日本政府主催「国際女性会議」の閉会挨拶に安倍昭恵が! 山口敬之を擁護していた首相夫人を起用する異常

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「声を上げることが必要」とは真逆の行為をした昭恵夫人だが(安倍昭恵オフィシャルサイトより)


 今月23・24日に東京で開かれた日本政府主催の国際女性会議「WAW!」。ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんが出席したことで話題を呼んだ同会議だったが、一方で唖然とするようなことが起こった。

 なんと、閉会の挨拶に立ったのは、安倍昭恵氏だったのだ。

 外務省HPの会議報告でも「内閣総理大臣夫人」という肩書きが記されていることからも昭恵氏が首相夫人として登場したことがわかるが、政府主催の国際会議で閉会のスピーチを担うこの人はどこからどう見ても「公人」だ。あらためて「首相夫人は公人ではなく私人である」という閣議決定のデタラメさには憤りを感じざるを得ないが、しかし、さらに驚いたのは、そのスピーチの内容だ。

 報道によると、昭恵氏は〈性被害を告発する「#MeToo」(「私も」の意)運動に触れ、課題の解決には1人1人が声を上げることが必要だと指摘。「皆さんがつかんだひらめきを周りの人と共有し、必ず行動に移してほしい」と呼び掛けた〉というのだ(日刊スポーツ24日付)。

 性被害に対して「声を上げることが必要」と訴えるのは大事なことだ。だが、昭恵氏といえば、性被害を訴える声に対して信じがたい行動に出た張本人ではないか。

 というのも、昭恵氏は2017年5月に「週刊新潮」(新潮社)がジャーナリスト・山口敬之氏による伊藤詩織さんへの性暴力疑惑を報じた際、山口氏がFacebookに投稿した“反論”に「いいね!」したからだ。

 この投稿で山口氏は告発を否定しただけではなく、〈犯罪行為がなかったという最終的な結論が一年ほど前に出た後も、当該人物側がこの話をスキャンダルとして各種メディアに売り込もうとしていたことは察知していました〉などとも記述していた。事件がもみ消されようとするなかで被害をメディアに訴える手段に出ることは当然の話だが、それを山口氏は「売り込もうとしていた」などと、あたかも女性が金銭目的であるかのように印象付けていた。そんな投稿に対し、昭恵氏は「いいね!」と共感を示したのだ。

 昭恵夫人といえば、森友学園問題が浮上し籠池泰典理事長(当時)の証人喚問がおこなわれた同年3月23日に自身の関与を否定したコメントをFacebookに投稿して以来、しばらく沈黙していたが、それを初めて破ったのが、山口氏が投稿した記事に「いいね!」だった。山口氏は当時、森友学園問題ではテレビで安倍首相と昭恵夫人を徹底擁護しつづけ、他方、ネトウヨによるデマであることが確定した辻元清美議員への流言をテレビで垂れ流していた。デマで問題をすり替える山口氏にはジャーナリストを名乗る資格などまったくないが、それでも昭恵夫人は国民から注目を集めるなかで、山口氏に「いいね!」とエールを送ったのである。

 人間の尊厳を奪う性暴力を告発する女性の声には耳を傾けず、自分や自分の夫を庇ってくれるジャーナリストの主張に「いいね!」と賛意を示す──そのような人物が、女性会議で“1人1人が声を上げることが必要”などと指摘し、「必ず行動に移してほしい」と挨拶するとは。とんだ恥さらしではないか。

「男女平等は反道徳」の杉田水脈は会議後、「日本は男女平等の先進国」と

 しかし、安倍政権で開始されたこの国際女性会議というものの“正体”がわかる出来事は、昭恵氏の挨拶だけではなかった。じつは、この会議には、自民党のあの杉田水脈議員も参加していたのである。

 そして、24日に自身のブログに、こんなことを投稿したのだ。

〈ジェンダーギャップ指数2018、日本は110位でG7最下位「日本は男女平等が進んでいない」と言われていますが、本当でしょうか?
ジェンダーギャップ指数を図る指標は大きく4つ。教育、健康、経済、政治。実は教育と健康の分野において日本はほぼパーフェクトに男女平等なのです。
まだまだ世界中には教育を受けられない人々がたくさん存在します。その3分の2が女性なのです。そんな国から見れば日本は「スーパー先進国」〉
〈そんな国が「男尊女卑」なはずはありません。日本人より海外の方々の方がそれをよく理解してくださっています〉

 ジェンダーギャップ指数で日本がG7で最下位となっているのは、経済分野で117位、政治の分野で125位と、経済と政治で大きな遅れをとっているからだ。収入の男女格差、管理職における男女平等、国会議員・閣僚の女性割合など、改善しなければならない項目はたくさんある。それに取り組むのが国会議員の仕事であるはずだが、杉田議員は女子の教育機会が奪われている国と比べて「スーパー先進国」など胸を張るのである。

 そもそも、杉田議員は次世代の党時代の2014年、国会で「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想です」と暴言を吐き、「週刊プレイボーイ」(集英社)でのインタビューでも日本に男女差別は「ない」と断言した人物。さらに、伊藤詩織さんの告発に対しても、昨年6月にBBCが公開し、本日、19時からニコニコ生放送で日本初放送される詩織さんの事件を中心にしたドキュメンタリーでも、杉田議員はこう語っている。

「彼女の場合はあきらかに、女としても落ち度がありますよね」

「社会に生きていたら(男性からのセクハラは)山ほどありますよ」
「伊藤詩織さんが記者会見をおこなって、ああいう嘘の主張をしたがためにですね、山口さんや山口さんの家族には、死ねとかいうような誹謗中傷のメールとか電話とかが殺到したわけですよ。だから私はこういうのは男性側のほうが本当にひどい被害を被っているんじゃないかなというふうに思っています」

安倍首相が掲げる「女性が輝く社会」の正体があらわに!

 性暴力被害を訴える女性に対し、「女として落ち度がある」「社会に生きていたら山ほどある」などと言って責めたてながら、「こういうのは男性側のほうが本当にひどい被害を被っている」などと主張する──。このような人物が国会議員として参加する女性会議とは、一体何なのだろうか。

 つまり、これこそが安倍首相が進める「女性が輝く社会」の実態なのだ。実際、この国際女性会議で「すべての女の子が少なくとも12年間の質の高い教育にアクセスできる世界を目指す決意を首脳たちと確認したい」と途上国における女性教育の拡充を訴えたが、他方、この国で発覚した医学部入学試験における女性差別問題を直視することもなく、根本的・積極的な是正を打ち出していない。

 さらに、男女の立候補者数をできるかぎり均等にするよう政党に求めた「政治分野における男女共同参画推進法」が施行されて初となる次回の参院選では、共産党が5割を、立憲民主党は比例代表の4割を女性候補にすることを目指しているが、自民党は擁立目標を見送った(信濃毎日新聞25日付)。

 だいたい、安倍自民党は、準強制性こう容疑で告訴されて議員辞職した田畑毅議員にも当初、離党で手を打ち、福田淳一・前財務事務次官セクハラ問題では麻生太郎財務相が「はめられた可能性は否定できない」などと被害者女性があたかもハニートラップをしかけたようなデマを口にしたが何のお咎めもなかった。女性に対する性被害を一向に問題として取り合わないのだ。

 こんな状況で、よく「女性が輝く社会」などと宣えたものだが、この安倍政権下で女性の権利の向上、男女平等を目指すこと自体に無理があるのである。
(編集部)

最終更新:2019.03.26 12:39

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