安倍応援団やネトウヨが仕掛けた「バッシング」をMBSのドキュメンタリーが検証! 予想以上にデタラメな正体が

2018.12.18 10:19
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『バッシング ~その発信源の背後に何が~』(MBS公式HPより)


 関西ローカルで放送されたドキュメンタリー番組が、いま、ネット上で話題となっている。MBS毎日放送のドキュメンタリー枠『映像'18』で16日深夜に放送された『バッシング ~その発信源の背後に何が~』だ。

 この番組では、安倍政権の政策や歴史修正主義への批判に対し、今年、ネットなどを舞台に起こった政治的なバッシングを検証。そのバッシングの源流に自民党の政治家や極右メディア、ネトウヨTwitterアカウントやヘイトブロガーがかかわっていることを示したのだが、その取材において、バッシング発信源たちがいかにデタラメで無責任なものかを見事にあぶり出したのだ。

 たとえば、今年7月、“生産性がない”問題で大きな批判を集めた自民党・杉田水脈議員。しかし、杉田議員は今年2月にも、国会を舞台にして、歴史修正に基づいた不当な“バッシング”煽動の発信源になっていた。それが、科学技術研究費助成事業(科研費)問題だ。

 杉田議員は、2月26日の予算委員会分科会での質問のなかで、科研費について取り上げ、大学教授の実名をあげながら「徴用工問題が反日プロパガンダとして世界にばらまかれている」「日本の科研費で研究がおこなわれている研究の人たちが、韓国の人たちと手を組んで(反日プロパガンダを)やっている」などと批判。「なぜこんなことになっているのか文科省は真相究明を」などとまくし立てた。

 さらに自身のTwitterでも、科研費助成事業のデータベースのURLを貼り付けながら〈人名を検索すれば誰がどんな研究で幾ら貰ったかすぐわかります。「慰安婦」とか「徴用工」とか「フェミニズム」とか入れて検索もできます。ぜひ、やってみてください!〉と投稿。ジェンダー論を専門にする牟田和恵・大阪大学教授に噛みつき〈慰安婦は捏造。慰安婦問題は女性の人権問題ではない。税金を反日活動に使われることに納得がいかない〉などと攻撃を繰り広げ、フォロワー数約4万の影響力をもつ「CatNA」氏もこれに加担。その結果、牟田教授が所属する大阪大学にはクレームの電話が入るなど、バッシングに晒された。

 牟田教授は性暴力の問題を専門とし、そのなかで「慰安婦」問題も取り上げてきた。そもそも、「慰安婦」問題を「捏造」だと断言すること自体が歴史修正以外の何物でもないが、「慰安婦」問題が女性の人権問題であることは国連も認めるもので、杉田議員の牟田教授への攻撃は安倍政権が気に食わない学者たちをあぶりだして締め上げようとする学問の自由への侵害、言論弾圧であり、矢内原事件をはじめとする戦前・戦中の思想弾圧を彷彿とさせる“反日狩り”と変わりはない。

 しかも、番組側が杉田議員に取材を申し入れたところ、こんな返事が返ってきたというのだ。

「科研費に詳しくないのでインタビューは受けられない」

 国会という場で実名を挙げて「科研費をもらっている研究者が韓国と手を組んで反日プロパガンダをやっている!」「文科省は真相究明を」と主張し、検索しろとネット上でけしかけた張本人が、「科研費に詳しくない」と取材拒否する──。この無責任さ、恥も外聞もない態度は一体なんなのか。

 いや、驚くのは杉田議員だけではない。番組では、今年、安倍首相が「70年振りの大改革」として法案提出した「働き方改革関連法案」の目玉だった裁量労働制の対象拡大をめぐり、データが捏造されていたことを突きとめた法政大学の上西充子教授に対するバッシングも紹介したのだが、ここでも自民党議員が信じられない態度を見せたのだ。

