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活動休止のBerryz工房、後輩・まーどぅーへのアドバイスがマイペースすぎてさすが
『まーちゃんくどぅーのハロプロ先輩探訪団』(竹書房)
モーニング娘。'14だけにとどまらず、Berryz工房、℃-ute、スマイレージがの各グループがそれぞれ単独での日本武道館公演を成功させるなど、このところ勢いを増しているハロー!プロジェクト。かつては大人の男性客ばかりだったコンサート会場も、3割から5割ほどが女性客になっているとも言われ、その支持層も拡大中だ。
そんなハロプロだが、2014年から2015年にかけて大変革を遂げることとなる。モーニング娘。12期メンバーの追加、スマイレージの3期メンバー追加&改名、カントリー娘改めカントリーガールズの再結成、と新しい血が注がれる一方で、モーニング娘。リーダー・道重さゆみが11月26日に卒業し、来年春にはBerryz工房が無期限活動休止に入るのだ。
そんな中、ちょっと興味深い本が出版された。『まーちゃんくどぅーのハロプロ先輩探訪団』(竹書房)。アイドル誌「Top Yell」に掲載されていた同名の連載企画の単行本で、その内容はタイトル通り、モーニング娘。の10期メンバーの佐藤優樹(まーちゃん)と工藤遥(くどぅー)の最年少コンビ(当時)が、ハロプロの先輩に直撃インタビューをするというものだ。
登場するのは、Berryz工房の7人、℃-uteの5人、真野恵里菜、スマイレージからは和田彩花と福田花音、モーニング娘。7代目リーダー・新垣里沙、8代目リーダー・道重さゆみ、さらにモーニング娘。の振り付けを担当するYOSHIKOの総勢18名。
だが、このインタビュー集、他のアイドルインタビューとはちょっとちがうテイストになっている。聞き手が後輩アイドルということで、それぞれがアイドルとしての心得を、まーちゃん&くどぅーの「まーどぅー」コンビに伝授する、かなり熱いものになっているのだ。
たとえば、モーニング娘。'14の現リーダーであり、まーどぅーの直属の上司にあたる道重さゆみはこんな貴重な言葉を残している。
「モーニング娘。は常に進化しているし、加入と卒業を繰り返すグループだからね。私も今まで何人も見送ってきたの。先輩や同期を何人も。で、そのたびに『大丈夫?』っていう声はたしかにあった。(中略)でもね、モーニング娘。っていうのは……『そのときのモーニング娘。』になることができるんだよ。常に『今のモーニング娘。』になっていくものなの。今のモーニング娘。はこの10人だけど、私が卒業してからは、また本当の意味での『新生・モーニング娘。』を作り上げていくものなの。それを作り上げていくのは……2人だから。みんななんだから。でも、大丈夫。みんなだったらできるって思ったからこそ、私は卒業することを決めたんだ。私は心配していないよ。みんななら、大丈夫」(道重さゆみ)
この言葉を聞いて思わず涙を流すまーどぅー。他にも、いろんなハロプロメンバー達のアイドルにかける心意気やアイドル哲学がひしひしと伝わってくる。
ところが、そんな中で、あいかわらずなのが、先に紹介した無期限活動休止に入るBerryz工房の面々だ。Berryz工房といえば、結成時は全員小学生、今年、12年目に入るベテランだが、「アイドルらしからぬマイペースぶり」が有名。メンバーたちが十代半ばの多感な時期を迎えたころから、メンバーそれぞれが思い思いのスタイルで自己アピールをするようになり、見た目も中身もバラバラ。特に見た目については、身長175cm(あくまで自称。もっともっと高いとの説もあり)のモデル体型の熊井友理奈がいたと思えば、自ら「足がコンパクト」(つまり短足!)と語る嗣永桃子がいたり、さらには須藤茉麻は少々ぽっちゃり気味だったりと、まったくもって統一感がない。
さらに、頑張っている姿をアピールするアイドルが多いなか、「努力していることろは見せない」というスタンスを貫くのもBerryz工房で、時には「やる気がない」と見られてしまうことも少なくないのだ。
