統一教会めぐる新事実が自民圧勝でなかったことに? 萩生田幹事長代行が重大な役割、教団の名称変更でも元閣僚が口利き

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自民党HPより


 自民党が単独で3分の2を超える316議席を獲得、圧勝に終わった衆院選。メディアでは「高市旋風」「高市1強」なる言葉が踊り、テレビをつけると、選挙期間中に高市早苗首相が追及から逃げ回っていた問題はすっかり不問に付されている有り様だ。

 しかし、選挙に勝ったからといって、問題や疑惑を水に流していいことにはならない。むしろ、圧倒的な数の力を得たいまこそ、さらに徹底した追及が必要であることは論を俟たない。

 とくに、高市首相が説明しなければならないのが、統一教会の問題だ。この選挙期間中、高市氏と統一教会の関係にかんして新事実が数々明らかになっている。

 まず、1月29日発売の「週刊文春」が高市事務所の“裏帳簿”を入手し調査したところ、統一教会の友好団体「世界平和連合奈良県連合会」とその関係者が高市氏の政治資金パーティ券計10万円分を購入していたことがわかったと報じ、2月5日発売号では高市事務所が「世界平和連合」の関係者に挨拶状を送付していたと報道。また、2月8日号の「しんぶん赤旗 日曜版」は、「世界平和連合」の行事に対し高市事務所がメッセージを送っていたのではないかという疑惑を報じ、さらには「世界平和連合奈良県連合会」の幹部が代表を務める「早世会」なる団体が、〈教団関係者らによる高市氏の支援団体であった疑い〉があると指摘していた。

高市氏はこれまで、統一教会との関係について〈金銭のやり取り無し〉〈祝電も当事務所が手配した記録は無し〉と説明してきた。これらの報道は、その説明を完全に覆すものだったのだ。

 ところが、高市首相は選挙期間中、報道に対する説明を一切おこなわず、唯一の党首討論だったNHK『日曜討論』もドタキャン。自民圧勝が決まったあとの選挙特番でようやく統一教会との関係を問いただされたが、そこでも「これまで党に対し、関係団体と知らずに受けたインタビューは報告した。それ以外はない」と述べただけ。ようするに、まったく説明責任を果たしていない状態だ。

 しかも、統一教会との関係について説明しなければならないのは、高市首相自身の問題だけではない。それは、自民圧勝後の9日におこなわれた高市首相の記者会見でも司会者として登場し、最近では「3分の2があれば改憲の発議もできる」「まさに天の時」などと憲法改正に向けた発言が目立つ“陰の幹事長”こと萩生田光一・自民党幹事長代行の問題だ。

 萩生田氏をめぐっては、この選挙期間中に、統一教会と自民党の組織ぐるみ癒着のキーマンであることを物語る新事実が浮上している。

TM報告書に、安倍首相と統一教会幹部の会談は「萩生田氏からの要請」との複数の記述が

 萩生田氏といえば昨年末、韓国の捜査当局が押収した統一教会の内部文書「TM(トゥルーマザー)特別報告書」において、2019年の参院選前にあたる7月2日、安倍晋三首相とともに統一教会の最高幹部らと自民党本部で会談をおこない、エルメスのネクタイを贈られていたことなどの記述があると報じられていた。

 だが、萩生田氏の事務所は「面会の調整・仲介・関与を継続的に行った事実はない」と事実を否定し、今年1月18日のYouTube番組「ReHacQ」でも萩生田氏本人が「(教団関係者が)お客様として党本部に来た時に陪席を求められたり、部屋に案内したりしたところで顔を合わせたことはあるかもしれないが、私が直接この団体と何かやっていることは全くない」と述べていた。

 しかし、ここにきて、萩生田氏の説明を根底からくつがえす事実が詳細に報じられた。

 萩生田氏の問題を報じたのは、探査報道に特化したジャーナリズム組織「Tansa」。今回、「Tansa」は韓国の調査報道機関「ニュース打破(タパ)」と「TM特別報告書」を共同取材。選挙期間中に徹底検証をおこなってきた( https://tansajp.org/investigativejournal_category/tm/)。そのなかで、いかに萩生田氏が安倍政権と統一教会を橋渡しする重要な役割を果たしてきたかが浮き彫りになる記述が明らかにされたのだ。

