大阪万博に重大不正発覚! 万博経費10億円を使い「カジノ」用地を工事 違法性認識しながらカジノ業者のいいなり

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大阪EXPO2025公式HPより


 明日13日会期の折り返しを迎える大阪・関西万博。ユスリカの大量発生やレジオネラ属菌の検出、さらにはパビリオン建設費の未払い問題などトラブルが頻発しているが、「来場者数1000万人突破(関係者含む)」「来場者の満足度は7割超え」といった盛況ムードによって問題を矮小化。「成功に水を差すな」と言わんばかりの空気が漂っている。

 しかし、そんななか、到底無視できない大問題が判明。なんと、万博のための経費を使って大阪府と大阪市がカジノ用地の工事を約10億円もかけて実施し、これによってカジノ事業者が20億円超の利益を得ている、というのだ。

 この問題をスクープしたのは、10日付のしんぶん赤旗。その内容は驚愕すべきものだ。

 まず、事の発端は2019年9月。万博会場に隣接するカジノ用地について、カジノ事業者が「(外周道路の高さまで)盛土した上での引渡しを希望」(2018年12月21日、市長への説明資料より)したため、大阪市は43万立方メートルの盛り土を開始。この盛り土にかかった費用12.8億円は大阪市が負担している。

 盛り土にかかった12.8億円を大阪市が負担していること自体、カジノ事業者への優遇と言わざるを得ないが、問題はここから。盛り土を要求したカジノ事業者は翌2020年になって「施設建設に伴い大量の残土が発生することが判明」(2020年9月2日、副知事・副市長への説明資料より)したとし、市は2021年3月から、今度はカジノ用地の掘削工事を始めたのだ。これは〈カジノ用地を周辺よりも低く掘り下げておくことで、カジノ業者が本体工事の残土を用地内で処分できるように〉するためだ。

 カジノ事業者の要求そのままに、10億以上かけて土を盛ったかと思えばまた10億かけて今度は掘り返す……。資料からは大阪府・市が完全にカジノ事業者の言いなりとなって振り回されていることがありありと伝わってくるが、赤旗によると、掘削した土の量は約80.2万立方メートル(重さ100万トン超)で、〈掘削・運搬などの費用は本紙が把握しただけで約10億円〉にものぼるという。

 そして、大阪府・市は掘削工事を強行するにあたり、「最も安価な方法となるIR区域の掘削土の使用を選択するのが基本的な考え方」と理由付け。議会への報告もせずに万博用地の造成工事に含めてしまい、掘削にかかった費用はごく一部を除いて万博経費として府・市でほぼ半分ずつ負担した、というのだ。

 そもそも、夢洲での万博開催を「カジノありき」で決めたばかりに、地盤改良に上下水道、電気、道路の整備、地下鉄延伸といったインフラ整備に巨額を投じることとなったのはご存知のとおり。そのうえ、カジノ事業者の要求に唯々諾々と従い、そこでかかった費用を「万博経費」として大阪府・市が負担するとは、明らかに、府民と市民に対する背任行為ではないか。

大阪港湾局は営利企業への便宜供与が違法となる可能性を事前に認識

 しかも、問題なのはこれが特定企業への便宜供与に当たる可能性が高いことだ。本来ならカジノ事業者が負担するはずの残土処分費は、この掘削によって少なくとも15.8億円も減ったことになる。処分先への運搬なども含めると、この肩代わりによってカジノ業者が得る利益は20億円超となるという。

 実際、工事を担当した大阪港湾局は、これがカジノ事業者への便宜供与で違法行為となる可能性を認識していた。前述した2020年9月2日の副市長・副知事への説明資料では、「IR区域掘削土の万博区域掘削土への活用が、IR事業者への便宜供与とみなされる訴訟リスク」があると指摘。大阪港湾局が相談した法律事務所の返答として「IR事業者が利益を得ることになるのであれば、住民訴訟のリスクは高い。(合理的な説明ができなければ敗訴する可能性がある)」「本来、IR事業者が負担すべきものについては、負担を求めることが望ましい」と記述していたのだ。

 だが、こうした大阪港湾局の懸念や法律家の警告を黙殺し、大阪府と市はカジノ用地の掘削を「最も安価な方法」だとして正当化。あれだけ経費削減が求められていた万博の予算に付け替えたというのだから、いかにカジノ優先であるかがわかるというものだ。

 しかも、だ。府・市が「最も安価な方法」だとするカジノ用地の掘削について、赤旗が検証した結果、〈カジノ用地掘削でむしろ万博経費が増加〉したことが判明したというのだ。

 大阪府・市がまとめた事業費比較では、カジノ用地の掘削土を使った万博用地盛り土の事業費は7億円で、当初予定していた関東地方の残土を使った場合の10億円を下回るとしている。だが、実際の工事費の内訳書によると、カジノ用地の掘削土を使った万博用地の盛り土は7億円ではなく約10.6億円、掘削中の鳥類保全対策など本来は不要だった追加費用を含めると約12億円だったという。つまり、カジノ用地の掘削は「最も安価な方法」ではなかったのだ。

 この問題を会見で追及された横山英幸・大阪市長は、「費用や土の性質、工事全体の調整、さまざまな課題を検討した結果、もっとも経済合理性、そして夢洲の工事全体の調整から最適な選択肢を選んだ」と述べたが、カジノ事業者への優遇をもとにした「経済合理性」だったことは明らか。実際、赤旗の取材に対して大阪港湾局は「事業費比較のあとで関東残土を選択肢から外したので、どちらが本当に安いか最終的な比較はしていない」「(関東残土を確認した際の記録は)何も残していない」と返答しているからだ。

松井と吉村の「カジノに公金を使わない」は真っ赤な嘘も、追及しないマスコミ

 松井一郎・前大阪市長は府知事時代に「IR、カジノに税金は一切使いません」と断言し、吉村洋文・大阪府知事も「公でお金を出すものではありません」と述べてきた。にもかかわらず、その約束を反故にし、カジノ用地の土地改良工事に上限788億円もの公金を投入することを決定。そのうえ、カジノ事業者を優遇するべく、違法性を指摘されても無視して万博経費として府・市の公金を使って約10億円もの工事を強行していたのだ。もちろん、この重大疑惑に対し、吉村知事はすぐさま説明をおこなう責任がある。

 しかし、吉村知事は知事としての仕事もほとんどそっちのけで、連日のように参院選の街頭演説のために全国を行脚。赤旗の記事が出た当日にはYouTube番組「ReHacQ」の「緊急生配信 日本維新の会にNG無し質問!」と題されたプログラムに生出演したものの、カジノ問題への追及はなし。その後もテレビ出演やライブ配信、SNS投稿などをおこなっているが、赤旗の報道は完全にスルーした状態だ。

 吉村知事は万博について〈黒字も見えてきた〉と述べる一方、〈数字ではかれない価値がある〉などと喧伝し、万博の成功を印象付けようとしてきた。だが、実際には赤字になる可能性も十分残されているし、たとえ黒字を達成しても、あるいは来場者の満足度が高くとも、それらと公金の使われ方の検証・批判は別問題だ。いわんや万博経費でカジノ事業者に便宜を図っていたという違法性を問われる疑惑に無視を決め込むなど、無責任にも程がある。お祭りムードに流されることなく、メディアもこの問題をしっかりと追及すべきだ。

最終更新:2025.07.12 08:29

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