セブン-イレブン追及番外編

人気のコンビニおでんはセブン-イレブン加盟店を苦しめる元凶だった!

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『セブン‐イレブンの正体』(金曜日)

 セブン-イレブン追及第5弾はマスコミが不祥事を報道できない実態を検証するつもりだったが、最近、おでんキャンペーンがあまりにうるさいので、その前に番外編として、セブンイレブン(以下、セブン)のおでん問題を書いてみたい。

 たしかに、肌寒くなったこの季節、各コンビニでのレジ横には必ずあたたかそうな湯気をたちのぼらせているおでん鍋がおいてあって、ついつい帰り道にコンビニおでんを買いたくなる人も多いだろう。

 しかし、このおでんこそ、セブンのフランチャイズ加盟店の不人気の1、2位を争う商品なのだ。

『セブン‐イレブンの正体』(古川琢也、金曜日取材班/金曜日)には、「店の利益にならない」「おでんでは儲かっていない」という加盟店オーナーからのサンザンな声ばかりが掲載されている。

「おでんの平均単価は約一〇〇円で、粗利は平均五〇%です。一個販売して五〇円の粗利ですが、ここからチャージ(五七%と設定)を差し引くと、二一・五円の加盟店利益になります(注・ロスチャージは含まず)。五〇個販売すると、一〇七五円の利益になりますが、仕込み、販売・管理にかかる人件費だけで赤字になります。売れ残って廃棄が出ると、利益はもっと小さくなる。そのうえ、からしや容器、初回仕込みつゆ、注ぎ足しのつゆなどの経費を計算すると、とても利益にはつながりません」(同書より)

 一日あたり販売が二〇〇個を超えたあたりから、かろうじて黒字化すると金曜日編集部は試算している。

 別のオーナーは「おでんには、相当の時間を費やしますね」「最初の仕込みだけでも、鍋洗いやつゆの準備、具材の油抜き・水洗いなどでトータル一時間半はかかります」という。

「おでん種は、種類別に三~六個ずつがパッケージされた状態で、各店舗に納品されている。ちくわや巾着、つくねなどは熱湯での油抜きが必要だし、玉子や大根、こんにゃくなどは一つずつ水洗いしなくてはいけない。そのほかスープ交換や注ぎ足しなどが必要で、販売期間が始まると、店員総出で忙しくなる」(同書より)

 さらに、おでんの鮮度管理と衛生管理が悩みのタネだ。まずは鮮度管理。セブンの「おでん管理マニュアル」では、おでんの種ごとに鍋に投入してからの「販売目安時間」が定められている。はんぺん=三〇分~三時間、玉子=三〇分~五時間といった具合で、最短で三時間、最長で八時間(大根のみ)を過ぎたら、鍋から取り出して廃棄する規定だ。しかし、現実には廃棄のタイミングは店舗ごとに、見た目や色など独自の基準で判断している。

「本部が指導している販売目安時間を守っていたのでは廃棄が多すぎて利益がでません」と別のオーナー(同書より)。「本部は商品廃棄リスクを負わずに、加盟店に過剰発注させ、最大を利益を得る」──というセブンの儲けの会計のカラクリ(ロスチャージ会計)がここにも大きく影響しているのだ。

 そして、衛生管理。店舗は客や業者の頻繁な出入りがあり、夜間でも照明が煌々と灯っている。店内に入りこんだ虫がおでん鍋に入り込むことが十分に予想される。

「夏から秋の季節の変わり目に、細かい虫が多くおでん鍋に入ることがあり、お客様から『保健所に言うよ』というお叱りの言葉をいただいた」 「気温が上がると鍋に網をかぶせてありますが、冬でも虫の混入を防ぐことができません。毎日『虫は入っていないかな?』とハラハラしています」(同書より)

 衛生管理は店の信用問題に直結する。本部も虫が混入した場合は、つゆを交換するように指導しているが、その交換の負担を負うのはほとんどが加盟店側だ。おでんをやればやるほど赤字リスクが高まるのだ。

「本部は『おでんの日』を勝手に決めて販売個数を各店に強制するので、店舗指導をする本部社員が自分で買ったり、アルバイト従業員にノルマをかけたりしています」(同書より)

 こうした加盟店の声は本部には届かないようで、セブンの親会社であるセブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)を務める鈴木敏文氏の著書『変わる力』(朝日新書)では、おでんへのこだわりを自画自賛している。

「セブン‐イレブンだからできる新たな『おいしさ』の提供はより付加価値の高い商品を作り続けることだと思っています。これまでは『家庭の味』に近づこうと研究を重ねてきました。しかし、これからは『家庭ではできないこと』『ふだんの手料理では出せない手間ひまかけた味』を提案していく」「そのひとつがだしです。共働き世帯が増えている中、家事の時間も年々減ってきています。昔のようにかつお節を削ったり、昆布を水に浸したりしてだしをとる家庭は少なくなっています。セブン‐イレブンは以前から、おでんやめんつゆ、煮物など、和食のすべての味の決め手になるだしの味を徹底的に追求してきました」

 おでんの「おいしさ」を追求されても、加盟店オーナーは借金まみれで、アルバイトはおでんのノルマにアタマがいっぱいで、セブンの店頭では味どころではないのだ。従業員満足度を顧みない鈴木敏文会長の冷徹さは、セブンのおでん鍋でも電子レンジでも「あたためる」ことはできないかもしれない!?
(小石川シンイチ)

【追及!セブン‐イレブン商法シリーズはこちらから→(リンク)】

最終更新:2015.01.19 04:05

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