とはいえ、ファンにいわせれば、マイペースなところこそが大きな魅力で、メンバー達も「こんなに長くやってるのに、目標としてBerryz工房をあげてくれる後輩がいない」と自虐ネタをとばすほどになっているのだが、このインタビューでも、そのBerryz工房らしさが全開されているのだ。
たとえば、紫色や赤に髪を染め、黒髪好きのヲタに悲鳴を上げさせてきた菅谷梨沙子は、こんな話をしている。
「私、他人と違うことがしたいんです。みんなが一緒じゃ、つまらないと思う。アイドルでいろんな髪型とか髪色をする人ってあまりいないじゃないですか。だけど、そういうのが私は好き。だから、こうしているんです。誰と一緒にいても、私はこの状態です!」(菅谷梨沙子)
“アイドルだからこうあるべきだ”という定石を完全に無視して、自分がやりたいことをやっているだけ、と宣言してしまっているのだ。
一方で、デビューから黒髪を貫いている “ももち”こと嗣永桃子だが、ブリブリのアイドル路線を突き進む覚悟を語ってくれるかと思いきや、
「染めないのは、ファンの方がももちの茶髪を求めてないっていうのが大きいんだけど……。それに、やっぱり面倒くさいから。美容室にかかるお金を、ももちは大好きなショートケーキを食べるお金に回したいんだ!」(嗣永桃子)
ここでもいつものキャラ設定を崩さずネタで返してしまう。本人のキャラ的にはアリかもしれないが、これでは後輩も参考にしようがない。
さらに、体型についても、まさかの発言が次々出てくる。体型に関する悩みを打ち明けるまーどぅーの2人に、Berryz工房のオシャレ番長・夏焼雅はこんなアドバイスを送る。
「(前略)あのね、ダイエットなんてまだしなくていいから。『よし、ごはん食べて頑張ろう!』とか思うじゃん。ごはんってポジティブに食べたほうがいいらしいよ。『これ食べたら太るな』とか思いながら食べていると、本当に太るらしくて。(中略)2人はまだ成長期なんだから、無理してダイエットなんてする必要ないよ」(夏焼雅)
まるで自分に言い聞かせているような「ポジティブに食べれば太らない」発言。他のメンバーも同じような考えをもっているらしく、徳永千奈美は体型を気にすることよりも大事なことがあると話す。
「私が思うのは、ファンの人の前でベストを出すことが一番大事っていうことなのね。やっぱりファンの人あっての活動だから。体型がどうとかいうよりも、もっと大事なことがあるはずだし……。たとえば痩せていても、不健康な見た目でステージもダメダメだったら意味ないじゃん。やっぱりライブは食べなくちゃやっていけないしさ。そのへんのバランス加減は、だんだんとわかってくると思うんだよね」(徳永千奈美)
スタイルのいい徳永はともかく、他のメンバーを見ると、バランス加減がほんとうにわかってくるのかという疑問もわいてくるのだが……。
とにもかくにも、マイペースなBerryz工房らしい発言が次々に飛び出してくるこのインタビュー。キャラクターが確立しているBerryz工房ならいいが、後輩へのアドバイスとしては、あまり役に立たないというか、中には悪影響を与えそうなものさえあるのも事実だ。
しかし、こうして読んでいると、ファンがいうように、この感じこそがBerryz工房の最大の魅力なのだ。空前のアイドルブームの中、多くのアイドルがガツガツして上をめざし、小賢しい自己ブランディングのことばかり考えている中で、唯一Berryz工房のメンバーは、自分の生理を優先させ、焦らず慌てず、ほんとうにやりたいことだけをやろうとしてきた。それでいて、12年もずっと第一線で活躍してきたのである。
そういう意味では、Berryz工房は芸能界の中でもかなり貴重な存在であり、活動休止はかえすがえすも残念でならない。誰か、彼女たちの“アイドル哲学”を引き継いでくれる存在はいないのだろうか……。
(田中ヒロナ)
最終更新:2015.01.19 04:17
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