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国が認定「大阪カジノ」で吉村洋文と維新がついた大きな嘘! 新たな税金投入とカジノ利権化は確実に
吉村 洋文公式サイトより
大阪府知事選で吉村洋文氏が再選を果たし、大阪市長選でも大阪維新の会が擁立した横山英幸氏が当選したが、本日14日岸田文雄首相が大阪のカジノ計画を認定すると発表した。これにより、日本初のカジノが2029年に大阪で開業される見通しだ。
維新が圧勝した途端、政府が認定に動く──。そもそも、当初は昨年内には政府が認定すると見られていたものが、選挙戦の結果が出るまで長引いたのは、大阪のIR整備計画には問題点が山積していたからにほかならない。現に、昨年11月におこなわれた松井知事の会見では、「(夢洲の)地盤の土壌汚染や液状化の問題が指摘されており、国からも解決の手段や時期、対応策を求められている」と述べていた。こうした問題が何も解決していないにもかかわらず、政府が認定するというのは、政府も吉村知事同様、選挙結果をもって「IR誘致の民意は得られた」と主張できると踏んだからとしか考えられない。
しかし、吉村知事と横山市長が当選をしたからといってカジノ開業にGOサインを出すとは、完全に民意を無視したものだ。実際、昨年実施されたIR誘致の賛否を問う住民投票の実施を求める署名運動には20万筆を超える署名が集まった。また、知事選の投票を終えた有権者を対象とした毎日新聞の出口調査でも、IR誘致に賛成が53%、反対が45%と拮抗していた。
いや、それ以前に、大阪での選挙戦において、吉村知事や維新陣営は、カジノについて根拠不明の数字を持ち出したり、ゴマカシばかりを喧伝してきた。
その最たるものが、IRによる経済効果だ。
吉村知事は選挙戦でも「年間1兆1400億円もの経済波及効果」があるとアピールしていたが、その根拠はまったく明らかになっていない。
たとえば、2019年12月に策定された「大阪IR基本構想」では、総延べ床面積は100万平方メートルで、そのうち大型展示場や国際会議場の面積は10万平方メートル、宿泊施設は3000室で、年間来場者は1500万人、経済波及効果は7600億円としていた。しかし、昨年4月に国に提出した「区域整備計画」では、総延べ床面積は77万平方メートル、展示場・会議場の面積は2万平方メートル、宿泊施設も2500室といずれも縮小。とくに展示場・会議場は当初より5分の1の面積となり、これはインテックス大阪(7万平方メートル)と比較してもかなり小さい。このように箱の規模は縮小させたのにもかかわらず、なぜか年間来場者は2000万人、経済波及効果は1兆1400億円と、大幅に増加させたのだ。
しかし、この「経済波及効果1兆1400億円」の根拠は不明だ。事実、この1兆1400億円のうち、IR全体の売上高予想は5200億円とされているが、じつはこの数字は事業者の試算にすぎず、根拠は明らかにされていないのだ。また、売上高だけではなく、「年間来場者数2000万人」という見積もりの根拠も示されていない。2000万人という数字は、東京ディズニーランドのコロナ前の年間来場者数1800万人を上回るもので無謀にも程があるのだが、大阪のIR担当者にヒアリングをおこなった日本共産党の大門実紀史・参院議員によると、この見積もりの根拠を尋ねたところ、担当者は「事業者が計算したので分からない」と回答したという。
吉村知事「カジノの面積はたったの3%」はごまかし! 収益の8割はカジノを想定
つまり、選挙戦や報道では「1兆1400億円の経済波及効果」と喧伝されたものの、この数字の根幹をなすIRの売上高や来場者数は、事業者による「言い値」に過ぎず、根拠不明のシロモノなのだ。
さらに、カジノ解禁がギャンブル依存症の患者をさらに増やすという懸念は強いが、そうした懸念を払拭するため、吉村知事は選挙中、「IR全体のうちカジノの面積はたったの3%」などと主張。しかし、これもとんだゴマカシだ。
というのも、カジノの面積は全体の3%でも、IR収益の8割はカジノによるものを想定しているからだ。その上、「ダイヤモンド・オンライン」2022年8月26日付の記事では、〈カジノそのものの粗利である4900億円のうち、国内客は2700億円、海外客が2200億円と国内客が上回る。カジノでもうける金額の過半が、「日本人のスッたカネ」だというわけだ〉という指摘がなされている。ようするに、「カジノの面積はたったの3%」などというのはたんなるゴマカシで、実態は大半を国内客からの金で収益を上げようと考えているのである。