 たとえば、前述した2019年7月2日の安倍首相らと統一教会最高幹部らの会談もそのひとつだ。「Tansa」によると、2019年4月25日の「TM特別報告書」で、当時の統一教会会長である徳野英治氏がこんな報告をおこなっているという。

〈来る7月の国会参議院選挙で北村経夫参議院議員を応援するために、いつも安倍首相と私たちをつなげてくださる萩生田光一自民党幹事長代行と、安倍派会長の細田博之会長、また前総務副大臣の奥野信亮衆議院議員、また北村経夫議員本人とともに夕食の席を持ちました。〉
〈7月の選挙のために教団のトップにあいさつをしたい、徳野会長に直接会いたいと萩生田光一自民党幹事長代行から要請があり、今回の夕食の席を持つことになりました。〉

「会長に直接会いたい」──つまり、統一教会に安倍側近の北村候補の選挙支援をしてもらうために、萩生田氏のほうからアプローチして統一教会幹部と会食の場を持っていた、というのである。

 TM特別報告書で、萩生田氏からアプローチしていた事実に言及している統一教会幹部は徳野会長だけではなかった。同じく「Tansa」によると、天宙平和連合(UPF)ジャパン議長・梶栗正義氏が、安倍首相との面談直後、2019年7月6日におこなった報告にも、以下のような記述があったという。

〈首相の意向をめぐって、私と自民党最高幹部数名がこの間選挙で勝つための作戦会議を繰り返してきたなかで、7月1日ついに安倍首相の側近議員が私に連絡をくれ、安倍首相が私と徳野会長に明日会いたがっているという意思を伝えてきました。〉
〈今年初めから私が萩生田議員に参議院選挙の前に安倍首相との面談ができるよう、要望を伝えてきましたが、選挙公示の3日前のこの日、ついに面談が実現しました。G20サミットを終え、選挙戦に突入しようするこの時期に萩生田議員が首相のスケジュールを調整してくれ、実現した会談の場でした。〉

 そして、参院選で安倍首相と萩生田氏が選挙支援を願い出たこの北村経夫氏が見事に当選を果たすと、萩生田氏は統一教会にわざわざお礼までおこなっていたようだ。選挙後の同年7月24日、徳野会長はこう記述しているという。

〈選挙の翌日の7月22日には、私たちと安倍首相との会談を今まで4度セッティングし、仲介者の役割をしてくれた自民党幹事長代行の萩生田議員を通じて、徳野会長と梶栗UPF議長に必ず感謝の礼を伝えてほしいと、安倍首相からの正式な感謝も伝えられました。〉

萩生田氏は岸田首相と統一教会面談も仲介か 教団名称変更をめぐる元閣僚の“口利き”も明らかに

 しかも、萩生田氏は安倍元首相だけでなく、岸田文雄・元首相と統一教会との面談にも関与していたようだ。

 2023年12月4日、岸田氏が自民党政調会長時代の2019年に元米下院議長ニュート・ギングリッチ氏と面談した際、統一教会幹部らが同席していたことを朝日新聞が写真付きでスクープした。このとき、岸田氏の事務所は「同行された方がどなたであったか承知していない」「経緯はわからないが、ギングリッチ氏との面談であるとの認識だった」と回答していたが、「Tansa」によると、この面談について、「TM特別報告書」ではこう書かれているという。

〈岸田元政務調査会長は、2019年10月4日、名古屋大会直前にアメリカのギングリッチ元下院議長と梶栗UPF議長と共に、萩生田現文部科学大臣の仲介で面談しました。〉(徳野氏による報告)

 ようするに、萩生田氏が選挙のために、反社会的なカルト宗教である統一教会を積極的に利用しようと、安倍氏の名代としてパイプ役を担っていたということを、2人の報告者が詳細に報告をおこなっているのだ。これだけの証拠が出てきて「私が直接この団体と何かやっていることは全くない」などという釈明で済ませられるはずがない。

 萩生田氏や高市政権の支持者は、この「TM特別報告書」を高市首相が言い放ったように「明らかに誤り」「出所不明の文書」などと言うのだろうが、報告書で「元々マッチング家庭(会員)だった」と記述された長島昭久衆院議員はその事実を認め、さらに安倍元首相が銃撃された当日に妻が統一教会の応援集会に参加していたと記述されていた佐藤啓官房副長官も「私の代理として妻が参加したことは事実だ」と認めている。

