番組スタッフにムチャぶりし期待した反応が得られないとキレたり、そんなことは日常茶飯事だ。

 無神経ではあるが、小倉はとくべつ右派的なスタンスというわけではない。これが、もっと確信犯的な右派論客であれば、ここまで軽卒な差別発言はしないはずだ。小倉はただいつも通り、傍若無人にふるまっただけのこと。おそらくは今も自分が差別発言をしたとは気がついてないだろう。

 この無自覚な差別は小倉だけの問題ではない。

 宋は、極力感情的にならないよう、空気を壊さない程度に、慎重に発言してはいたが、「日本でこんなに長く取り上げる問題なのか」という指摘は、『とくダネ!』のみならず、日本のメディア全体が抱えている問題である。

 韓国の一民間企業の不祥事にすぎないナッツリターン事件を日本のニュースやワイドショーがここまで長期間逐一報じるのは異常だ。後藤さんが殺害された翌々日の火曜日には、人質事件など一切なかったかのように、各局ナッツリターン事件裁判のニュースばかりを報じていたということもあった。人質事件の政府対応についての検証などまったくせず放置したままで、だ。

 自国の問題は見て見ぬふりしておきながら、ナッツリターン事件では韓国の財閥問題を糾弾し、返す刀で財閥に対する市民感情を裁判に持ち込むのはおかしい、などとどっちに転んでも非難する。このナッツリターン事件をはじめ、昨年のセウォル号事件、日曜日の玉突き事故に天井崩落……と韓国でなにか事件が起これば、人の不幸は蜜の味とばかりに嬉々として取り上げ、韓国社会の問題点を執拗にあげつらう。視聴者の嫌韓感情を煽り「それに比べて日本はすばらしい」と安易な優越感を満たしているのは明らかではないか。

 しかも、日本人を見習えと持ち出すのが「イスラム国人質事件で殺害された後藤さんや湯川さんの家族が謝ったこと」って。被害者の自己責任とやらを責める日本人の公共性のなさを象徴するお恥ずかしい事態でしかないのに。イラク人質事件の際、日本社会のあまりに激しい人質糾弾の空気に欧米メディアから疑問の声が上がっていたことを、小倉は知らないのだろうか。

 だが残念なことに、この小倉の発言を問題視するような感想はネットなどでほとんど見られずスルーされている。無自覚な差別感情が今、日本をどんどん侵食している。そんな恐ろしい実態が浮き彫りになった一件だった。
(酒井まど)

最終更新:2017.12.13 09:25

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