だが、この選挙戦において吉村知事がおこなったもっとも酷いゴマカシは、カジノ用地の賃料をめぐる問題についてだ。
本サイトで取り上げてきたように、大阪のIR構想では大阪市が所有する用地約49万平方メートルを、カジノ事業者に対し、約35年間にわたって年約25億円で貸す計画になっている。これは1平方メートルあたり月額428円というべらぼうな安さなのだが、摩訶不思議なことに、賃料の根拠となった4社による不動産鑑定では、4社中3社で土地価格などの金額がぴったりと一致。さらに、鑑定時にはIRが「考慮外」にされていたことから、賃料が異常に安く叩き出されてしまったのだ。この結果、35年間で500億円以上も賃料が大幅に値引きされることになったと見られている。
しかも、松井一郎・前大阪市長は「IRを考慮外」としたのは鑑定業者側から意見が出たためだと説明していたにもかかわらず、実際には「大阪市の指示」によるものだったことが情報公開請求で開示された公文書によって判明したのである(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2023/03/post-6268.html)。
異常な激安評価! カジノ用地鑑定額談合疑惑にもデタラメ抗弁し続けた吉村知事
ところが、このような重大な鑑定談合疑惑が浮上したというのに、大手マスコミはほぼ沈黙。選挙中も、吉村知事は「いま、なんか賃料がどうかとか言っているけど、あそこなんか負の遺産で、使いみちなかったんだから!」と主張し、35年間で500億円以上にもなる賃料の大幅値引き疑惑を「あそこは負の遺産」という一言でごまかしたのだ。
さらに、4月5日におこなわれた府知事選候補者によるテレビ討論会でも、元参院議員の辰巳孝太郎氏が鑑定談合疑惑を指摘すると、吉村知事はこう抗弁した。
「4社の不動産鑑定業者以外に、弁護士や専門家からなる第三者の大阪市の不動産評価審議会においても、この鑑定は適切だという判断がもうすでに下されています」
“第三者が適切だというのだから談合などではない”と言わんばかりだが、これは下劣な詭弁としか言いようがない。というのも、松井前市長の恫喝に怯むことなくカジノ用地賃料問題を取り上げた毎日放送(MBS)の取材によると、「不動産評価審議会」の当時の委員である不動産鑑定士A氏は「3社が一致していることやIRが考慮されていないことは審議の対象になっていない」と回答しているからだ。
それだけではない。SNS上の「開示請求クラスタ」でも有名なWADA氏が4月7日に公開した大阪市の資料によると、大阪市側はMBSの報道への反論をHP上でおこなったあと、審議会委員に対しても個別に「ご見解」を問う文書を送付。だが、このときも、委員からはMBSの報道内容に誤りはないことを示す回答が複数寄せられていたのだ。
〈「三社の評価額と利回りの一致について」と「IR考慮外」については、MBSの取材に答えた通り、「審議対象ではない=審議していない」と認識しています。1月5日の打ち合わせにおいても、全員でそのように確認したはずです。事前説明の時にも三社一致については疑問の声が出ていたことははっきり記憶していますが、それは審議対象ではないと当時の事務局からはっきり言われました。従って、それについて審議したという認識はありません。〉
〈MBSの取材でお答えした通り、「3社一致」及び「条件設定」については、審議事項でないため、審議していません。「3社一致」及び「条件設定」は、事前説明の際に質問をしましたが、審議事項ではないとのことでしたので、それらを所与として審議しています。〉
〈私の方では、前提条件の可否については、審議していないとの見解です。〉
つまり、吉村知事は「不動産評価審議会においても鑑定は適切だという判断が下されている」と主張したものの、実際には4社中3社で鑑定評価が一致したことやIRを考慮外としたことはそもそも審議の対象にはなっておらず、談合疑惑を否定する材料にはまったくなっていないのだ。
