不祥事・トラブルに関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
またも口利き!? 昭恵夫人が名誉顧問のイベントを省庁が後援!「ムー」にも登場するオカルト宗教家と昭恵夫人の接点も
安倍昭恵Facebookより
森友学園問題のキーパーソンでありながら、国会招致もされずに一貫して疑惑追及から隠し通されてきた安倍昭恵夫人だが、またも「昭恵隠し」が行われようとしている。安倍首相の地元・山口4区で開かれる予定の個人演説会には、安倍首相に代わって昭恵夫人が出席する予定なのだが、安倍事務所は「昭恵夫人に危害が加えられる可能性があるため」という理由で取材拒否の意向を示しているのだ。
しかも、さらにここにきて、昭恵夫人にまたもや森友学園問題を彷彿とさせる疑惑が浮上している。
それは、新興宗教団体の代表が仕切るイベントに昭恵夫人が関与しており、そして不可解にも、ほとんどの省庁が後援団体として参加しているというものだ。
どういうことか。今月14・15日に「FUJISAN地球フェスタ“WA”2017」(なお「地球」は「ちだま」と読む)なるイベントが熊本県阿蘇市で開催される。ホームページによれば、その開催趣旨はこういうものらしい。
〈「美しい地球と和の心を子ども達に」をテーマに、若者達が中心となって 「日本人の心のふるさと富士山から、日本と世界の子ども達の明るい笑顔と、日本の古き佳き伝統文化を発信し、音楽・ダンス・武道・芸術・食を通して、国境も人種も言葉の壁も乗り越えて、 一つの大きなWA(和・輪・環)を広げ、未来の子ども達に争いのない美しい地球を残してあげたい…」という願いを込めて開催します〉
抽象的すぎてよくわからないが、とりあえず、HPによれば〈熊本地震復興応援 チャリティイベント〉という位置付けでもあるという同イベントに、なぜか阿蘇と無関係の「FIJISAN」や「日本人の心のふるさと富士山」というワードがちりばめられていることを覚えておいてほしい。
パンフレットを見ると、具体的には「親子稲作体験」「チャリティーコンサート」「省庁後援コンテスト表彰」「音楽劇『今、蘇る日本の誇り』阿蘇バージョン」「くまモン登場!ゆるキャラ大集合! みんな一緒に体操&四股踏みだ〜!」「世界平和平和に向け全員参加ダンス」などの各種催しが行われる予定という。町おこし風といえばそうだが、正直、内容に雑多な印象は拭えない。
だが、奇妙なのは、このようにイマイチよくわからないイベントにもかかわらず、その「後援団体」が非常に“豪華”なことだ。HPを見てみると、なぜか内閣府や経産省ら11省庁に多数の自治体など、錚々たる名称が記されている。そして、その役員名簿の筆頭には「名誉顧問」として〈安倍昭恵 第90代、96代、97代内閣総理大臣 First Lady〉とあるのだ。その下には同じく「名誉顧問」として石破茂氏や谷垣禎一氏、ほか「特別顧問」や「顧問」の肩書きで、自民党を中心に約80人の国会議員が名を連ねている。なぜ、これほどまでの後援がつくことになったのだろうか。
さらに不可解なのは、「FUJISAN地球フェスタ」を仕切る実行委員長・渡邉政男氏の存在である。実は、渡邉氏は、同イベント協賛団体でもある「不二阿祖山太神宮」という神道系宗教法人の宮司を「渡邉聖主」との名前で務めている人物なのである。「不二阿祖山太神宮」は、同名の宗教施設が位置する山梨県富士吉田市を拠点としており、ようするに富士山の麓にある。そしてこの新興宗教、調べれば調べるほど、オカルト的な匂いがプンプンしてくるのだ。
イベント実行委員長の宮司は、あのオカルト雑誌「ムー」にも登場
実際、不二阿祖山太神宮は月刊オカルト雑誌「ムー」(学研プラス)でも何度か取り上げられているのだが、たとえば同誌14年6月号ではその“由緒”についてこんな解説が展開されている。
