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改憲の狙いはやはりこれか! 自民党議員の護憲集会攻撃と高市首相の改憲論文からダダ漏れする国民の“私権制限”への執着

首相官邸HPより
憲法改正に前のめりな「高市一強」状態で、憲法施行から79年を迎えた憲法記念日。先の総選挙で衆院では改憲の発議に必要な3分の2の議席を自民単独で確保しており、高市早苗首相も自民党大会において「時は来た。改正発議にメドを立てて来年の党大会を迎えたい」と宣言するなど、日本の憲法はかつてない「改悪」の危機に直面している。
そんななか、「高市政権には、絶対に憲法に手出しをさせてはいけない」とわかる問題が起こった。ほかでもない、自民党が護憲派の憲法集会に圧力をかけた件、そして、高市首相自身が過去に改憲をめぐって恐ろしい主張をしていたことが発覚した件だ。
まず、護憲派の憲法集会に圧力をかけたのは、自民党の大空幸星・衆院議員。大空議員といえば、安倍昭恵氏と関係が深く、初当選を果たした2024年の衆院選でも昭恵氏が選挙応援に駆けつけ、「(主人は)きっと今日もどこかで『大空くん、頑張れ』と言って応援してくれているはずです!」などとエールを送ったことでも知られている人物だが、そんな大空議員がやり玉に挙げたのは、5月3日に東京臨海広域防災公園(有明防災公園)で開催される「つながろう 憲法いかして平和な世界を! 2026憲法大集会」。「平和といのちと人権を!5・3憲法集会実行委員会」が主催するもので、例年、数万人が参加している。
この護憲派による大規模な憲法集会に対し、大空議員は4月28日、一般アカウントによる〈5月3日(日)にまたあるんですね。恒例の迷惑騒音デモ行進パレード〉という投稿に応答するかたちで、〈本日、私から改めて、公園の一部を所管する国土交通省に対し、問題意識を共有するとともに、防災公園において数万人規模の大規模集会を許可している経緯について確認しました〉と投稿し、こうつづけた。
〈大規模災害が発生し、交通機関等が止まった場合、公園利用者は有明テニスの森や東京ビッグサイトなど、近隣の一時滞在施設へ移動することになります。しかし、昨年の主催者発表では参加者が3万8000人に上っており、災害時にこれだけの人数を迅速かつ安全に移動させることは、極めて困難と考えられます。〉
さらに、〈念のため申し上げると、私が問題としているのは、集会やデモの内容ではありません。我が国において、表現の自由や集会の自由は当然尊重されるべきものです〉とエクスキューズしながら、こう述べたのだ。
〈迅速な災害対応を確保する観点から、基幹的広域防災拠点において数万人規模の大規模集会を許可することについては、極めて慎重であるべきだと考えています。〉
〈今回の集会についても、改めて、
① 近隣住民への影響を最小限に抑えること
② 集会中に災害が発生した場合の対応を徹底すること
などについて、関係機関に対応を要請しています。〉
有明防災公園では憲法集会以外にも大人数が集まるイベントが開催されているにもかかわらず、与党の国会議員が護憲派の憲法集会のみを取り上げて、国交省や関係機関に働きかけをおこなう──。これは護憲派集会に対する嫌がらせ・弾圧行為としか考えられないものだ。
大空議員の主張は緊急事態条項そのもの!災害を理由にいちゃもん弾圧し個人の権利を制限
実際、大空議員の投稿に対しては、ネット上で「憲法集会だけを問題視するのはおかしい」「護憲派の集会を政治的に狙い撃ちしている」といった批判が殺到。さらに、立憲民主党の辻元清美・参院議員が国交省などへ問い合わせたところ、“主催者側は災害発生時の基準に沿ってステージなどの設置・撤収計画を立て、都から使用許可を得ている”ことなどが確認されたという。
ようするに、大空議員は政治目的のために「大規模災害発生時」を口実にして、恣意的に標的を選び、憲法に保障された「集会の自由」に制約をかけようとしたわけだ。
しかし、これは大空議員ひとりの暴走という話ではない。むしろ、これこそが、高市自民党がいまおこなおうとしている「改憲」の本質をあらわにしたものといえる。
当初は憲法9条の改正に執念を燃やしているといわれていた高市首相だが、ここにきて、自民党は「緊急事態条項の創設」を足がかりにする方向性を強く打ち出している。
周知のように、緊急事態条項は、災害やテロなどが起きた際、選挙をおこなわずに議員の任期を延長し、政府の権限で国会での議論を経ずに法律と同じ効力をもつ緊急政令を制定できるよう定めるものだ。
自民党や改憲勢力は「大災害での混乱を防ぎ、国民の生命、身体及び財産を守るために必要」などと説明しているが、法律の専門家が一貫して指摘している通り、現行憲法54条2項には衆院解散中の緊急時に参院が国会の機能を維持する「参院の緊急集会」の規定があるほか、公職選挙法には「繰り延べ投票」という制度があるため、議員の任期延長をせずとも国会の機能は維持できる。また、大規模災害時の混乱や対策なども、災害対策基本法や新型コロナ対応時のような特別措置法の制定で十分対応が可能だ。