上西教授に卑劣な攻撃を仕掛けた自民党議員は「筆がすべった」と開き直り

「裁量労働制の対象拡大」では、安倍首相が「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者より短いというデータもある」と答弁。しかし、上西教授はいち早くこの答弁の問題点を指摘し、答弁の根拠となった厚労省調査に異常値が次々に発覚したことで、「裁量労働制の対象拡大」は法案から削除された。

 いわば上西教授は政府の虚偽データを見破った立役者であるわけだが、しかし、この上西教授に対し、自民党から誹謗中傷・恫喝する議員が現れた。当時、自民党厚労部会長だった橋本岳議員だ。

 橋本議員は5月7日、Facebookに〈後付けで噴飯ものもいいところ〉と上西教授を批判。その上、上西教授がデータ問題について“政権の意図への忖度による捏造”と記事で言及したことに対し、橋本議員は〈指摘するからには、『捏造を指示した連絡』などがそのうちきっと証拠として示されるものと期待しています〉などと書き込んだ。

 上西教授は橋本議員へ抗議し、記者会見で「私は公表資料などから緻密に検証をしていて、内部の人間に通じているわけではない。捏造を指示した証拠は示せるわけがない。勝手に検証の枠組みを作られ、『指示した証拠がなければ捏造とは言わせないぞ』と恫喝されたと感じた」(弁護士ドットコムより)と反論をおこなったが、これも杉田議員と同じ、政治家による“都合の悪い研究者潰し”“バッシング煽動”であることは間違いない。

 しかし、当の橋本議員に反省の色はない。橋本議員は問題となった投稿の一部を削除したが、今回、番組の取材に応じて、こう開き直ったのだ。

「まあ、疑いをもたれた、ということに感情的になってしまうということがあったわけです。ただ、感情的になってものを書くとですね、筆がすべるということになりまして、結果として思い込みで書いたものについてはお詫びをして削除をするということをしたわけです。なので、感情的に筆を走らせてはいかんというのが、私の、フッフッフッ、アレなわけです(笑)。落ち着いて書こうね(笑)」

 正当な指摘をおこなった研究者に、政治家という立場で恫喝をおこなったというのに、半笑いで「筆がすべった」と言い訳する……。この、最低限の誠実さも知性も見当たらない態度には呆れて二の句が継げないが、これは政治家だけの問題ではない。

 それは、杉田議員らと同じようにバッシングの煽動をおこなっている、安倍応援団メディアの存在だ。

花田紀凱は杉田水脈報道で“毎日じゃ売れないから朝日のせいにした”と

 番組では、安倍首相を称賛、徹底擁護すると同時に、歴史修正をもとにした中韓へのヘイト記事、さらに野党や政権を批判するメディア、評論家などを槍玉に挙げつづけている「月刊Hanada」を取材。なかでも番組が注目したのは、杉田議員の“生産性がない”問題で「新潮45」が廃刊したことについて、同誌が2018年12月号で「朝日と連動して言論の自由を潰した新潮社」と題した櫻井よしこ氏やノンフィクション作家・門田隆将氏らの鼎談記事を掲載したことだった。

 というのも、この記事のなかで花田編集長は「杉田論文を最初に問題視したのは朝日新聞」と発言。そして、門田氏が「朝日と連動して社内で仲間を糾弾するということが行われた」「内部でしか知り得ない情報が、即座に朝日の紙面で暴露された」と朝日バッシングに話を繋げているのだ。
 
 たしかに朝日の記事では新潮社の編集者や関係者など内部の声が取り上げられたものもあったが、それは他のメディアも同様で、匿名の内部情報はさまざまなメディアで紹介されていた。そもそも、新潮社が廃刊を決めたのは、本サイトで記事にしたように、作家の執筆拒否の動きが広がるのを恐れた佐藤隆信社長のツルの一声、ただそれだけ。「朝日と社内関係者が連動して廃刊させた」なんてヘソが茶を沸かすほどあり得ない話だ。

