『殉愛』騒動が法廷へ! 百田尚樹の「文春」「新潮」への圧力の全貌も明らかに

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圧力上等の百田尚樹センセイ(NHK経営委員会HPより)


 本サイトでも度々報じてきた百田尚樹『殉愛』(幻冬舎)騒動だが、まだまだ尾を引きそうだ。『殉愛』とさくら夫人をめぐって起こされた2つの裁判が、いよいよ今年から本格始動するからだ。

 まず、『殉愛』で名誉を毀損されたとやしきたかじんの長女が版元の幻冬舎に対し出版差し止めを求めて提訴した裁判は、その第1回口頭弁論が1月21日、東京地裁で行われた。この裁判、百田がツイッター上で「『殉愛』には、敢えて書かなかったことが山のようにある。(略)もう、おぞましくておぞましくて、とても書けなかった。本が汚れると思った。しかし裁判となると、話は別。全部、出すよ!」と恫喝とも取れる宣言をして注目されていたが、この日、幻冬舎側は百田も弁護士も出席せず、認否や争点さえ明らかにされなかった。

 激怒した長女側の代理人は「百田も脅すだけ脅して来ない」「ツイッター上で長女を脅し、裁判を受ける権利を阻害した。すでに人権救済を申し立てているが、これから弁護士会に告発することも考えている」と怒りを露わにしたほどだ。

 一方、さくら夫人側が、『殉愛』批判をネットラジオで展開したたかじんの元弟子で歌手の打越もとひさを名誉毀損で提訴した裁判も、2月18日から始まる予定だ。さくら夫人側は15人もの弁護士からなる訴訟団を組んだといわれるが、一方の打越氏のもとにも証言したいという協力者やカンパが続々と集まっており、全面対決の様相を見せているという。

 そんな『殉愛』騒動だが、ここにきて、出版社系週刊誌が演じたドタバタの舞台裏も明るみに出てきている。

 周知のように、この問題ではほとんどの週刊誌が「百田尚樹」という作家タブーに屈して、批判報道を放棄。逆に百田の求めに応じて全面擁護記事を掲載する醜態を演じた。とくにひどかったのが「週刊文春」(文藝春秋)と「週刊新潮」(新潮社)で、業界内からも「いくら作家タブーとはいっても、普段のコワモテぶりからは信じられない」という驚きの声が上がったほどだった。

 実は、この「文春」「新潮」に百田尚樹からどんな圧力が加わり、記事がどう潰され、歪められたかを、月刊誌「宝島」(宝島社)が2号連続で暴露しているのだ。

 まず、「週刊文春」だが、同誌はもともと、たかじんの死の直後は「やしきたかじん『参列者5人』葬儀の謎」(14年1月23日号)「親族から噴出 やしきたかじん32歳未亡人への怒り 遺骨を『マカロンみたい』」(14年2月6日号)と、さくら夫人の言動や彼女と遺族の確執を他誌に先駆けて掲載していた。

 そして、昨年夏の合併号には第三弾として、たかじんの長女の手記を掲載する予定だった。すでに原稿も完成し、さくら夫人がたかじんと同居していたマンションを訪ね、取材を申し込んでいたという。ところが、校了直前、事態が急転する。「宝島」にはこんな関係者のコメントが掲載されている。

「(さくら夫人に取材を申し込んだ)その直後に、編集部からストップがかかり、取材班は大阪から撤退。記事掲載も見送られたのです。表向きの理由は『さくらと長女は現在、遺産をめぐって係争中で、法務(部門)が係争中の案件を記事にするのはまずい、と難色を示した』というものでした(中略)編集部内でそんな“理由”を信じる者は誰一人、いませんでした。
 これは後になって社内で分かったことですが、取材班がさくらに取材を申し込んだ直後、百田さんから新谷(学『週刊文春』)編集長の携帯に直接、電話があったそうです。おそらく、さくらから依頼を受けてのことでしょう」

 百田はこの時、すでに「文春」で小説を連載することが決まっており、しかも新谷編集長とも個人的にも非常に親しい間柄だった。そして、この5ヶ月ほど前にさくら夫人と出会い、『殉愛』の取材で頻繁に会っている時期だった。

 つまり、それまでさくら夫人叩きの急先鋒だった「文春」は、百田がさくら夫人のバックにつき、1本の電話を入れられただけで、手のひらを返してしまったのだ。しかもその後、『殉愛』で百田から「(文春の記事は)捏造」「真っ赤な嘘」とまでいわれても、一切反論をせず、逆に百田の手記を掲載、15年1月1・8日特大号から連載小説「幻庵」を予定通りスタートさせた。

