安倍首相が自分の「エレベーター」発言を「ちょっと遺憾」とふざけた釈明…「夫婦別姓は経済成長と関係ない」の暴言も

2019.07.02 09:02
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安倍首相が自分の「エレベーター」発言を「ちょっと遺憾」とふざけた釈明…「夫婦別姓は経済成長と関係ない」の暴言もの画像1
ニコニコ生放送HPより


 トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の“電撃会談”で、完全に蚊帳の外に置かれてしまった安倍首相。「G20大阪サミットで議長として存在感をアピールして参院選に弾みをつけよう」という目論見はものの見事に打ち砕かれたが、それ以上に恥を晒したのは、G20の夕食会で“大阪城にエレベーターを設置したのはミス”などとスピーチしたことだろう。

 しかも、きょうになって、安倍首相の側近である萩生田光一幹事長代行が、エレベーター発言について、安倍首相がこんな釈明をおこなっていると公表したのだ。

「日本は文化財などの復元にも大きな力を持っていることをアピールしたかった。バリアフリーの社会に異論を唱えるような発言ではない」
「障害者やお年寄りに不自由があってもしょうがないと聞こえるかのような発言はちょっと遺憾だった」

 本人が直接、謝罪や釈明せずに、側近に語らせるというやり方にまず、あんぐりだが、さらに自分が発言したことを「ちょっと遺憾だった」って……。安倍首相には別人格がいるとか、もうひとり影武者がいるとかなのか。そうでなければ、あまりに自分の発言に無責任すぎるだろう。

 だいたい、安倍首相のスピーチは、「日本は文化財などの復元にも大きな力を持っていることをアピールしたかった」とは到底思えないものだった。

 おさらいしておくと、安倍首相はこの夕食会で、上機嫌でこう述べた。

「150年前の明治維新の混乱で大阪城の大半は焼失しましたが、天守閣はいまから約90年前に16世紀のものが忠実に復元されました。しかし、ひとつだけ大きなミスを犯してしまいました。エレベーターまでつけてしまいました」

 どうやら安倍首相はジョークとしてこれを述べたようだが、一体、どこが笑えるのか、さっぱりわからない。実際、この発言を受けた各国の首脳のあいだからは白けたムードが漂っていた。当たり前だろう。

 無論、このスピーチはネット上でも炎上し、車椅子ユーザーである乙武洋匡氏は〈朝からとっても悲しい気持ちになる〉とツイート。亀井伸孝・愛知県立大学教授は〈このようなことを、世界中が注目する場面でなぜ述べたのか、まったく理解できない。バリアフリーの世界的趨勢に逆行するようなことを言って、ウケるとでも思ったのか。スピーチライターは、何を考えて原稿を作ったのか。読み上げた首相本人に判断能力はないのか〉と厳しく批判。さらに、城郭考古学が専門の千田嘉博・奈良大学教授も〈健常者だけが、復元した大坂城天守に上がれればよい、エレベーターは最大の誤りだったと、G20で世界の首脳に総理自ら堂々と語るというのは、もはや悪夢でしかありません。本当に悲しいです〉と投稿した。

 バリアフリーに対する意識がまったく欠如していることを、あろうことかG20の議長が世界の首脳を前に「ジョーク」として露呈させてしまう──。いかに安倍首相およびスピーチライターといった官邸の取り巻きたちが、社会福祉や、「すべての国民は個人として尊重される」という憲法の人権にかんする基本的原則に対する意識をもっていないかがよくわかるというものだろう。

 しかも、安倍首相はこんな問題発言をおこなった2日後にも、信じられない暴言を吐いた。

夫婦別姓への賛否を問われて「経済成長とは関わりがないと考えている」

 G20閉幕後の6月30日夜、安倍首相はドワンゴとYahoo!が共催したネット党首討論に参加したが、そこでも安倍首相は選択的夫婦別姓について、「経済成長とは関わりがない」と言い放ったからだ。

 この党首討論では、立憲民主党・枝野幸男代表が“夫婦別姓が認められていないことが女性の社会参画を妨害する大きな要因になっている”と指摘し、「選択的夫婦別姓は女性の社会参画のために不可欠だと思いますが、安倍総裁のご意見を伺いたい」と回答を求めたのだが、安倍首相はこう答えた。

「あのー、社会参画のために不可欠だというふうにおっしゃったんですが、この6年間で、女性、働き始めた女性、250万人働きはじめました。いまや25歳以上のすべての世代でですね、女性の就業率はあのアメリカを上回っております。そして男女間の、収入の格差も一番短く、小さくなってきています。いわば、夫婦別姓の問題ではなくて、しっかりと経済を成長させ、みんなが活躍できる社会をつくっていくことではないかと思っています」