〈なんとこの神社は、『富士古文献』に登場する、かつて富士山麓で繁栄したという超古代王朝の神都に鎮座していた巨大パンテオン「阿祖山太神宮」を、平成の現代に復興させたものなのだ〉
「超古代王朝」って!?と思わず突っ込んでしまいたくなるが、「ムー」によると、『富士古文献』とは富士吉田の旧家・宮下家に保存されていた膨大な古文書群の総称で、『宮下文書』あるいは『富士文庫』などと呼ばれるものらしい。
だが、一応言っておくと、『宮下文書』(『富士古文献』)なる代物には神武天皇以前の日本列島に「富士王朝」なる「超古代文明」が栄えていたとの記述があるとされているが、当然、歴史学や考古学の常識からかけ離れており(そもそも神武天皇自体が架空の神話的存在である)、後の人がつくりだした偽書=ファンタジーに過ぎない。
ところが、前述の「FUJISAN地球フェスタ“WA”」を仕切る渡邉氏は、そのファンタジーを大真面目に信じているらしく、「ムー」の取材にも写真入りで応じている。
それによれば、渡邉氏は、2004年頃に富士吉田の土地を取得し、そこでシイタケの原木栽培などを行うつもりだったが、その翌年、大切なシイタケの原木が大量に盗まれてしまったのだという。しかし、渡邉氏は逆に、盗まれたシイタケの原木が「108本」だったことに着目。仏教の煩悩の数・108と同じであることに〈何か意味がある〉と思い、〈もしかすると、自分が何か間違った行動をとっていることを、仏あるいは神が告げているのではないか──〉と考えた。
そして、若い頃から例の『富士古文献』に関心を抱いていたという渡邉氏は、〈つまり、シイタケの原木栽培用地は、じつは、富士超古代王朝の栄光の記憶をとどめる超弩級の聖地・富士高天原だった──〉というふうに思い、他諸々の理由(冗長なので興味があれば「ムー」を読んでもらいたい)と合わせて、〈自身が取得した土地が不二阿祖山太神宮の故地であると確信、そしてこの地に太古の神宮を再建することを決意したのだ〉という。
うーん……。スピリチュアルやオカルト界隈では、なんでもない偶然に“符牒”を見出し、伝説や偽史とこじつけ、「世界の真実」や「使命」に「覚醒」するというのが定番のパターン。「ムー」を読む限り、渡邉氏もその典型例のように思えてならない。例の「FUJISAN地球フェスタ“WA”」がやたら富士山推しなのも、ようするに、「超古代文明・富士王朝」の伝説にあやかっている渡邉氏の意向がかなり大きいだろうことは、想像に難くない。
しかし、問題は、昭恵夫人がこのオカルト宗教家が率いるイベントに関与し、多数の省庁が後援をしているという事実だ。
昭恵夫人が名誉顧問に就任した途端、主要省庁がイベントを後援
そもそも同イベントが始まったのは2014年10月。初回は山梨県の富士山の付近で開催され、前述のオカルト宗教施設・不二阿祖山太神宮の「御神田」で「日本古来の収穫と祭事を行っ」たという(毎日新聞山梨地方版)が、当初から実行委員長は渡邉氏だった。そして、インターネットの記録を辿って、初回の後援団体を調べたところ、NPOや財団法人・公益法人など民間団体と自治体がメインで、省庁の名前はわずかに外務省だけ。注目すべきは、日本最大の極右団体「日本会議」も後援団体に名を連ねていたことぐらいだ。
ところが、これが2回目の2015年になると、経産省や防衛省などほとんどの主要省庁が参加し、テレビや新聞社などマスコミまでついて、一気に後援団体が豪華絢爛になったのである(ちなみに日本会議は後援から姿を消した)。
そして、実はこの爆発的に省庁の後援が増えた2015年に、「FUJISAN地球フェスタ“WA”」の名誉顧問(代表発起人兼任)に就任したのが、昭恵夫人だったのである。
昭恵夫人は2015年5月6日、Facebookで不二阿祖山太神宮を参拝したと報告しており、さらに、同年に渡邉氏らが募ったクラウンドファウンディングのウェブページにも登場。そこには阿祖山太神宮参拝時に渡邉氏らと撮ったと思われる昭恵夫人の写真とともに、こう書かれている。
