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高橋洋一「さざ波」「笑笑」ツイートを擁護するお笑い芸人たちの浅はか…東野幸治、ほんこんは「先生」扱い ブラマヨ吉田も
15日の『正義のミカタ』ではどんな擁護が飛び出すのか!?(番組HPより)
高橋洋一・内閣官房参与が、日本のコロナ状況について〈日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑〉とツイートした問題。本サイトでもいち早く報じたが、国会でも追及され、テレビでも報じられるなど、大きな批判を浴びている。
当たり前だろう。日本でも死者が1万人を超えているコロナ状況について、「さざ波」と評し「笑笑」と笑いネタにする。こんな人命軽視のあり得ないツイートを、しかも内閣官房参与というこの国の政策決定に関わる公職にあり、5月4日にも菅首相と会談し「経済とコロナについて質問された」というような人物がおこなったのだ。
ところが、任命権者である菅首相は「個人の主張」とスルー。更迭どころか、発言内容を批判することすらしなかった。
高橋氏本人も完全に居直っている。スポーツ報知の取材に対し「日本はほかの国と比較し、圧倒的に感染者が少ない。五輪を中止するとなると、ほかのスポーツはどうなるのか」「木村(盛世・元厚労省医系技官)さんが言ったことを踏まえ、わざわざかぎ括弧をつけて『さざ波』と書きました」などと反論。
ツイッターでも〈世界の中で日本の状況を客観的に分析するのがモットーなので、それに支障が出るような価値観を含む用語は使わないようにします〉と、ツイートの趣旨は客観的な分析であると主張。さらに、自身のYouTubeチャンネルでは、「『笑笑』は『(こんな感染状況で五輪を中止したら)世界で笑われる』という意味」などと強弁している。
まったくこんな言い訳が通用すると本気で思っているのだろうか。高橋氏は自分の主張が日本と他の国を比較した客観的な分析であるかのように主張するが、以前の記事でも指摘したように、高橋氏の「さざ波」は客観的でもなんでもない。
高橋氏が掲げたグラフは、インド、カナダ、ドイツ、イタリア、アメリカ、イギリスと日本の新規感染者数を比較したものにすぎず、ニュージーランド、オーストラリア、台湾などと比べれば、人口あたりの死者数は日本のほうが断然多い。あるいは、陽性率を比較すると、日本はネパール、インド、ドイツについで深刻で、アメリカやフランス、イギリスを上回っている。
いや、高橋氏の掲げたグラフを見ても、右端の直近のあたりでは、日本の新規感染者数がすでにイギリスのそれを超えていた。
東野幸治が「ZやNHKやマスゴミの人達は喜んでる」とネトウヨそっくりのセリフ
つまり、ワクチン接種が進む欧米各国に対して、ワクチン接種が遅れ、変異株が猛威をふるっている日本では、これからまだ感染者数も死者数も増加していく途上にあることさえうかがえるのに、高橋氏はその実情を無視し、主張しているのである。
「さざ波」という表現についても、前述したように高橋氏は「木村(盛世・元厚労省医系技官)さんが言ったこと」などと権威づけをおこないつつ他人のせいにしていたが、そもそも、木村氏自体が“コロナは風邪”“たいしたことない病気”であるかのような非常に偏った主張をしてきた人物。この間、「季節性インフルエンザと同じ5類扱いに見直すべき」「自粛や規制をやめ集団免疫の獲得を目指すべき」「GoTo止めるのは本末転倒」「マスクの感染防止効果にエビデンスない」などと、コロナを矮小化するトンデモな主張を展開し続けてきた。そんな人物が使っている言葉を使ったといっても、客観性の証明にもなんにもならないだろう。
さらに、あ然とさせられたのが、「笑笑」を「こんな感染状況で五輪を中止したら、世界で笑われるという意味」だったとした言い訳だ。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト」など、むしろ多くの海外メディアが東京五輪中止を主張し、強行する日本に呆れた論調の報道をしているのに、一体何を言っているのか。
とにかく高橋氏の言い訳にはなんの説得力もないのだが、しかし、驚いたことに、こんな人物のトンデモ発言を擁護する輩が多数現れている。なかでも目立っているのが、ワイドショーのコメンテーターをつとめるお笑い芸人たちだ。
たとえば、東野幸治はツイッターでこうつぶやいて、炎上した。
〈次はさざ波問題か。コレ以前から言ってた事なのになぁ。さざ波なのにひっ迫してるのが問題ですって。T先生が叩かれていて、ZやNHKやマスゴミの人達は喜んでるだろうなぁ。〉
東野といえば、高橋氏がコメンテーターを務める『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)でMCを務めている。
訳知り顔で“さざ波なんて以前から言ってた”とつぶやいたのは、この『正義のミカタ』に、「さざ波」の言い出しっぺである前出の木村盛世氏も度々出演しているからだろう。しかし、高橋氏は医療が逼迫していることを問題にするために「さざ波」と言ったのではなく、感染が大したことがないという文脈で使っているのは明らか。それを無理やり擁護して、「ZやNHKやマスゴミの人達は喜んでるだろうなぁ」とネトウヨ陰謀論丸出しの台詞を口にするとは、呆れるしかない。