 夫婦別姓に対する意見を聞かれているのに、経済成長の話……。しかも、まるで女性の社会進出が進んで男女の待遇格差も改善されているかのような言い草だが、実際には、女性の非正規労働者の数は男性の倍以上で、男女の賃金格差も男性を100とした場合、女性は73.4(平成29年「賃金構造基本統計調査」)。これは先進国で最低レベルの数字だ。

 自慢どころか猛省すべき現状を得意気にひけらかし、夫婦別姓について自身の考えを明らかにしない安倍首相。これには司会の夏野剛・ドワンゴ代表取締役も「いまのご返答は『選択的夫婦別姓はいらない』というご返答でよろしいでしょうか」と尋ねたのだが、安倍首相はこのように述べた。

「いわば経済成長とは関わりがないというふうに考えています」

 夫婦別姓が経済成長と関わりがない、って、安倍首相は経済成長に直接関係する政策以外は政策とは思っていないらしい。だったら、あんたの大好きな憲法改正だって経済成長と関わりはないだろう、と言いたくなるではないか。

 いずれにしても、夫婦別姓という女性の権利にかかわる問題を、安倍首相は“経済成長とは関係ない”と、ただ切り捨てたのだ。

「夫婦別姓は左翼、共産主義のドグマ」と主張していた安倍首相

 だが、安倍首相からこんな発言が飛び出すのは、ある意味、当然だろう。安倍政権は「女性が輝く社会」と言いながら、財務省のセクハラ問題で麻生太郎財務相が「セクハラ罪っていう罪はない」だのと言ったり、下村博文元文科相が「テレビ局の人が週刊誌に売ること自体がハメられている。ある意味で犯罪だと思う」と言い出して麻生財務相もそれに丸乗りしたりと、女性の権利・人権を踏みにじる暴言がこれまで何度となく飛び出してきた。今年4月、「復興以上に大事なのは議員」と発言して五輪担当大臣を辞任した自民党の桜田義孝議員が、5月末に「お子さん、お孫さんには子どもを最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」と発言して問題になったことも記憶に新しい。

 しかも、夫婦別姓にかんして言えば、安倍首相こそが反対の先頭に立ち、“夫婦別姓が国を滅ぼす”と言わんばかりに吠えてきた当事者だ。

「夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという、左翼的かつ共産主義のドグマ(教義)。これは日教組が教育現場で実行していることです」(「WiLL」ワック2010年7月号)
「自民党の中でも健全な保守的な考えを持つ議員がヘゲモニー(覇権)を握り、主流派になっていくことが求められています。その際は外国人参政権、夫婦別姓、人権擁護法案などの問題に対して、明確な態度を示しているかどうかが一つの基準になります」(「WiLL」2010年8月号)

 国連が勧告を出しつづけているように、夫婦別姓を認めないことは女性差別だ。だが、そうした差別の問題を「共産主義のドグマだ」として攻撃し、夫婦別姓に反対する“健全な保守議員”が主導権を握らなければいけないと主張して、極右層からの支持を得てきたのが安倍晋三なのだ。

 いまはそうした本音を開陳できない立場であるため、「経済成長とは関わりがない」などと述べて逃げたつもりなのだろうが、ようするに、安倍首相はハナから女性の人権問題に関心がないばかりか“人権を認めない”という立場で人気を取り付け、いまも女性をたんなる“労働力”、あるいは出生率を伸ばすための“産む機械”としかみていない。だからこそ、女性の雇用環境改善や家事・育児の男性参加という課題に積極的には取り組もうとしないのだ。

安倍首相の差別、バカ発言を取り上げないテレビの政権忖度

 この夫婦別姓にかんする発言や、エレベーター発言は、女性や障がいをもった人、高齢者といった社会的弱者の人権に対する安倍晋三という人の考え方が如実に表れたものだといえるが、不思議なのは、この2つの暴言が、テレビでほとんど大きな問題になっていないことだ。

 言っておくが、かたやG20という世界的会議の席で各国要人を呆れさせてしまったような問題発言だ。もしこれが桜田前五輪相あたりから飛び出たものなら、迷わずメディアは「またも懲りずに失言」などと嬉々として取り上げているだろう。しかも、暴言を吐いたのは現役総理だというのに、なぜか桜田前五輪相に飛びついたようにはならない。これはあきらかに、参院選公示日を控え、官邸からの圧力を恐れて、安倍自民党に不利になる報道を控えているということなのではないか。

 選挙前だからこそ有権者が知らなくてはならないことが、テレビでは大きく取り上げられず、問題が掘り下げられることもなく消えてゆく──。一体、これからの選挙戦でどんな報道がおこなわれるのか。それも注意深く監視しなくてはならないだろう。

最終更新:2019.07.02 09:04

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