〈安倍昭恵さん(安倍内閣総理大臣夫人。FUJISAN地球フェスタWA名誉顧問)より、「未来の子ども達のために、FUJISAN地球フェスタを応援します」との応援メッセージをいただきました。〉
これは昭恵夫人が名誉校長に就いて驚愕の土地値引きが行われた森友学園問題と、まさに同じ構図ではないのか。そういう疑念が頭をよぎるのが自然だろう。
もっとも、オカルト宗教法人代表の渡邉氏と昭恵夫人が関係をもち、名誉顧問に就任した年に省庁の後援がめざましく増えたといっても、現時点では昭恵夫人が直接的に指示したのか、あるいは省庁が忖度したのか、具体的にはわからない。しかし、この件をめぐっては、最近も興味深いことが起きている。
というのも、10月9日に改めて「FUJISAN地球フェスタ“WA”」のホームページを見てみると、その後援団体のページから、いつのまにか昭恵夫人の名前が忽然と消えていたのだ。
“カルト団体の資金集めに利用、昭恵夫人は広告塔に”という指摘も
実は、この昭恵夫人と同イベントをめぐる問題は、日刊ゲンダイが9月末にとりあげ、一部で話題になっていた。
ゲンダイの記事は〈(宗教法人・不二阿祖山太神宮は)祈祷をしたり、水を売って“再建資金”を稼いでいるらしい。「崇敬奉賛会」という会員組織もあり正会員は年間5000円以上、特別会員になるには年間5万円以上払う必要がある〉ことや、〈昭恵夫人は山梨県の知人を通じて渡邉氏を紹介され〉たことなどを報じ、同イベントが“カルト団体の資金集めに利用され、昭恵夫人がその広告塔になっているのではないか”ということを示唆していた。
一方、不二阿祖山太神宮の担当者は日刊ゲンダイの取材に対して、神道の宗教法人でありカルト団体ではないとしたうえで、「瓦1枚500円の協賛金か初穂料をいただいた方にはペットボトル入りの『真名井の御神水』を1本お譲りしています」などと答えている。
だが、同イベントの実行委員長が、オカルトの臭いが漂う新興宗教の代表であり、昭恵夫人の名誉顧問就任前に個人的な面会があったことは事実だろう。なぜ、日刊ゲンダイに報じられた後というタイミングで、昭恵夫人の名前が不自然にもなくなったのか。逆に言えば、これはその経緯や関係性にやましいところがあるということなのではないか。
本サイトが「FUJISAN地球フェスタ“WA”2017」の実行委員会に電話取材を試みたところ、同イベントの事務局担当者を通じて、実行委員会からの伝言による一問一答形式で回答が得られた。
まず、今週に入って役員名簿から昭恵夫人の名前が消されたのはなぜかという質問については、「当フェスタ(イベント)の性質上、選挙に乗じて昭恵夫人のお名前を再登場させることで政治の混乱に巻き込まれることは不本意ですので、名簿からお名前を下げさせていただきました」との答え。昭恵夫人からの辞退の申し出があったわけでなく、イベント側から名前を下げたということらしい。また、そもそも昭恵夫人がイベントの名誉顧問に就任した経緯についても質問をしたが、「副実行委員長のご紹介です」との回答にとどまった。
さらに本サイトは、実行委員長の渡邉氏が率いる宗教法人・不二阿祖山太神宮と「FUJISAN地球フェスタ“WA”」が非常に密接な関係にあるように思えることから、その関係性について詳しく聞きたい旨を伝えたが、実行委員会からは「当フェスタで開催しております親子稲作体験のプログラムのなかでの神事を(2014〜16年に)担当しておりましたのが不二阿祖山太神宮です」という表面的な回答にとどまった。
いずれにせよ、伝言での回答だったこともあり、詳細な曖昧なまま。依然として、このオカルト宗教法人代表が仕切るイベントと昭恵夫人をめぐる一件は、あまりにも不可解なことや疑問点が多すぎる。本サイトでは引き続き、この“第3の森友問題疑惑”を追っていくつもりだ。
(編集部)
最終更新:2017.10.13 11:29
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