安倍自民党が台風被害対拡大の状況で予算委員会を強行! 二階幹事長の「まずまずに収まった」発言にシラを切る安倍首相

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安倍政権の台風被災者切り捨てがまた露呈! 野党が延期を申し入れた予算委を強行開催、二階幹事長の「まずまずに収まった」発言に安倍首相はの画像1
参議院インターネット審議中継より


 広範囲の地域で深い爪痕を残した台風19号は、発生から3日経ってもその被害の全容さえ掴めていない状態にある。しかも、今晩には人命救助の分岐点となる発災後72時間を迎える地域も多く、緊迫した状況だ。

 しかし、そんななかで、「そんなバカな」と言わずにはいられない事態が起こった。本日、国会で参院予算委員会が予定どおり開催されたのである。

 じつは、野党からは早い段階からきょうの参院予算委の開催を延期すべきという声があがっていた。たとえば、共産党は13日の会見で「政府は救命・救急活動、被災者の安全確保と復旧に全力をあげるべき局面」として与党に開催延期を要望。立憲民主党も同様に予算委延期を申し入れ、今朝おこなわれた与野党国対委員長会談でもあらためて申し入れがおこなわれたが、これを自民党が拒否。安倍首相はじめ全閣僚が出席して参院予算委が開催されたのだ。

 繰り返すが、発災から今晩で72時間を迎えるなかで、野党が主張するように、いま閣僚は国会審議よりも被災地の実態把握と被災者救援のための陣頭指揮をとるべきだ。にもかかわらず、それを与党自民党が拒否したのである。

 だいたい、9月9日に首都圏を直撃した台風15号のときは、9月中旬に野党が台風被害の対応を検証する閉会中審査の開催を求めたものの与党が先送りにし、開催されたのは10月1日になってのことだった。立憲民主党の蓮舫議員のツイートによると、与党が先送りにした理由は「(9月)27日で千葉県は停電解消見通し、1つの区切りを終わらせてから開会でいいのでは」というものだったというが、これは初動対応が完全に遅れ、その上、千葉県が大規模停電に見舞われている最中に内閣改造まで実施したことを非難されるのを恐れ、国民から批判の声が小さくなるまで時間稼ぎをしたのは明々白々だ。

 しかも、安倍自民党が今回、野党の開催延期を拒否したのも、結局は自分たちの私利私欲のためだ。いま召集されている臨時国会では、安倍自民党は憲法改正のための国民投票法改正案を強行的に成立させようとしている。ここで災害対応を理由に国会日程をずらせば、会期末までの成立が危うくなる可能性もあるため、予定どおりに参院予算委を開催したかったことは見え透いている。つまり、憲法改正に道筋をつけるために災害対応を後回しにしたのである。

 その上、予定どおり参院予算委が開催されれば、野党側は発災前に質問通告した内容も質問することになる。自民党がこの予算委の開催を強行したことを知らなければ、「なぜこんなときに被災地置き去りの審議をおこなっているのか」と野党に批判の矛先が向く。一方、安倍首相は答弁で「全力をあげている」とさえ言えばそれがニュースで映像として流れるのだから、何かと都合がいいのだ。

 いつもは開催を求められても拒否してばかりなのに、よりにもよって災害対応に集中すべきときに被災地よりも自分たちの都合を優先させ、国会を開く──。だが、そんな“棄民政権”ぶりは隠しきれず、安倍首相のきょうの答弁からもそれは滲み出ていた。

野党が災害対応のために開催延期を求めた予算委員会を強行した安倍自民党

 たとえば、立憲民主党・福山哲郎議員は、質疑で“野党が開催延期を求めたのになぜ予算委開会を判断されたのか”と安倍首相に詰め寄ったのだが、安倍首相の答弁はこんなものだった。

「われわれは現在も懸命の救助活動をおこなっておりますし、政府をあげてまさに災害対策をおこなっております。一方、この委員会の開催については委員会がお決めになることであり、われわれは求められれば憲法の規定によって政府として答弁を申し上げている」

 開催延期を拒否したのは自民党なのだから、安倍首相の鶴の一声があれば委員会の延期はなされたはずだ。それを「自分は委員会の判断に従っているだけ」と、とぼけて責任転嫁。しかも、安倍首相はその後も、こんなことを言い出した。