このように、選挙中においてはこのようなデタラメが平然と喧伝され、大阪カジノの実態は覆い隠されつづけてきた。それはメディアも同罪だ。選挙戦においてカジノ誘致は大きな争点だったにもかかわらず、35年間で500億円以上もの賃料値引きにつながった重大な談合疑惑をスルー。国が大阪カジノを認定するという報道においても、「地域への経済効果は年間1兆1400億円」などと根拠が明らかになっていない数字を無批判に取り上げている。
土壌汚染でさらなる巨額税金投入、次々浮上する利権疑惑…問題しかない大阪カジノ
しかも、府民・市民が知るべき問題はまだまだある。そのひとつが、カジノへのさらなる税金の投入だ。
松井氏や吉村知事は「カジノに税金・公金は一切使いません」などと主張していたにもかかわらず、夢洲の土壌汚染対策にかかる790億円を大阪市が負担することになったが、今後、この負担額はさらに増えていく可能性は高い。実際、桜田照雄・阪南大学教授は「夢洲には、建設残土や浚渫土砂の廃棄を規制する法律がなかった時期に、大量の土砂が埋められており、そもそも商業施設が建設されることを想定していません。この程度の額で対策がすむとは思えません」(「週刊文春」2022年3月24日号/文藝春秋)とコメント。また、事業者側である米MGMリゾーツ・インターナショナルのエドワード・バウワーズ氏も、昨年3月に大阪市議会に参考人招致された際、「地盤沈下している可能性がある」と言及し、オリックスグループの関西代表で、IRの運営会社である大阪IR代表取締役の高橋豊典氏も「(IRから)撤退する気は毛頭ないが、見極めをする時期が来るかもしれないということだ」と発言。ようするに、事業者側は完全に足元を見ており、さらなる負担を大阪市側に要求することになるだろう。
さらに重要な問題は、大阪カジノが“利権の温床”になっていることだ。
そもそも日本においてカジノ解禁にいたったのは、安倍政権が統合型リゾート(IR)整備推進法案を強行採決したによって可決・成立させたためだが、カジノ法案を安倍晋三首相が強行した背景には、維新との関係強化のほか、カジノ参入を狙っていたセガサミーホールディングスの里見治会長と安倍首相が昵懇の間柄にあるからだとも噂されていた。さらに、内閣府のIR担当副大臣だった秋元司氏が1審で懲役4年の実刑判決を受けたIR汚職事件をはじめ、カジノ絡みの政界汚染、利権疑惑は後をたたない。
それは大阪でも同じだ。実際、松井前市長は、安倍・菅政権で首相補佐官を務め、“コネクティングルーム不倫”問題でも話題となった和泉洋人氏を大阪府・市の特別顧問に就任させ、夢洲の開発を取り仕切らせているが、和泉氏をめぐってはカジノ事業者出資企業との癒着関係が浮上。「週刊現代」(講談社)に掲載されたノンフィクション作家・森功氏の記事によると、松井市長が和泉氏を特別顧問に選任するよう指示した同時期に、和泉氏は10社以上の大手住宅メーカーや建設、不動産関連の有名企業に月100万円のアドバイザリー契約を持ちかけていたという。和泉氏がコンサルタント料を要求したことが判明している企業は、大和ハウス工業や積水ハウス、住友林業、ミサワホーム、三菱地所や三井不動産、住友不動産、東急不動産、森ビルで、年間1億円近い実入りとなる計算だ。
その上、「しんぶん赤旗 日曜版」の報道では、和泉氏とアドバイザリー契約を結んだ1社である大和ハウス工業は、大阪府・市がカジノ事業者に選定した米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスが合弁で設立した「大阪IR株式会社」に出資。大阪カジノにともなう夢洲周辺の商業施設やホテル、物流センターなどの開発に参入することを希望しているというのだ。さらに大阪市は、原則非公開の秘密会議である「夢洲等まちづくり事業調整会議」のアドバイザーに和泉氏を据え、会議への報告内容や資料を事前に和泉氏に提供しているという。
鑑定談合疑惑に巨額の公金投入、そして利権疑惑──市民を欺き、行政を歪めて推進されてきた大阪カジノ。メディアの無批判な報道姿勢も加わって、今後、吉村知事を筆頭とする推進派たちは、ますますカジノが抱える闇をないものとして覆い隠していくだろう。
(編集部)
最終更新:2023.04.14 10:01
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