 一方、13年9月からやはり小説「フォルトゥナの瞳」を連載して単行本化した「週刊新潮」も、なんとも不可解な動きをしている。

「新潮」も当初は「文春」と同様、ネット上で『殉愛』の嘘や捏造、さくら夫人の結婚歴が明らかになっても、一切沈黙を守っていた。ところが、14年12月18日号で突然、「故やしきたかじん『遺族と関係者』泥沼の真相」という記事を掲載したのだ。
 
 この記事は一応、たかじんの娘にも取材するなど、検証記事の体裁をとっているが、実際は百田とさくら夫人の言い分に丸乗りしたもの。ネットで投げかけられてきた疑問にはほとんど答えておらず、何の反論にもなっていないものだった。

 それもそのはず。「宝島」によると、この記事も百田本人から持ち込まれたものだった。ただ、百田の提案は最初、「百田単独反論インタビュー企画」だったらしい。

 しかし、この状況で百田の一方的な主張を掲載すれば大きな批判が予想される。そこで苦肉の策として「検証記事」の体裁でさくら夫人を登場させるという線で百田を説得したところ、百田は「さくら夫人だけの単独告白記事」を要求。その線で話がまとまったのだという。

 さくら夫人へのインタビューは5時間にも及ぶものだったが、「宝島」によれば、その内容は週刊誌としては“使えない”ものだったらしい。同誌には、こんな関係者のコメントが掲載されている。

「なにしろ、さくら夫人の証言は二転三転したらしいですからね。例えばイタリア時代のブログについても、『家族を安心させるためだった』と言っていたのが、なぜか『途中でやめたが、友人達が勝手に更新した』『妹が勝手に更新した』と変遷……辻褄が合わないことの連続だったようです」(週刊誌関係者)
「結婚歴について聞くと『ストーカーが』『レイプされそうになって』など、話自体がよく分からないものだった」(前同)

 しかも、インタビューでは語らなかった事実がネットで連日暴露され、「新潮」はいったん原稿をボツにすることも検討したという。しかし、百田はこれに強硬に抵抗。新潮社の上層部にかけあうなどしたため、「新潮」としては長女のコメントを掲載し、検証記事の体裁を取らざるを得なかったというのだ。

 こうして出来上がった原稿だが、しかし、「新潮」編集部は校了直前まで振り回され続けることになる。「さくら夫人はなぜか校了直前、記事内容の大幅な差し換えを要求」してきたからだ。問題となったのは、たかじんの2つの金庫の中にあった現金に関する部分だった。さくら夫人は金庫の1つは自分用のもので、その中の1億8000万円は自分のものだと主張しているのだが、これについて、インタビューで話した内容とはまったく別の内容にするよう、申し入れてきたのだという。

 実際、「週刊新潮」に掲載されたさくら夫人の主張は支離滅裂、何をいっているのかさっぱり分からない内容だった。

「私と主人は業務委託契約書をかわしていましたが、それはただの書類に過ぎず、私は1円ももらっていません。一方、2人の生活費として主人はいくばくかの現金を私に渡していて、私がやりくりする中で余った分は、100万円ずつまとめてリボンにくるみ、主人が私の金庫に入れておいてくれたのです」

「宝島」では、この1億8000万円はさくら夫人が是が非でも欲しいキモ的な現金だと解説されている。インタビューでは自分の主張と矛盾した証言をしてしまったため、慌てて訂正を要求してきたのではないかと推察。「新潮」としても、その言い分がまったく整合性がないことをわかっていながら、いいなりになるしかなかった、と見ている。

 それにしても、こうして2つの週刊誌が受けた百田からの圧力と、その後のドタバタぶりを検証してみると、浮かび上がってくるのは、とにかく売れっ子作家にひたすら平身低頭でいいなりになっている情けない姿だ。

 たった1本の電話で当事者の手記をボツにしてしまう「週刊文春」。そして、記事にしろという要求に唯々諾々と応じて、矛盾だらけの内容を平気で掲載してしまう「週刊新潮」──。

 両誌の誌面を見ていると、最近になっても相変わらず朝日新聞に対して「ジャーナリズム失格」と執拗に批判を繰り返しているが、その言葉をそっくりそのままお返ししよう。自分たちの商売、利益のためには事実などそっちのけ。そんな週刊誌にジャーナリズム云々を語る資格はない、と。
(田部祥太)

最終更新:2015.01.27 09:30

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実録!平成日本タブー大全〈1〉 (宝島社文庫)

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