イスラム国人質事件で新聞各社が“安倍批判”自粛!? 露骨な擁護記事も登場

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
abe_01_150126.jpg
首相官邸ホームページより


 湯川遥菜氏が殺害されたと見られる動画が公開され、さらに難しい局面に入ったと思われるイスラム国事件。政府がきちんと救出にあたるよう国民もプレッシャーをかけ続ける必要があるが、しかし、ここで気になるのは、日本の大手メディアの姿勢だ。

 本サイトが再三指摘してきたように、こうした事態を招いた責任の一端は安倍晋三首相にある。すでに湯川氏は昨年8月に、後藤健二氏についても10月末に拘束されたことを政府は確認していた。後藤氏については外務省が昨年の段階で秘密交渉を働きかけたものの、失敗に終わり、そのまま放置してしまったことも本サイトの取材で判明している。これは本日26日発売の「週刊ポスト」(小学館)2月6日号も指摘しているように、明らかな事実だ。

 安倍首相はそんななか、中東歴訪で2億ドルの支援をぶちあげ、しかもわざわざ「支援はISILの脅威を食い止めるため」「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」と、軍事援助であるかのような発言をしたのである。

 政府や外務省がこの「2億ドル」を「人道支援やインフラ整備などの非軍事分野での支援」などと“言い換えた”のは、最初の予告動画公開の後。「2億ドル=人道支援」ということ自体は誤りではないが、だとしたら、安倍首相のカイロでの演説は明らかなスタンドプレーであり、致命的な失言といっていいだろう。
 
 だが、新聞もテレビもそのことをほとんど報道しない。それどころか、政府の言い分を垂れ流し、安倍首相を擁護し続けているのだ。たとえば、人質事件が発覚した翌日、新聞各紙の社説にはまるで判で押したように同じ文言が並んだ。

〈しかし、日本からの医療や食料の提供は、住んでいた街や国を追われる人たちが激増するなかで、不可欠の人道的な援助である。「イスラム国」に向けた攻撃ではなく、脅迫者たちの批判は筋違いだ。安倍首相は記者会見で「許し難いテロ行為に強い憤りを覚える」と述べ、中東地域の平和や安定を取り戻すための非軍事の支援を続けていく意思を強調した。毅然(きぜん)として向き合っていくべきだろう。〉(朝日新聞 21日付朝刊「社説」)

〈身勝手で筋違いな要求だ。安倍首相はエジプトでイスラム国対策の2億ドルの支援を表明したが、それは避難民向けの食料や医療など人道援助が中心だ。あくまで非軍事活動に徹している。菅官房長官が「テロに屈することなく、国際社会とテロとの戦いに貢献する我が国の立場に変わりない」と語ったのは当然だ。〉(読売新聞 21日付朝刊「社説」)

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

太平洋戦争と新聞 (講談社学術文庫)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

イスラム国人質事件で新聞各社が“安倍批判”自粛!? 露骨な擁護記事も登場のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。イスラム国人質事件マスコミ安倍晋三田部祥太の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