“情弱”ほんこんがワイドショータレントを上から目線で“情弱”扱いし失笑
同じく『正義のミカタ』で高橋氏と共演しているほんこんも、東野のツイートをリツイートし、こう擁護した。
〈ホンマやでT先生が全ワイドショー出て論理的に説明してあげればいい でも理解できるかな? 疑問です タレントさん達は情弱が露呈しましたな ブラマヨ吉田は賢い〉
さっきも指摘したように、高橋氏の主張なんてなんの論理性も客観性もないのに、それを謎の上から目線で説教を垂れるのだから始末に負えない。だいたい“情弱”というのは、米大統領選で陰謀論をさんざんふりまき大恥を晒したお前のことだろう。
ほんこんが褒めていたブラックマヨネーズの吉田敬にいたっては、5月11日放送の『バイキングMORE』(フジテレビ)で、なんと「笑笑」のくだりまで擁護していた。
ブラマヨ吉田は、MCの坂上忍らほとんどのスタジオ出演者が高橋氏を強く批判するのに対し、一歩もひかず、こう擁護し続けたのだ。
「『笑笑』って(五輪)できるやんけって呆れ笑いですよね? それはなんで行間くみ取ることができへんのかって思いますけどね」
「ちょっとマイルドに嫌味っぽく言うてることで、ここまで怒る必要ってどこにあるんですか?」
「死んだってかまわないとは言ってないですよね」
また、翌日の5月12日放送の同番組では、カンニング竹山も高橋氏を擁護していた。
「高橋さんは、結構、メディアとかに出て、いろんなこういうことをおっしゃって、正しいこともよく言ってらっしゃったりする方だから」
「いま、たしかにその表現でいろんな方がいろんな取り方をするから誤解はもちろん招くと思いますけど、いま、オリンピックまで75日切って、高橋さんのツイートでそこにメディアとかも目を付けて、これどうなんだ? いかがなもんなんだ?っていう時期じゃない。そこじゃない、いま」
東野が「先生」と崇める高橋洋一は政権応援団だけでなく嫌韓本も出版
しかし、今回のことであらためてわかったのが、ワイドショーのコメンテーターを務めているお笑い芸人たちが、高橋氏から想像以上に大きな影響を受けているということだ。
高橋氏を「T先生」とまで呼んでいた東野幸治、『正義のミカタ』以外でも、YouTubeでコラボするなど薫陶を受けているほんこん、さらには、竹山までが「正しいこともよく言ってらっしゃる」などと評価しているのだ。
しかし、周知のように、高橋氏といえば、もはや経済学者というよりは、露骨な政権応援団でしかない。
もともとは、所属していた財務省に反旗を翻し、反増税・反緊縮の経済論客として知られていた高橋氏だが、窃盗容疑で書類送検される事件で一旦、表舞台からいなくなる。しかし、橋下徹・元大阪市長との結びつきで大阪市特別顧問になって復活し、第二次安倍政権が本格化し始めると、財務省への敵愾心だけはもったまま、政権に急接近していった。
経済問題だけではなく、森友・加計や公文書改ざん、「桜を見る会」などの疑惑では、事実を捻じ曲げ、フェイクを振りまいてでも、当時の安倍晋三首相を擁護し、疑惑を追及する野党やマスコミを攻撃していた。
その姿勢は、菅政権になって内閣参与になるとさらに露骨になり、日本学術会議問題などでも、学術会議に民営化を求めるなど、無茶苦茶な論理で、菅首相を擁護していた。
しかも、近年はネトウヨ化も進んでいる。2019年には『韓国、ウソの代償』(扶桑社)なる嫌韓本を出版しているが、そのなかには、以下のようなネトウヨの在日ヘイトと見紛うような記述もあった。
〈実はマスコミには意外と外国人が多い。筆者の知る限り、NHKにも在日外国人は多い。だから反対するのかもしれない。もちろんその中には在日韓国人だっているし、出版社にも結構多いはずだ。〉
〈国民性の話はあまりしたくないが、韓国は小が大に事える、強い勢力に付き従うという「事大主義」に取り憑かれている。これは完全に半島根性で、強いものに巻かれて弱いものに強く出る。だからずっと中国に依存してきた。〉
東京五輪をめぐっても、森喜朗・前組織委会長の女性蔑視発言があった際には、森批判を「ひどいメディアスクラム」と決めつけ、自身のツイッターでも〈中国のウイグル族ジェノサイドで北京五輪が危ない、その後BBCの等でも報道がされている時に森問題がでてジェノサイド報道が消えたのはおかしい〉(原文ママ)などと陰謀論めいたことまで垂れ流す始末だった。
コメンテーター芸人のネトウヨ化、政権御用化が問題になっているが、高橋氏のような人物が影響を与えているとすれば、当然とも言えるだろう。しかも、高橋氏は一方では、菅政権の内閣参与を務め政権にも影響を与えている。高橋氏を介した菅政権と芸人コメンテーターの一体化。まさに日本の政治とメディアのグロテスクな風景というほかはない。
(編集部)
最終更新:2021.05.14 11:31
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