にもかかわらず、高市自民党が「緊急事態条項」を持ち出してきているのは、「大規模災害」を突破口にして、政府が国民の私権を任意に制限できる体制をつくりたいからにほかならない。
実際、自民党が主張する緊急事態条項は、2012年に自民党が発表した憲法改正草案で新たに盛り込まれた規定が始まりになっているが、この改憲草案ではこんな条文案が示されていた。
《我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。》
《緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。》
そもそも2012年の自民党の憲法改正草案は、近代民主主義社会の基盤である天賦人権説までをも否定するもので懸念の声が上がっていたが、この緊急事態条項も、災害のみならず、首相が「社会秩序の混乱」だとして、緊急事態を宣言してしまえば、国会の議論もなしにいくらでも国民の行動を制約できるというとてつもなく危険な内容になっている。
その後、自民党が2018年に打ち出した改憲4項目では、大規模災害だけをクローズアップし、私権の制限にはふれていないが、根本の狙いは変わっていない。
今回の大空議員の護憲集会への圧力をみると、一旦、改憲されてしまえば、「大規模災害」を拡大解釈するかたちで、自分たちに不都合な国民の動きを「社会秩序の混乱を防ぐ」として、制限してくる可能性は十分ある。
しかも、恐ろしいのは、改憲によって、国家のために私権を制限し、国民の自由を制約するという狙いをもっとも強くもっているのが、ほかでもない高市首相ということだろう。
高市首相がかつて書いていた「憲法改正のススメ」論文の恐ろしい中身!「私権の一部制限に協力」
高市首相のこの危険な狙いがあらためて明らかになったのが、昨日2日放送の『報道特集』(TBS)が発掘した、過去の高市首相の論文 だ。
自衛隊OBや予備自衛官からなる団体である公益社団法人隊友会が発行する「ディフェンス」なる雑誌に2004年、落選中だった高市氏が「憲法改正のススメ」などとする論文を寄稿。そこで高市氏は、憲法改正について〈独立した主権国家の国民としてのプライドにかけて『日本の心と言葉を持った憲法』へと書き直すべきだと思っている〉としたうえで、憲法9条に該当する部分について、このように書き記していた。
〈日本国は自衛の為の戦力(国防軍)を持てる〉
〈日本国民は、国防の義務を負う。有事の際(中略)私権の一部制限に協力する〉
これは明確に、徴兵制の復活や私権の制限を主張するものだが、くわえて高市氏はこうも綴っていた。
〈大規模テロや自然災害など「非常事態」に対応する法律の根拠条文を新設し、内閣総理大臣への権力集中」や「国民の自由や権利の制限」を書くべきだろう〉
この論文について、番組VTR内で木村草太・東京都立大学教授は「高市さんの文章の中で、自分の憲法では国民の権利をもっと制限しやすくするのだということが書かれていますので、国民の権利を政府が制限しやすいのが理想な国家だとおっしゃっている」と指摘していたが、高市首相は22年も前から、緊急事態条項の創設による「内閣総理大臣への権力集中」と「国民の自由や権利の制限」を望んできたというわけだ。
しかも、高市首相の狙いはその後もまったく変わってはいない。
2021年の自民党総裁戦のネット討論会では、国民の自由・権利と公共の福祉の関係を規定した憲法12条について、こう語っている。
「公共の福祉という言葉が中途半端でわからん。『公益および公共の秩序』として、国民の命や国家の主権に関わるような事態に一定の制限ができる形をはっきりさせたい」
また同じく2021年に出した著書『美しく、強く、成長する国へ』(ワック)でも、「立法作業で幾度も現憲法の制約による壁に阻まれた」「圧倒的に『自由』と『権利』が優先されてしまう」と現行憲法を批判し、私権の制限への欲望を見せていた。
高市首相といえば、1994年に自民党東京都支部連合の事務局広報部長(当時)がヒトラーの選挙戦略を学ぼうという『HITLER ヒトラー選挙戦略』(小粥義雄/永田書房)なるナチス礼賛本を出版した際、「著者の指摘通り勝利への道は『強い意志』だ。国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」という推薦文を寄せた過去がある。
そして、自民党改憲草案にある緊急事態条項の内容は、ヒトラーを独裁の道に走らせたワイマール憲法の「国家緊急権」にそっくりだと指摘されてきた。ヒトラーは「大統領は公共の安全と秩序回復のため必要な措置を取ることができる」という条文を悪用して、集会やデモの開催を禁止し、出版物を取り締まり、共産主義者を逮捕し、野党の自由を奪い、あらゆる基本的人権を停止させた。
恐ろしい歴史がいま繰り返されようとしている事実。その重大さと危機をあらためて認識し、改憲に向けてひた走る高市政権および改憲野党の暴走を止めなければならない。
(編集部)
最終更新:2026.05.03 07:46
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