「きょうは1時間、さらに災害についての審議が加わったわけですが、もちろん、これは職員にとってはですね、災害に対応しなければならない諸君がさらに答弁に対応するわけですが、たいへんでありますが、しかし、要求されれば誠実に対応しなければならないというのが私どもの立場であります」

 ようするに、きょう予算委を開いたことによって、本来なら災害対応に当たる職員たちが国会答弁の対応に当たらざるを得なくなったことを安倍首相は認めているのだ。つまり、それをわかっていながら、安倍首相は予算委開催を強行させたのである。

 しかも、耳を疑ったのは、13日、自民党の役員会で二階俊博幹事長が「いろいろ言われていたことからすると、まずまずには収まったと感じている」と述べた問題について追及を受けたときの発言だ。立憲民主党の杉尾秀哉議員が「この発言内容を聞かれて総理はどう思ったか」と言及すると、安倍首相はこう言い放ったのである。

「あの、私は、内容において……発言の中身について詳細について承知をしておりませんので、コメントは控えたいと思います」

 死傷者が多数出て、さらには甚大な被害が拡大中だというのに、「まずまずには収まった」などと述べることは被災地を蔑ろにする発言であり、無論、二階幹事長の発言はニュースとして伝えられ、問題視されてきた。なのに、安倍首相は「中身は知らないからコメントしない」と答弁拒否したのである。

二階幹事長の「まずまずには収まった」発言を追及された安倍首相は

 その上、この無責任な態度に「何か一言あってしかるべきでは」とさらなる追及を受けると、安倍首相はダラダラとこんな話をはじめた。

「現在、政府としてはですね、政府としては、ひとりでも多くの命を救うために、夜を徹して、全力の対応をしているところでございます。私も、夜を徹して、昼夜を分かたず、作業をつづけるよう指示をしているわけでございまして、私たち政府としては、それに全力をあげているところでございます。そのなかでの、二階幹事長の発言について、ただいま杉尾委員が引用されたところでございますが、私自身はそれを確かめてもいないわけでございますし、それよりもですね、いま、私たちはとにかくですね、一日も早く不安のない生活を取り戻すことができるように、全力を尽くす。これが私たちの使命であろうと、こう思っているところでございます」
「まさにですね、えー、われわれ、この幹事長の発言については詳細について承知をしておりませんからコメントはできませんが、私たちはですね、とにかく“この程度であればよかった”ということはまったくないわけでございまして、いずれにせよですね、全力をあげて、いま、この瞬間もですね、対応しているわけでございますし、昨日、みなさまから質問通告をいただいたなかにおいてもですね、災害の責任者はですね、それに対応すると同時に、この災害にも全力で当たっているということでございます」

 幹事長の被災者蔑ろ発言について訊かれているのに、「確かめてもない」と言い張り、「それよりも」と話をそらす。しかも、「全力をあげている」「全力を尽くすのが私たちの使命」と言いながら、その中身は「夜を徹して、昼夜を分かたず、作業をつづけるよう指示」しているだけ。さらには、国会で答弁することさえも「災害対応」のひとつにあげて「全力でやっている」と言い張ったのである。

 まったく詭弁にも程があるだろう。つまり、安倍首相が言う「全力を尽くす」というのはこの程度のことでしかないのだ。実際、きょうの質疑の答弁によって、問題になっていた東京都台東区の避難所からのホームレス締め出し問題について、安倍首相も武田良太防災担当相も報道を見ただけで確認作業をいまだおこなっていないことが判明。情報集約をおこなう内閣府防災担当の人員が足りていないのではないかという野党の指摘によって、今回の台風19号で内閣府防災に増員されたのはたったの4人であることもわかった。

 ともかく、きょう参院予算委を強行したことによって、安倍首相の「全力を尽くす」という言葉がいかに空っぽなものであるかがはっきりした。救助を待つ人びとの存在を無視してラグビーの日本代表勝利に大はしゃぎする、あの姿こそが、やはりこの男の本性なのである。

最終更新:2019.10.15 11:34

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