杉田水脈が国会に出席も反省なし! 発言は撤回せず、高須院長の“性別変更を認めない”支持ツイートに「いいね」

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杉田水脈公式Twitterより

 騒動から約3カ月が経つが、やはりこの人は何も反省もしていないらしい。本日、臨時国会が召集されたが、「LGBTには生産性がない」発言で問題となっている杉田水脈衆院議員が記者団の取材に応じ、「誤解を招き、心苦しく思っている」と釈明。記者が表現を撤回する意志があるかと質問すると、「言葉が不適切だった。人権を否定するつもりはないし、差別的なことを考えたこともない」とはぐらかし、撤回しようとしなかったのだ。

 何が「誤解」だ。杉田議員が「新潮45」(新潮社)に寄稿した全文を読めばわかるように、問題は「生産性」の箇所のみにとどまらない。〈LGBTの方々にとって、日本はかなり生きやすい社会〉などといってLGBT当事者たちの「生きづらさ」の問題を“社会ではなく親の責任、自己責任”と言い放った上、〈LGBは性的嗜好の話〉とし、同性愛を“趣味の問題”だと断言。さらに同性愛者を〈不幸な人〉呼ばわりした挙げ句、〈「常識」や「普通であること」を見失っていく社会は「秩序」がなくなり、いずれ崩壊していくことにもなりかねません〉と主張するなど、“異性愛=常識、同性愛=異常”というあからさまな差別を展開している。

 まったく、徹頭徹尾LGBTに対する偏見と差別を振りまいておいて、「誤解」「差別的なことを考えたこともない」などとよく言えたものである。

 しかも、杉田議員は「心苦しく思っている」と一見、殊勝な姿勢を装ったが、これが本心ではないことは明白だ。

 実際、つい最近もこんな信じがたい言動を杉田議員はとっている。

 じつは、10月22日に“自称ネトウヨ”である高須クリニックの高須克弥院長が、Twitterにこんな投稿をおこなった。

 その投稿では、トランプ政権が性の定義を「男性か女性かのどちらかで変更はできず、生まれ持った生殖器により決定される」と統一するよう検討しているとニューヨーク・タイムズが報じた問題をネトウヨまとめサイトの「もえるあじあ」が取り上げたものにリンクを張り、高須院長はこう意見を添えていた。

〈実にわかりやすい。
見習いなさい大阪府教育委員会。なう。〉(10月22日のTwitter投稿より)

 大阪府教育庁は先日、府内の公立高校の入試において、性的少数者の受験生への配慮から入学志願書の性別欄を廃止することを決めたばかり。つまり、高須院長はトランスジェンダーの存在を認めないというトランプ政権による言語道断の方針に同調した上で、大阪府教育庁の決定を批判したのである。

 教育の現場におけるLGBTへの理解は進んでいるとは到底言えないなかで、大阪府教育庁の決定は一歩前進する動きだ。それをトランプ大統領の性的少数者への差別政策の尻馬にのって叩くとは下劣極まりないが、問題はここから。

 なんと、この高須院長の投稿に、杉田議員は「いいね」をし、賛同を示したのだ。

 杉田議員は問題の寄稿文のなかで、トランスジェンダーを「障害」だとした上で、〈性転換手術にも保険が利くようにしたり、いかに医療行為として充実させて行くのか、それは政治家としても考えていいことなのかもしれません〉と述べる一方、オバマ政権が公立学校において、“心の性”に応じてトイレや更衣室を使えるように通達した件を取り上げ、〈Tに適用されたら、LやGにも適用される可能性だってあります。自分の好きな性別のトイレに誰もが入れるようになったら、世の中は大混乱です〉と批判。パスポートの性別欄を男性・女性ではなく「X」と記載できる他国の例などにも〈もう冗談のようなことが本当に起きているのです〉と言及していた。