 しかも、だ。この記事で花田編集長は、とんでもない嘘をついていることを番組ディレクターは指摘。朝日が杉田論文の問題を報じたのは、デジタル版が7月23日、紙面では翌24日なのだが、それよりも2日早い同月21日にすでに毎日新聞のデジタル版が「「生産性なし」自民・杉田議員の寄稿が炎上」と記事にしていたのだ。

 このことを番組ディレクターが伝えると、花田編集長は悪びれる様子もなく、こう言い放った。

花田「そうなんだよね。そうですよね、それはね。でも、毎日新聞は、そのー、あの、弱いんですよね。部数も圧倒的に少ないし、うん。そうですね。それはおっしゃる通りですね」
番組D「だから、『最初に問題視した』のは朝日ではなく毎日新聞だと」
花田「毎日だと。まあそうかもな。はい(笑)。でも、毎日じゃあ売れないと。やっぱり毎日新聞じゃダメなんだよ。朝日新聞じゃなきゃ(笑)」

 朝日バッシングでないと売れない、だからそのビジネスのためには嘘もつく──。花田編集長は自らそう認めたのである。

「余命三年時事日記」のブログ執筆者も番組の直撃に無責任なコメント

 番組ではこのほかにも、弁護士への懲戒請求を煽った「余命三年時事日記」のブログ執筆者である男性に取材し、「書いているものっていうのは、初期のアレなんかたんなるコピペですからね」「作り話じゃないですよ。事実をコピペしているだけで。何の変哲もない普通のコピペブログですよ」なる発言を引き出すなど、ネット上で巻き起こるバッシングがいかにデタラメで無責任な姿勢から生み出されているかを取材によって明らかにしたのだ。

 そして、杉田議員や橋本議員といった安倍自民党の政治家も、ヘイト極右雑誌編集長の花田氏も、「余命三年」ブログ主も全員が全員、恫喝や虚偽の情報の流布、謂われのない誹謗中傷や業務妨害を煽動しながら、平然としている。ようするに、バッシングの流れをつくり出し、相手を「敵」として周知させた時点で、連中にとっては目的を達成しているからなのだろう。

 ちなみに、この番組でバッシングの背景に迫ったディレクターは、MBSの斉加尚代氏。斉加氏は沖縄ヘイトデマを検証した『沖縄 さまよう木霊~基地反対運動の素顔~』や、「慰安婦」問題を扱った教科書を採択した学校に恫喝や圧力がかけられるという教育現場の問題を取り上げた『教育と愛国 ~教科書でいま何が起きているのか~』といった番組を手がけ、民間放送連盟賞テレビ報道部門優秀賞やギャラクシー賞大賞など数々の賞を受賞してきた。

 だが、斉加氏が「余命三年」の本を出版してきた青林堂に取材を何度も申し込んだものの、先方はそれを拒否。挙げ句、青林堂はTwitterで「ブラック記者」と名指しした。そのためなのか、この番組は放送前から〈ネット上で一部の人々から標的にされた〉といい、〈先月末から6日間 取材者を名指しするツイートの数〉は、なんと5000件を超えたという。番組の最後には、こんなテロップが流れた。

〈その発信源を調べると ランダムな文字列のアカウント つまり「使い捨て」の疑いが 一般的な状況に比べ 3倍以上も存在した
 およそ2分に1回 ひたすらリツイート投稿する アカウントも複数存在した
 取材者を攻撃する発言数が 最も多かったのは「ボット」(自動拡散ソフト)の使用が 強く疑われる
 つまり 限られた人物による 大量の拡散と思われる〉

 図らずも、バッシングの源流を辿ったディレクター自身が、同じようにバッシングに晒された──。いや、こうして「敵」をつくり出して攻撃を煽動する安倍自民党議員やその応援団、ヘイト極右たちの動きは、絶えず起こりつづけている問題だ。だからこそ、斉加氏のように背景に迫り、その無責任さをあぶり出す作業が重要になってくる。この番組に拍手を送ると同時に、バッシングの背後に何があるのか、本サイトも今度とも引きつづき検証していきたいと思う。

最終更新:2018.12.26 12:29

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