 しかも、ここにきて新たな事実も判明している。

 2015年におこなわれた「世界平和統一家庭連合」への名称変更について、「TM特別報告書」では自民党の原田義昭元環境相が「名称変更の時に、とても大きな貢献をしてくれた」「保岡興治元法務大臣と原田元環境大臣の2人と何度も会議をしながら、名称変更手続きに挑んだ」と記載。この記述について「しんぶん赤旗」が取材したところ、今月6日、原田元環境相が名称変更について「文科省にも働きかけをした」と認めたのだ(「しんぶん赤旗」2月7日付)。

 原田元環境相によると、「(徳野氏や梶栗氏から)霊感商法などで統一協会の評判がよくないため名称を変えたいが文科省が申請を受け付けてくれないとの相談があった」といい、「文科省にも働きかけをした」と証言。原田元環境相は統一教会について「選挙でお世話になっている。支援者が一番嫌がる電話かけをしてもらった。秘書を派遣してもらったこともある」ことから、徳野氏と梶栗氏からの相談に応じたのだという。

 名称変更をめぐっては「政治家の政治的な関与や圧力はなかった」と説明されてきたが、実際には自民党議員による働きかけがおこなわれていた──。つまり、またひとつ「TM特別報告書」による記述が事実であることが裏付けられたということになる。

マスコミの統一教会問題追及が及び腰になっている裏に、新聞・テレビの記者と教団との癒着

「TM特別報告書」について高市首相や自民党の応援団はこれまで、たんに政治家の名前が列挙されているだけで具体的な癒着や利益誘導が描かれているわけではない、などと主張してきた。

 しかし、実際には高市首相が幹事長代行に抜擢した萩生田氏が自民党・安倍政権と教団をつなぐ窓口的な役割を担い、積極的に選挙協力要請までおこなっていたこと、さらには自民党幹部による正体隠しのための名称変更認証を後押しする働きかけという利益誘導の事実までが出てきているのだ。普通なら、再び政権を揺るがす大問題に発展してもおかしくはないだろう。

 ところが、大手マスコミはこうした問題の追及にすっかり及び腰になっている。

 実際、選挙後の9日におこなわれた高市首相の記者会見では、質問に当てられたメディアの記者は、統一教会関連団体によるパー券購入や挨拶状送付の問題について、誰ひとりとして尋ねることはなかった。

 この異常な腰の引け方は、高市首相に「名誉毀損だ」と恫喝されることや高市支持者から「マスコミが高市首相をいじめている」と攻撃されることを恐れているだけなのだろうか。じつのところ、「自分たちと統一教会の関係」が掘られることを恐れているのではないか。

 というのも、「TM特別報告書」には、統一教会と国会議員の関係だけではなく、メディアとの関係についても言及。報告書の内容をもとに社内調査をおこなった毎日新聞は1月30日、「本紙記者が旧統一教会関連行事に参加」と題した記事を掲載し、記者が2019年8月に韓国でおこなわれた教団に関係するNGO主催のイベントに参加・取材し、渡航費や宿泊費を主催者側が負担していたことを明らかにした。

 この毎日新聞の記事を受けて、「Tansa」の渡辺周編集長は1月31日付けのコラムにて、こんな指摘をおこなっている。

〈実は、統一教会のイベントに参加したり、賞賛する感想を寄せたりした記者として、TM特別報告書に登場するのは、毎日新聞だけではない。他の全国紙やテレビ局、雑誌の記者も出てくる。「汚染」状態だ。〉

 この渡辺編集長の指摘どおり、このあと朝日新聞も「TM特別報告書」に朝日新聞の記者(現在は退社)と「週刊朝日」(現在は休刊)の記者が教団関連イベントに参加したという記載があると認めたうえで、その事実を否定。しかし、朝日はこの元記者らと教団にどんな接点があったのかなどといった詳細を明らかにしていない。

 これまでの説明と食い違う事実が明らかになっても知らんぷりをつづける高市首相や萩生田幹事長代行、そして自分たちと統一教会との関係に飛び火することを恐れてか徹底追及をまったくしないマスメディア──。山上徹也被告の裁判でも自民党と統一教会の関係にはメスが入れられずじまいだったが、安倍氏の命が奪われたという事の重大さを考えても、このまま何もなかったことにはできない。メディアは自社の検証をおこない、そのうえで高市政権に毅然と対峙し、統一教会問題を問いただすべきだ。

最終更新:2026.02.17 09:21

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