杉田水脈が安倍との会合で「すみませーん、お騒がせしてます」と笑顔で

 ようするに、「新潮45」に寄稿したときと認識はまったく同じで、杉田議員はいまも性的少数者への人権を守ろうという意識はなく、“多様性など認めるな”という意見にホイホイと「いいね」を押しているのである。結局、自民党から禁じられているために表立って発言しないだけで、反省はおろか、LGBTへの攻撃心をいまだに抑えられていないのだ。

 しかも、杉田議員の「無反省」ぶりはこれだけにとどまらない。杉田議員は9月19日に「外務省 目覚めよ! 南京事件はなかった その2」なる極右講演会に登壇したが、「FRIDAY」(講談社)10月12日号によれば、マスコミをシャットアウトしたこの講演で杉田議員は「ご心配をおかけしておりますけど、見ての通り、ワタクシ大丈夫でございます!」と笑顔で挨拶。来場者全員に“LGBTには生産性がない”と書いた例の寄稿文のコピーを配布したのだという。

 杉田議員は本日、記者団に「言葉が不適切だった」などと述べたが、その「不適切」な寄稿文を自信満々に配っておきながら、何をか言わんや、だろう。

「生産性」発言で、LGBTのみならず多くの人びとを傷つけ、愚弄したというのに、この開き直り──。無論、これを容認しているのは、安倍首相にほかならない。

 安倍首相は総裁選の際、石破茂氏とともに出演した『NEWS23』(TBS)で、「『もう辞めろ』と言うのではなく、まだ若いですから、注意をしながら、仕事をしてもらいたい」と擁護した挙げ句、「党としても、多様性について尊重する党であります」などと発言。杉田議員は51歳の立派な中年だというのに「若いから」などと庇い、差別発言を容認する党のあり方を「多様性」だと言い張ったのだ。

 これだけでも唖然とさせられるが、もっと酷いのは、寄稿文に批判が殺到していた最中の8月2日の一件だ。この日、自民党はようやくかたちばかりの見解を公表、「十分に注意するよう指導した」とし、何の処分も下さなかったのだが、安倍首相はこの日の夜、赤坂にある行きつけの中国料理店「赤坂飯店」でおこなわれた自民党山口県連青年部・青年局の会合に出席。各紙の動静では「岸信夫県連会長らが出席」と書かれているが、「週刊文春」(文藝春秋)8月16・23日合併号によると、じつはこの会合に杉田議員も参加。「すみませーん、お騒がせしています」と笑顔で登場したという。

杉田水脈議員の差別を容認し、増長させる安倍首相の責任

「笑顔」で杉田議員が現れたということは、安倍首相も杉田議員がやってくることは承知しており、さらには同席することに躊躇いがないということを示している。つまり、杉田議員は何の反省もしておらず、安倍首相もまた杉田議員の言動をまったく問題視していなかったのだ。

 しかも、だ。安倍首相は杉田議員の辞職を求めるデモに対して、「彼女はそんなに有名じゃないのに、なんでみんな騒いでいるんだろうね」と語っていたという。──有名かどうかの問題ではなく、為政者が生産性という基準で人の価値を切り分けたこと、その暴論に対して批判が集まっているのに、その意味が安倍首相はどうやら何もわかっていないらしいのだ。

 本サイトでは何度も言及してきたが、そもそも杉田議員は、慰安婦問題を否定したり朝日バッシングを繰り広げたことで極右政治家として名をあげ、安倍首相はそうした言動を「素晴らしい」と評価して自民党に引き入れた張本人。稲田朋美や和田政宗らと同様、総理大臣という立場上、自分では言えない歴史修正や報道バッシングなどの“本音”をズバズバと発言・発信してくれる人物として自民党に招き入れたのだ。

 ようするに、安倍首相のガス抜き要員であり、ネトウヨの支持拡大要員である杉田議員を辞めさせるような考えは、安倍首相にはハナからないのである。

 あからさまな差別主義者を無反省にのさばらせる安倍自民党。杉田議員の責任問題は、まったく終わっていないのだ。

最終更新:2018.10.24 09:29

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